村田基の逆転日記

進化倫理学の威力を試すブログ

2015年03月

3月27日の報道ステーションは、コメンテーターの古賀茂明氏が最後の出演となる日で、なにかが起こるのではないかと見ていたら、案の定起こりました。
 
古舘報道ステを元官僚古賀氏が“ジャック”
 元経済産業省官僚の古賀茂明氏(59)が27日、テレビ朝日系「報道ステーション」に生出演し、古舘伊知郎キャスター(60)と自身の番組降板を巡って、バトルを繰り広げた。
 
 番組中盤、緊迫する中東情勢を伝える場面で、古舘が古賀氏に解説を求めると、この日が最後の出演になった古賀氏が切り出した。
 
  古賀氏 ちょっとその話をする前に。テレビ朝日の早河(洋)会長と、古舘プロジェクトの佐藤(孝)会長の意向で今日が最後ということに(なりました)。
 
  これまで古賀氏は同番組で、「I am not Abe」などと安倍政権に批判的な発言を繰り返していた。
 
  古賀氏 これまで本当に多くの方に激励していただいた。一方で菅官房長官をはじめとして、官邸のみなさんからバッシングを受けてきた。それを上回る応援で楽しくやらせていただきまして、本当にありがとうございました。
 
  降板した理由を話すと、古舘も「ちょっと待ってください。今の話は承伏できません」と対抗したが、古賀氏は「古舘さんもその時におっしゃいました。『この件に関してはお役に立てなかった。本当に申し訳ない』と。全部録音させていただきましたので、そこまで言われるなら全て(データを)出させていただきます」と引かない姿勢で、いったん束した。
 
  しかし、その後も「I am not Abe」と書かれた手製の紙を広げ、マハトマ・ガンジーの言葉をフリップで出し、「言いたいことはそのまま言いましょう。裏で圧力をかけたり、陰で言うのはやめていただきたい」と話した。
 
古賀氏が官邸の圧力によって降板させられるという噂は、以前から週刊誌や一部のサイトで報じられていました。古賀氏の言葉によると、実際に官邸の圧力があったことになります。
 
「リテラ」というサイトが前からこのことを報じていたので、いちばん詳しくわかると思います。
 

続報!古賀茂明『報ステ』爆弾発言は菅官房長官の圧力が動機だった! 古賀批判は的外れ

 
官邸の圧力でコメンテーターやプロデューサーが降ろされたとすれば、国家権力による「報道の自由」の侵害であり、大問題です。
ところが、世の中は逆に古賀氏を批判する声のほうが大きいようです。
 
古賀氏の発言は、明らかに番組の進行で予定されたものではなく、そういう意味ではコメンテーターの役割を逸脱して番組の秩序を乱したことになります。しかし、古賀氏があらかじめ番組側と打ち合わせすれば、そういう発言はしないでくれと言われたでしょう。つまり、これは番組についての一種の内部告発なのですから、イレギュラーの発言になるのは当然です。

官邸が番組内容について電話で文句を言ってきて、テレビ局の上層部と官邸が意を通じ合っているとすれば、それは大問題ですから、古賀氏の告発はむしろ賞賛されることです。
 
ただ問題は、官邸がテレビ朝日に圧力をかけたという証拠が今のところないことです。
これはテレ朝内の人間が証言しなければなりませんが(これこそほんとうの内部告発)、そういう人間が出てくる可能性は少なそうです。
というのは、もし出てきたら、今のご時世では、その人間がバッシングされかねないからです。
 
官邸に屈するテレ朝上層部も問題ですが、古賀氏のように内部告発する人間をバッシングする風潮はもっと問題です。
これでは国民がみずから「報道の自由」をドブに捨てているようなものです。

安倍首相は3月20日の国会答弁で自衛隊のことを「我が軍」と言いました。安倍首相の脳内は戦争モード全開のようです。
 
自民党の改憲草案には「国防軍」という言葉があります。
「国防軍」といえば普通「ドイツ国防軍」のことです。ソ連は赤軍、中国は人民解放軍みたいなものです。アメリカ軍やイギリス軍のことを国防軍ということはありません。
昔の日本の場合は、帝国陸海軍、皇軍、国軍、日本軍などといっていて、国防軍とはいいません。
なぜ自民党は「国防軍」なのか不思議に思っていましたが、要は「軍」と呼べればなんでもよかったのでしょう。
 
