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立憲民主党ホームページより

立憲民主党代表に泉健太氏が選ばれました。
このまま自公政権が続けば日本は没落していくだけなので、野党第一党の立憲民主党にはがんばってもらわねばなりません。

前代表の枝野幸男氏は、10月の総選挙の公約にも「まっとうな政治」という言葉を挙げていました。
「まっとうな政治」というのは、立憲民主党が結成された2017年に枝野氏自身が言い出したものです。当時は安倍政権が安保法制や共謀罪法案をごり押ししていたので、それに対抗する意味がありました。
しかし、今は岸田政権に変わっていますし、「まっとうな政治」という言葉がアピールするのは、今の政治がまっとうでないと思っている人に対してだけです。
政治に興味がない若い人にとっては、「まっとうな政治って、なに当たり前のこと言ってるんだ」というだけのことでしょう。
枝野氏には“新規顧客”を獲得しようという意欲が感じられませんでした。


野党に対しては「反対ばかり」「批判ばかり」という批判があり、それに対して「賛成や政策提案もしている」とか「野党は政府を批判するのが仕事だ」という反論がありますが、どちらも的を外しています。
今までの野党は、表面的な批判ばかりで、核心をついた批判がありませんでした。そのため「批判ばかり」という印象になるのです。

たとえばコロナ対策において、PCR検査数がふえないとか、コロナ患者用の病床数がふえないという問題がありました。
これを批判するのが表面的な批判です。そんな批判なら誰でもできます。

PCR検査数やコロナ用病床数がふえないのは「目詰まり」などと説明されていましたが、おそらくは医師会や製薬会社や感染症専門家集団の利権があるのでしょう。そして、与党も利権でつながっているので、「目詰まり」を解消することができなかったのです。

こうした実態を解明するのは、本来はマスコミの役割ですが、今のマスコミは政府の痛いところをつく報道をしません。例外は週刊文春ぐらいです。
断片的なことは報道されます。たとえば去年の夏ごろですが、日本でPCR検査を大量に早く処理できる機械が開発されたが、なぜか日本では採用されず、外国に輸出しているというテレビの報道がありました。
日本で採用されないことについては、たぶんなにかの利権があるのでしょうが、そこは報道されません。

マスコミが追及しないのなら野党がするしかありません。
「調査報道」という言葉がありますが、野党がよく調査して「調査質問」をするわけです。
野党には調査権も捜査権もありませんが、そこはやる気と実力が試されるところです。

ちなみに共産党は調査力がすごくて、政権を揺るがすような事実をいくつも突きつけてきました。
立憲民主党も共産党に負けないぐらいに調査力を発揮しないといけません。

なお、政策提案型の野党になれという意見がありますが、政策提案で問題が解決するならもうとっくに解決しています。愚かな意見というしかありません(泉健太代表は「政策提案型を目指す野党は与党のシンクタンクでしかない」と言っていますが、的確です)。


それから、立憲民主党はもっと“思想闘争”をしないといけません。

野党はモリカケ桜問題の追及に力を入れてきました。国有地不当値引きとか虚偽答弁とか公文書改ざんとかは、決して小さな問題とは言えませんが、国の進路に関わるようなことではありません。そのため「批判ばかり」と感じる人もいたでしょう。
そして、検察が動かなかったので、すべての追及は無意味になってしまい、「嘘をつき通せばいいのだ」という風潮まで生まれました。
検察の判断も問題ですが、野党が「不正」の追及に焦点を当てたのも問題です。

森友問題は、教育勅語を暗唱させるような軍国主義教育を行う小学校設立に安倍首相が特別な援助を行ったのが発端です。
森友学園傘下の塚本幼稚園では、園児に軍歌を歌わせて整列行進させ、教育勅語や五箇条の御誓文を暗唱させ、水を飲む回数やトイレの回数を制限するなど(日本海軍で水を飲む回数を制限していたからだということです)、園児の発達を無視した教育を行っていました。また、運動会の選手宣誓で「安倍首相がんばれ」と言わせるなど、園児を政治利用していました。
野党は、こうした教育方針を支持した安倍首相を批判して、教育論議をするべきでした。
教育論議なら建設的なものになる可能性があるので、「批判ばかり」とは言われないでしょう。

軍国教育は徹底した管理教育です。リベラルは自由教育の立場ですから、そこで議論が起こって当然です。
教育問題には誰でも興味がありますから、立憲民主党は管理教育か自由教育かの議論を通して支持を拡大することができたはずです。

