菅官房長官
首相官邸ホームページより

「表現の不自由展」が「ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」といったテロ予告の脅迫などによって中止に追い込まれました。
こうした脅迫はもちろん犯罪です。愛知県庁は被害届を警察に提出し、警察は8月7日に50代の会社員の男を威力業務妨害容疑で逮捕しました。

この事態に直面して、とんだ馬脚を現したのが菅義偉官房長官です。
5日の記者会見で、
「一般論で言えば、暴力や脅迫はあってはならないことだ」
と言ったのです。

「一般論で言えば」という前提をつけると、「個別には暴力や脅迫はあってもいい場合がある」という意味になります。
「いかなる場合も、暴力や脅迫はあってはならないことだ」と言うのが当然です。
自分と同じ思想傾向のテロ予告犯を批判したくない気持ちが「一般論で言えば」という言葉になって表れたのでしょう。


菅官房長官の嫌韓感情は筋金入りです。
菅官房長官は2014年1月、中国黒竜江省ハルビン駅に朝鮮独立運動家・安重根(アンジュングン)の記念館が開館したことについて、中国と韓国に外交ルートを通して抗議し、「安重根は我が国の初代首相を殺害し、死刑判決を受けたテロリストだ」と非難しました。
他国がどんな記念館をつくろうが、それは内政問題であり、日本が抗議するとはまともではありませんし、韓国では英雄とされている安重根を「テロリスト」呼ばわりするのも韓国人の神経を逆なでします。

このことは日本では小さくしか報道されませんが、韓国では大きな反発を生んで、こうしたことも日韓のずれを生みます。

菅官房長官は外交問題ではつねに慎重なもの言いをするのに、韓国に対してだけは即応してきびしい言い方をします。


日韓関係があまりに悪化し、アメリカの安保政策にも悪影響が出るほどになったので、オバマ政権の強力な介入で、2015年12月に慰安婦問題についての日韓合意が結ばれました。
この合意には「安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」という言葉がありますが、これは岸田文雄外相が読み上げただけで、安倍首相の口から語られることはありませんでした。そのためのちのち、「安倍首相は謝っていない」と韓国から言われることになります。

日韓合意には、在韓国日本大使館前の少女像について韓国政府は「適切に解決されるよう努力する」という言葉がありますが、少女像はそのままでした。
さらに2016年12月、釜山の日本総領事館前に少女像が設置されました。区当局はすぐに像を撤去し、抵抗した市民団体のメンバー13人が逮捕されましたが、区に抗議の電話が殺到し、結局設置を認めることになりました。

これらに対して、日本では日韓合意違反だという声が上がりましたが、民間の動きを韓国政府がコントロールできるはずがなく、「努力する」ということはなされているでしょう。
しかし、菅官房長官は「韓国国家として約束したことは履行してほしい」と言い、2017年1月には在韓日本大使の召還と日韓通貨スワップ協定の取り決め協議の中断などの強硬措置を発表しました。

これはちょうどオバマ政権からトランプ政権に移行するときで、アメリカ政府が動けないのを見越した菅官房長官の機敏な対応でした。
その後、トランプ政権は日韓関係に興味がないことが明らかになり、日韓関係は以前と同じように悪くなってしまいました。


以前と根本的に違うのは、以前は「慰安婦」問題でもめていたのに、今は「慰安婦像」問題でもめているということです。問題がすっかり矮小化されました。

慰安婦像(平和の少女像)自体は、清純な少女を描いたもので、なんの悪意も込められていない立派な芸術作品です。
像を設置する人間には悪意があるかもしれませんが、悪意が像に宿ることはありません。
像に不快を感じる日本人がいるのは、内心にやましさをかかえているからでしょう。

慰安婦像を設置しているのは韓国の民間団体です。これをやめさせることは誰にもできません。現に世界各国に慰安婦像が設置される結果となりました。
慰安婦像設置をやめさせようとした日本政府の方針が根本的に間違っていたのです。

日本では、韓国が日韓合意に反したという声が多くありますが、韓国側はあくまで民間団体の動きです。
一方、日本側の大使召還などは日本政府の動きですから、どちらが日韓合意に違反したかというと、日本側です。
韓国の反日は民間主導、日本の反韓は政府主導です。
韓国人には殖民地支配などの恨みがありますが、日本人は韓国にひどい目にあわされたという体験はないので、当然です。
日本の反韓の動きは、安倍首相と菅官房長官と一部の日本人がつくりだしているだけです。


日本にいると、日本に都合のいい情報ばかりが入ってきます。
頭の中で情報を補正して、公平な判断をするようにしないといけません。

日韓の争いは、要するに兄弟喧嘩です。
オバマ政権は親として兄弟喧嘩に介入して、双方に「ごめんなさい」を言わせて、喧嘩を収めました。
ところが、親がトランプ大統領に代わったら、また兄弟喧嘩が始まったという格好です。

兄弟といっても、日本が兄で、韓国は弟です。日本が朝鮮の近代化を導き、今でもGDPは日本が韓国の4倍くらいあります。ノーベル賞でも圧倒的な差です。
兄弟喧嘩は、兄貴分の日本が先導して収めるべきでしょう。

韓国を対等な相手のように見なして喧嘩している日本人は、日本人から見ても、ちょっと情けない人です。