25日には自衛隊最大の艦である護衛艦「いずも」が就役しました。これは「ヘリコプター搭載護衛艦」と呼ばれていますが、軍事ジャーナリスト神浦元彰氏によると実際は「ヘリ空母」そのもので、戦闘機を積めるように改造すると「軽空母」になるということです。ただ、専守防衛の自衛隊は空母のような攻撃的兵器は持てないということから、「ヘリコプター搭載護衛艦」という呼び方をしているわけです。
自衛隊がこのように言葉に気をつかっているのに、首相が「我が軍」と言ってはぶち壊しです。
 
安倍首相は22日に行われた防衛大学校の卒業式に出席し訓示を述べましたが、卒業式のあとに行われた幹部候補生への任命・宣誓式にも出席し、恒例の「帽子投げ」も見ました。首相が任命・宣誓式に出席するのは異例だということです。
若き“軍人”たちに囲まれているうちに安倍首相は最高指揮官として舞い上がってしまったのでしょうか。
 
安倍首相の卒業式の訓示は14分という長いものでした。聞かされるほうはうんざりしたでしょう。
 
平成26年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示
 
その内容は、「積極的平和主義」という言葉に象徴されるような矛盾がいっぱいで、支離滅裂です。どこを突っ込めばよいのか迷ってしまいますが、防衛大生や教官の前という観点から気になったところを引用してみます。
 
その日のガダルカナル島には、70年前と同じように、雲一つなく、強い日差しが降り注いでいたそうであります。
  昨年秋、練習艦「かしま」のタラップをのぼる、諸君の先輩たちの胸には、かの地で収容された百三十七柱の御遺骨が、しっかりと捧持されていました。そして、御遺骨に、無事祖国へと御帰還いただく。今回の練習航海では、その任務にあたってくれました。
  遠い異国の地において、祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦場で倒れられた多くの尊い命。そのご冥福を、戦後70年という節目の年に幹部自衛官への道を踏み出す、諸君たちと共に、お祈りしたいと思います。
  そして、こうした尊い犠牲の上に、我が国の現在の平和がある。そのことを、私たちは、改めて、深く胸に刻まなければなりません。
  二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。私たちには、その大きな責任があります。
 
「尊い犠牲の上に今の平和がある」というのは常套句ですが、ガダルカナルの戦死者のことを「尊い犠牲」というのは、防衛大生や教官にとっては納得がいかないでしょう。ここは「愚かな作戦の犠牲」というべきところです。
 
「ガダルカナル」というのはある意味、先の戦争を象徴する言葉です。この言葉を使って戦争賛美をする安倍首相は、“戦争音痴”ではないかと疑われます。
 
そういえば、安倍首相は集団的自衛権に関して、米軍の輸送艦に邦人が乗っていて、それを米軍が守れないので自衛艦が守らなければならないというケースを持ち出して、みんなの首をかしげさせましたが、あれも“戦争音痴”ゆえかもしれません。普通の感覚であれば、もっと現実的なケースを持ち出すはずです。
 
安倍首相はやたら自衛隊に掃海活動をやらせたがっていますが、そのことの危険性も認識できていないのかもしれません。

自衛隊員が中東の砂漠やペルシャ湾でアメリカのために死んでも、安倍首相の脳内では「尊い犠牲」となり、「英霊」となるのでしょう。
 
こんな首相に「我が軍」と呼ばれる自衛隊員が気の毒です。
 

このところの政治のニュースを見ていると、すべてが同じ方向を向いていることがわかります。それは、「対米依存の深化」という方向です。今や急坂を転がり落ちる勢いです。
 
安保法制について自公両党が合意しましたが、要するに米軍の後方支援を拡大する方針です。
 
安倍首相は「テロとの戦争」でも勇ましい言葉を連発しましたが、これもすべてアメリカ側に立ってのことです。
 
安倍政権はひたすら辺野古新基地建設に向けて進んでいますが、これももちろんアメリカのためです(日本の政治家の利権のためということもあるようですが)
 
中国が設立を提唱しているアジアインフラ投資銀行に、イギリスが参加表明したのに続いてフランス、ドイツ、イタリアも参加表明し、日本ではわが国も参加するべきではないかという議論が起きています。日本はアメリカの意向に従うだけで、参加の損得も計算せず、他国がどう動くかという情報収集もしていないので、今になってあわてふためくわけです。
 