ところが、ブラック校則の問題にしても、これを追及しているのはもっぱら共産党で、立憲民主党の存在感はありません。


教育は国の根幹に関わる大問題ですから、政治家も大いに議論しなければなりません。
立憲民主党の泉健太代表は幹事長に西村智奈美氏を起用し、さらに執行役員の半数を女性にする方針を示して、「ジェンダー平等を具現化したい」と語りました。
これによって自民党との争点をつくるというのは正しい方針だと思いますが、もうひとつ、教育でも争点をつくるべきです。

ベストセラーとなっているブレイディみかこ著『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読むと、イギリスの中学校にはライフ・スキル教育ないしシティズンシップ・エデュケーションというものがあって、「子どもの権利を三つ書け」というような試験問題が出されるなど、子どもの権利について繰り返し教えられ、子どもの権利条約が制定された歴史的経緯なども教えられているということです。

日本も子どもの権利条約は批准しているのですが、学校で子どもが子どもの権利について学ぶということはほぼ皆無です。
日本の教育がだめなところは多々ありますが、そのいちばんの根幹は、子どもの権利が尊重されていないことです。
言い換えれば、子どもが尊重されていないのです。そのため子どもはもちろん若者の自己肯定感が低くなって、日本全体に元気がなくなっています。

子どもに自分の権利を教えることが教育改革の第一歩です。
幸い小中学校には「道徳科」が存在しているので、そこで教えることができます。
自民党は「子どもに権利など教えるとわがままになる」などと言って反対しそうですが、論争すれば権利尊重の側が勝つに決まっています。

ジェンダーとともに教育についても立憲民主党は論争を挑むべきです。
これはかりに票に結びつかなくても、日本をよくすることにつながります。


立憲民主党は外交力がまったくありません。これも支持が得られない大きな理由です。

鳩山政権のとき、普天間基地の辺野古移設を巡って迷走し、それが政権の大きなダメージになりましたが、その後、このことについて明確な反省が示されたことはありません。

10月の総選挙の公約にはこう書かれています。
○在日米軍基地問題については、抑止力を維持しつつ地元の基地負担軽減や日米地位協定の改定を進めます。
○沖縄の民意を尊重するとともに、軟弱地盤等の課題が明らかになった辺野古移設工事は中止します。その上で、沖縄の基地のあり方について見直し、米国に再交渉を求めます。
https://cdp-japan.jp/news/20211014_2344
辺野古移設工事の中止を言っていますが、鳩山政権のときとどう違うのでしょうか。
日米地位協定の改定も、これまでの政権にできなかったのに、立憲民主党政権になればどうしてできるようになるのでしょうか。
この公約を見ると、立憲民主党には政権を獲るつもりがないのだなと思えます。

これらはアメリカと交渉することですが、はっきり言って日本の交渉力はゼロです。
なぜかというと日米同盟を絶対化しているからです。
日本は同盟離脱カードを持たないと、対等な交渉ができません。
こんなことは交渉のイロハです。
ところがこれまでの日本外交は、「日米同盟は日本外交の基軸」と称し、安保条約を「不磨の大典」としてあがめてきたので、アメリカから離脱カードをちらつかされると、なんでも言うことを聞かざるをえませんでした。

冷戦時代は、日本は西側にいたいし、アメリカも日本に東側に行かれては困るので、双方は一致していました。
冷戦が終わると、「日米安保の再定義」ということが言われましたが、なにも議論がないまま日本は「北朝鮮の脅威」や「中国の軍拡」を理由に惰性で同盟関係を続けてきました。
そのためアメリカだけが離脱カードを手にして、日本は高い兵器を買わされたり、思いやり予算の増額を飲まされたりしてきたわけです。

私は『防衛費という「聖域」』において、防衛費を大幅に削減して、その分を文教科学振興費に回すことが日本経済回復の手っ取り早い処方箋だと述べましたが、アメリカは日本の防衛費削減を許さないでしょう。
日本経済のためにも対米自立は必要です。

しかし、今では日本人は心理的にもアメリカに依存するようになっているので、「日米基軸外交の見直し」などと口にしただけで日本人から猛批判を受けそうです。
ですから、当面野党として「対等の日米関係を構築する」といった立場から、政府の外交を批判するという作戦になるでしょう。

「子どもの人権」もそうですが、国民の意識を変えていくのも政党の重要な役割です。


以上のことをまとめると、立憲民主党の再生のためには、

1.表面的な批判でなく核心をついた批判
2.教育、人権、ジェンダーなどで争点づくり
3.対等な日米関係の模索

といったことが重要です。