きわめつけは、鳩山由紀夫元首相がロシアを訪問し、クリミア編入を支持する発言をしたことに対して壮大なバッシングが起こったことです。
鳩山元首相は前から気ままな言動を繰り返し、「日本が尖閣諸島を盗んだと思われてもしかたがない」と発言したこともありますが、今回はそのとき以上のバッシングです。尖閣問題は日中間の問題であるのに、クリミア問題はアメリカが主体的に関わる問題だからでしょう。
 
 
この対米依存の深化というのは、安倍首相の意志を超えたスケールで進展しています。
アメリカは安倍首相の歴史認識や靖国参拝に反対していて、安倍首相はアメリカに屈せざるをえません。
 
安倍首相は村山談話、河野談話を継承すると明言していますし、安倍談話について検討する21世紀構想懇談会の北岡伸一座長代理は「私は安倍さんに日本は侵略したと言ってほしい」と語りました。
ドイツのメルケル首相が来日したとき、歴史認識についてかなりはっきりしたメッセージを発しましたが、これはアメリカと共通した認識だったでしょう。
3月21日の日中韓の外相会談においては、共同文書に「歴史を直視」という言葉が盛り込まれました。
 
考えてみれば、安倍首相は「美しい国」というスローガンをいつの間にか「新しい国」に変更しています。
「美しい国」はアメリカの押し付け憲法を改正し、東京裁判史観を否定し、軍国日本の名誉回復をはかろうというものだったでしょうが、今の「新しい国」は日本らしさのまったくない、テロとの戦争でただアメリカに追随するだけの国です。
アメリカの劣化コピーのような国は、さすがに安倍首相から見ても「美しい国」とはいえないので「新しい国」としたのでしょうが、正確な表現は「美しくない国」です。

自民党の三原じゅん子議員が参院予算委員会で「八紘一宇」という古くさい言葉を持ち出したのには驚きました。
右翼雑誌で読んだことを、たいした考えもなく口にしたのかと思いましたが、このブログのコメント欄に、麻生大臣が言わせたのだろうという指摘がありました。確かになにか裏がなければ、そんな言葉は出てこないかもしれません。
 
それにしても、軍国主義時代のスローガンが今の国会で肯定的に語られることが諸外国からどう見られるでしょうか。
とくに今はオバマ大統領夫人が来日中です。
安倍内閣をささえる女性政治家の思想は、オバマ夫人ともケネディ駐日米大使とも相容れません。
 
また、3月17日には、秦郁彦氏ら19人が外国特派員協会で記者会見を行い、慰安婦問題を取り上げたアメリカの教科書に訂正勧告をしたことについて説明しました。
これもまた、今の日本の異常さを世界に知らしめる行為です。
 
【詳報】「強制連行があったとするマグロウヒル社の記述は誤り」従軍慰安婦問題で、秦郁彦氏、大沼保昭氏が会見
 
アメリカは教科書検定の制度がないので、秦郁彦氏らは民間の一出版社であるマグロウヒル社に対して訂正勧告をしたのです。
その前に外務省が是正の要請をしていましたが、マグロウヒル社は拒否していました。
外務省が断られたので、今度は自分たちが申し入れをしたということでしょう。
 
外国の教科書の内容についてこのようにしつこく訂正を求めるということは、世界でも異例のことでしょう。
 
私は以前、テレビのバラエティ番組で、世界各国の教科書に日本がどのように描かれているかを紹介したのを見たことがありますが、フジヤマ、ゲイシャのような古くさいイメージが多く、また微妙に現実の日本とズレていて、かなり笑える番組になっていました。
明らかに間違っていることも多々ありましたが、だからといって、その番組では訂正の申し入れをするべきだというような流れにはなりませんでした。出演者も、おそらくは視聴者も他国の教科書の誤りに寛容でした。
 
秦郁彦氏らがなんのために訂正申し入れをしたかというと、個々の事実にこだわっているわけではなく、要するに軍国日本の名誉回復をしたいということに尽きます。
そういう意図が明白ですから、秦郁彦氏らの勧告が受け入れられるわけがありません。
 
軍国日本の名誉回復に協力してくれる国など世界のどこにもありませんが、とりわけアメリカにとっては絶対に許せないことです。
 
3月17日には、アメリカのメリーランド州の上院本会議で慰安婦問題に関する決議案が全会一致で可決されました。
 
慰安婦決議、米州議会で可決 「歴史的記録にとどめる」
 
日本で慰安婦問題を騒ぎ立てる人たちの主張は、世界でまったく相手にされていないということです(「元慰安婦の人権」と「軍国日本の名誉」では価値がぜんぜん違うからです)。
 
安倍首相も秦郁彦氏らと思想的に同じ立場です。
もし安倍首相が自分の思想に忠実になって戦後70年の談話を出したらたいへんなことになりますが、そうはなりません。すでに外務省とアメリカによる包囲網が敷かれているからです(安倍談話についての懇談会の北岡伸一座長代理も「私は安倍さんに侵略したと言ってほしい」と述べています)
 
「八紘一宇」という言葉を持ち出したり、官憲が強制連行をしなかったから軍国日本は悪くないと主張したりする人たちが、今日本でいちばん国益を損ねている人たちです。

鳩山由紀夫元首相のウクライナ訪問を巡る議論を見ていると、誰もがNATOの公式見解を繰り返し、その一方で鳩山元首相への人格攻撃をしています。
まともな感性の持ち主なら、こういう議論はおかしいのではないかという直感が働くはずですが、そういう意見はほとんど見かけません。
 
NATOの公式見解に乗っかるということは、言い換えれば対米追随ということで、この国の対米追随の根の深さを思い知らされます。
 
そうした中で、「東洋経済オンライン」に、NATOやアメリカに偏らない意見が載っていました。
 
鳩山由紀夫元首相は、宇宙人か馬鹿か天才か
クリミア半島での「無謀な行動」を分析する
 
これを書いた中村茂夫氏はロシアに詳しいビジネスマンで、ロシアがクリミア編入をどうとらえているかということを踏まえて、NATOにもロシアにも偏らない意見を書いておられます。
 
ちなみに私は、クリミアのロシア系住民の人権という観点からこの問題をとらえましたが、中村茂夫氏はもっぱら領土問題という観点からとらえていて、まったく違いますが、日本のマスコミが偏っているという判断は同じです。
 
長い記事なので、その一部だけ引用しておきます。
 
さて、今回このコラムで、私が一番言いたいことは、由紀夫氏の人物像に迫ることではない。今回の由紀夫氏の一件でもわかるように、ロシア=ウクライナ問題のような重要案件については、マスコミたるもの「きちんと掘り下げて、表面的ではなくフェアな立場で事実を報道すべきだ」ということだ。
 
そもそも、ウクライナ問題を語れる評論家は少ない。現場の一次情報はほとんど日本に入ってきていない。主に「欧米のフィルター」がかかったニュースが、お茶の間に報道されているのである。
 
それゆえ、あたかも欧米のニュースが国際世論であるかのように見える。だが注意深く観察すると、実際には米国の息のかかった、偏った一方的意見であるとの見方もある。
 
なぜなら、NATO加盟国以外の世論は、といえば、実は中立の立場でウクライナ問題を扱っているからだ。米国の「内政干渉」によるウクライナの混乱に対して、NATO加盟国以外の世界の世論は、中立の立場である。
 
中立の立場とは「米国の意見も聞くし、ロシアの意見も聞く」という、子供でもわかる理屈である。一見狂ったように見える由紀夫氏の考え方は「ロシアの意見も聞く」という当たり前の意見を言っているにすぎない。私に言わせれば、由紀夫氏のホンネはわからないが、「ロシアの固有の領土であるクリミアは、日本固有の領土である歯舞、色丹、国後、択捉、と同じ位置づけである」との理屈が成り立つのである。
 
 
日本の報道がNATOやアメリカに偏りすぎているということは、クリミア問題だけでなく、イスラム国についての報道を見ていても感じます。
 
私は先日、クリント・イーストウッド監督の「アメリカン・スナイパー」を観たのですが、その中に、オレンジ色の服を着た男がひざまずかされ、背後に黒い覆面の男が立っているテレビ画面がちらりと映りました。つまり後藤さんや湯川さんがされていたのと同じ状況です。さすがに首を切られる場面までは映りませんでしたが、敵が残虐なことをしているということを示すシーンです。
この映画はノンフィクションを原作としているので、たぶん事実を踏まえているはずです。
 
この場合の敵はザルカウィ一派です。まだイスラム国ができていないころです(つながってはいますが)
つまりイラクの反政府武装勢力は、昔から同じことをやっていたのですが、これは日本ではニュースになっていなかったと思います。
 
しかし、イスラム国が同じことをやると大きなニュースになります。
 
イスラム国が誰かを処刑したというニュースはいっぱいあります。アメリカ人の人質が殺されたとか、脱走しようとした中国人戦闘員3人が処刑されたとか、火あぶりの刑が行われたとか、検索すると、ビルの上から投げ落としたというのもありました。
 
では、イスラム国がどれくらいの人間を処刑したかというと、イラクではなくシリアでのことですが、シリア人権監視団によると、半年で1900人だということです。
 
半年で1900人処刑 イスラム国、残虐性を誇示
 
同じシリア人権監視団によると、シリアでアサド政権は4年間に拷問で1万3000人近くを殺害したということです。
 
アサド政権の拷問で13000人近く死亡
 
半年と4年間で分母が違うので、それを考慮すると、殺した人数はイスラム国のほうが少し多いかもしれません。しかし、イスラム国が殺したのは「処刑」であるのに、アサド政権が殺したのは「拷問」です。
イスラム国よりはアサド政権のほうがはるかに残虐ということになります。
 
しかし、報道はイスラム国の残虐性を強調するものばかりです。
 
こうした報道は、有志連合がイスラム国への空爆を開始してからだと思います。
イスラム国を悪玉として描くと、有志連合の空爆が正当化されるので、そういう意図を持った報道になっているわけです。
 
欧米の報道がそうなるのはある程度しかたがないかもしれませんが、日本の報道まで同じになるのはおかしなことです。
欧米に追随するだけで独自の判断力のない日本の新聞社、テレビ局にはあきれるばかりです。

鳩山由紀夫元首相がクリミアから帰国しましたが、おかしな報道ばかりです。
たとえば、鳩山元首相が「パスポートを没収されればクリミアに移住することもある」と語ったということが報道されています。
しかし、日本でパスポートを没収されたら出国することができないので、クリミアに移住することもできません。ロシアにいる鳩山氏から日本政府がパスポートを没収するということもできるはずありません。
わけのわからない報道だなと思っていたら、テレビニュースの映像を見て納得がいきました。鳩山元首相は含み笑いをしながらしゃべっているのです。つまり記者から「パスポートを没収されたらどうするのですか」と聞かれて、そんなことがあるわけないと思って、冗談を言ったのです。
 
冗談をまともな発言のように報道するのはどうかしています。
 
いや、もっとどうかしているのは、日本政府の中に鳩山氏からパスポートを取り上げるべきだという声が出たことです。
これはもちろん言論の自由の否定です。
マスコミは鳩山氏の冗談を伝えるのではなく、日本政府の中に言論の自由を否定する声が出ていると、そちらをきびしく批判するべきです。
 
とにかくマスコミは、なにがなんでも西側寄りの報道をしなくては気がすまないようです。
次の毎日新聞の記事もへんです。
 
鳩山元首相:「納得できた」…クリミア編入に肯定的意見
 【モスクワ真野森作】ロシアメディアによると、ウクライナ南部クリミア半島を訪問中の鳩山件由紀夫元首相は11日、「民主的な住民投票を通じて、どう領土問題が解決されたか納得できた」と述べ、昨年3月のロシアによる一方的なクリミア編入を肯定的に捉える考えを示した。日本や欧米諸国が編入を国際法違反と批判する中、波紋を広げそうだ。
 
 クリミア南部ヤルタの地元首長との面会時に語った。「世界史に残る出来事になる」「住民投票がウクライナの法令にも合致していたことが分かった」などとロシア政府の見解に沿った感想も披露したという。
 
 現地の記者団には、「市民が幸せに暮らしている様子を見ることができた。軍事的影響を受けずに住民投票が実施されたのは明確だ。西側メディアは偏っている」と述べた。今回の訪問を日本政府に批判されたことについては、「批判があるのは我々の仕事が重要だからだ」と主張。「日本社会に編入の真実を伝える」と述べた。
 
 クリミア編入について、ロシアは昨年3月に親ロシア派主導で実施した住民投票で「賛成が9割」だったことを根拠に正当化してきた。だが、プーチン露大統領は今月9日放映のインタビューで、昨年2月にウクライナの親露政権が崩壊した直後に編入を決断したと明らかにしていた。
 
これはあくまで鳩山氏のクリミアでの言動を伝える記事ですが、最後の段落、『クリミア編入について、ロシアは昨年3月に親ロシア派主導で実施した住民投票で「賛成が9割」だったことを根拠に正当化してきた。だが、プーチン露大統領は今月9日放映のインタビューで、昨年2月にウクライナの親露政権が崩壊した直後に編入を決断したと明らかにしていた』という部分は、鳩山氏の意見の否定になっています。
 
記者や新聞社が鳩山氏の意見に反論したければ論説という形でするべきで、こういう記事の書き方はルール違反でしょう。
こういう記事だと、読者は自分で判断することができません。
新聞社の意見を読者に押し付けているのです。
 
それに、プーチン大統領がウクライナの親露政権が崩壊した直後に編入を決断していたとしても、それだけで編入が不当だということにはなりません。
 
一般には、「力による現状変更」だから編入は不当だといわれます。
しかし、クリミアにおけるロシア系住民の人権が侵害されていたら話は別です。
放置すると中国におけるチベット族のようになるとしたら、「力による現状変更」もやむをえないという判断もあるでしょう。
 
ですから、ほんとうに編入が不当だと主張したければ、「クリミアのロシア系住民への人権侵害はほとんどなかったにもかかわらず力による現状変更が行われた」というふうにいわなければなりません。
ところが、ロシア系住民の人権状況がどうであるかという報道はほとんどないので判断のしようがありません(親露派武装勢力によってウクライナ人の人権が侵害されているという報道はいっぱいあるのですが)
 
報道するほどの人権侵害がないのだという見方もあるでしょうが、私は前回の「いまだに生き続ける“西側”幻想」という記事で、ロシア系住民にウクライナ語の強制が行われそうになったということを書きました。これも人権侵害といえるはずです
それに、なんの人権侵害もなかったとしたら、選挙で多数のクリミア人が編入に賛成するはずがありません。
 
そこで西側メディアは「不正選挙」だったということを盛んに報道しましたが、大規模な不正選挙で住民の意志と違う選挙結果が出たら、住民が暴動を起こすかもしれませんし、平和裏に編入が行われるとも思えません。
 
西側メディアはクリミア人の人権はどうでもいいのでしょうか。
 
少なくとも鳩山元首相はクリミアを訪問してクリミア人の声を聞いています。
 
今回の鳩山元首相の行動は、日本人の人権感覚と、西側世界全体の人権感覚をあぶりだしたといえます。

鳩山由紀夫元首相がクリミアを訪問しましたが、この訪問については国内で強い反対の声がありました。
しかし、鳩山元首相の行動を批判する人たちの言い分はまともでしょうか。
 
高村副総裁「鳩山氏のクリミア訪問は国益に反する」
 自民党の高村副総裁は鳩山元総理大臣がクリミア半島を訪問したことについて、「国益に反することで遺憾だ」と強く非難しています。
 

  「鳩山由紀夫元総理がクリミアに行った。それもロシアのビザを取って行ったということは、力による現状変更を認めないという、日本の立場と相容れない。元総理が行くということは、日本の立場について国際社会に誤解をもたらすということで、国益に反することで遺憾だと思います」(自民党高村正彦副総裁)

 
 高村氏はこのように述べて、鳩山氏の行動は「国益に反する」と厳しく非難しました。
 
 また、高村氏は、民主党についても「鳩山氏を総理にしたことが総理在任中だけではなく、いまだに国益を害していることについて、少しは責任を感じていただきたい」と苦言を呈しています。(1112:47
 
私はこの中の「国益に反する」という言葉に笑ってしまいました。というのは、このところ「国益」という言葉をとんと聞いたことがないからです。
 
後藤さんと湯川さんが殺害されてから、「テロに屈しない」とか「罪をつぐなわせる」といった言葉は聞きますが、「国益」という言葉は聞きません。そもそもテロとの戦争に参戦することが国益に結びつくとは思えません。
慰安婦問題や靖国問題や侵略か否かなどの歴史認識についても、「日本の誇り」といった言葉は聞きますが、「国益」という言葉は聞きません。
 
また、「力による現状変更を認めないという、日本の立場」と言っていますが、アメリカはイラクでもアフガンでも力によって政権を倒しています。
そもそもイスラエルは、その土地を支配する国の承認なしに独立しないという国際慣例に反して、まさに「力による現状変更」による独立をして、アメリカはそれを後押しして、それが現在の中東の混乱の原因になっているわけです。
 
鳩山元首相を批判する人の論理はまったくご都合主義です。
 
 
そもそもウクライナの現政権は、選挙で選ばれた親露派政権を西側の援助を受けた勢力がクーデターで倒してできた政権ですから、これこそが「力による現状変更」です。
そして、この西側寄りの政権はロシア系住民にウクライナ語を強制しようとしました。ロシアがクリミアを編入したのは、ロシア系住民の人権を守るためであったとも言えます。
 
ところで、今「ウクライナ語の強制」で検索したところ、そのことを伝えるニュースサイトが見当たりませんでした(私は田中宇氏のメールマガジンで読んだのかもしれません)。そこで、あるブログから引用します。
 
1) 
 2月23日、ウクライナ暫定政府がロシア語等の準公用語化を決めた法律の廃止を決定(公用語としてはウクライナ語のみの使用を強制)。(注5)
 
 これは人口が6割を超えるクリミアのロシア人に対してウクライナ語を強制する意味を持つため、クリミア独立の大きな要因になった。
 
 
 2) 
 騒乱中のキエフでは、親ロシア派の市民が誘拐・暴行・殺害されている。
 
 そのため、クリミアやウクライナ東部に多いロシア系住民に恐怖が拡大していた。 
 
 (下記の注8も参照)
 
 
 3) 
 3月11日
 クリミア自治共和国議会とセヴァストポリ市議会は独立を宣言し、ロシア編入を求める決議を採択した。(注6)
 
 クリミアでもキエフと同様の狙撃事件が起きて2名が死亡。スナイパーの容疑者が拘束された。
 
 
このような事情を考えると、ロシアのクリミア編入は一概に批判できません。
 
ところが、日本におけるクリミアやウクライナに関する報道は、ほとんどすべてが「ロシア悪玉論」を前提としているので、まったく信用できません。
冷戦が終わってもいまだに“西側”が生き続けていて、報道のあり方を支配しているわけです。
 
ですから、日本にいて報道だけ見ていると、ウクライナとロシアのどちらが正しいのかまったくわかりません。鳩山元首相がクリミア入りする前に「日本には正確な事実が伝わっていない。住民がどういう気持ちでいるかこの目で見たい」と語ったのはもっともなことです。
 
鳩山元首相の行動が日本外交のあり方に反しているという批判はあるでしょうが、日本外交が正しいか否かを検討することはもっと重要です。
 
マスコミは“西側”幻想から早く卒業して、偏らない報道をしてほしいものです。

川崎市の中学1年生上村遼太君が殺された事件で、週刊新潮が容疑者のリーダー格の18歳の少年の実名と顔写真を掲載しました。
このことの是非についていろいろな議論がありますが、私が思うのは、要するに弱い者イジメだなということです。
犯罪容疑者は世の中で弱い立場に立たされ、マスコミはバッシングし放題ですが、少年の容疑者の場合は制約があります。マスコミはそれが不満なのでしょう。
 
ちょうど少年犯罪について池上彰氏と「謝るならいつでもおいで」の著者川名壮志氏が対談していて、その中にマスコミと少年犯罪について論じている部分がありました。
 
「少年事件は楽に数字を取れる」が招いたこと
川名:先ほど昔の方が少年事件は多かったとおっしゃいましたが、僕も調べてみたんです。
 
 警察庁の資料に「凶悪犯罪の検挙人員の推移」が載っています。統計にある1949年から2013年のうち、殺人で検挙された刑法犯少年(刑法犯の罪を犯した犯罪少年で、犯行時及び処理時の年齢がともに14歳以上20歳未満の少年をいう)の人数が最も多かったのは1951年の443人。池上さんが生まれた翌年です。そのころは1日に少年が1人以上、殺人で捕まっていた計算になります。最新データが2013年ですが、52人。なんと8分の1以下になったんですね。
 
池上:そう、激減したんですよね。
 
川名:1950年から1970年までの20年間が、殺人事件で検挙された少年が3ケタの時代です。少年犯罪が凶悪だったのは、池上さんが20歳になるまでの時代なんですよね。
 
池上:私は1980年からNHKの社会部記者として、警視庁の捜査一課を担当していました。捜査一課は殺人事件を扱うんだけど、殺人事件のニュースを書いても全国ニュースにならないんです。たいていがローカルニュースで終わる。珍しくないからですよ。
 
 ところが、だんだん殺人事件が減ってくると、逆に珍しいからニュース価値が上がる。それに加えて、民放のニュース番組やワイドショーが出てきたことが大きいです。
 
 こういう言い方は語弊があるかもしれないけれど、殺人事件の報道が実は一番ラクなんです。なぜなら、殺人事件が起こると警察が発表してくれるから。現場に行けばパトカーがいて、「絵になる」映像がとれる。リポーターが近所の人にマイクを向けて「怖いですね」と言ってもらえば一丁上がり。安易に数分間の映像ができちゃうわけです。これが捜査二課が扱う汚職事件とかだと、いくら取材しても報道できるか分からないリスクがある。
池上:今、民放ニュースを見ていると、殺人事件ばかりでしょう? 埋めなければいけないから、東京の局であっても、北海道でも福岡でも殺人事件があれば取り上げて、全国ニュースになってしまう。それを見たら「こんなに治安が悪くなっているのか」と思いますよね。
 
 少年事件は大人の事件より衝撃的だから、さらに大きな扱いになります。ある場所でAという少年事件が起こると、別のところでBという全く違う少年事件が起こったとき、またAの事件の話が蒸し返される。だから、少年事件が頻繁に起こっているような印象を受ける。それを警察は「体感治安が悪化している」という言い方をしています。
 
 少年犯罪は厳罰化の方向にあります。「体感治安の悪化」といった実態が伴わない理由で厳罰化に進むのは問題があると私は思っています。
 
自民党の稲田朋美政調会長は上村遼太君が殺された事件を受けて、「少年犯罪がひじょうに凶悪化している」と語り、少年法の見直しを示唆しましたが、これも要するに、事実を曲げてまでも弱い立場の犯罪容疑者をバッシングしているわけです。
 
今の世の中で起こっていることは、ほとんどすべてが「弱い者イジメ」で説明できます。
 
たとえば「テロに屈しない」と言いますが、実際はテロリストの力はうんと弱く、だから「テロに屈しない」と強そうに言っていられるのです。
ちなみに3月3日の米下院公聴会で、アメリカ中央軍のオースティン司令官は空爆でイスラム国の戦闘員8500人以上を殺害したと証言しています。
 
在日に対するヘイトスピーチもそうですし、生活保護バッシングもそうです。
在日も生活保護受給者も弱い立場だからバッシングされます。
 
学校でのイジメももちろんそうです。
上村遼太君が殺されたのも、少年グループ内のイジメだったのではないでしょうか。
 
経済的格差がどんどん拡大していくのも、経済的強者が経済的弱者をイジメているというふうに理解できます。
 
ところで、経済的格差についてはトマ・ピケティの「21世紀の資本」が話題になっています。私は「週刊ダイヤモンド」の「そうだったのか!ピケティ」という特集を読んだだけですが、ピケティは実証的に「資本の収益率は経済成長率を上回る」ということを明らかにしました。ただ、なぜそうなるのかと質問されて、「理由はわからないが、データを調べたらそうなっているんだ」と答えたそうです。
 
私はこれは簡単に説明できると思います。人間はほかの動物と同じく互いに生存闘争をしており、強者は弱者から収奪します。動物の場合はつねに同じことをしていますが、人間の場合は文化を蓄積していくので、その収奪のやり方がより強化されていくのです。

ですから、これは「文明の病」です。経済や文化、科学技術などは文明とともに進歩していくので見えにくくなっていますが、経済格差、権力格差も文明とともに拡大していくのです。
その解決のためにルソーは「自然に帰れ」と言いました。私は同じことを「本能に帰れ」と言っています。 

どんな社会がよいかというと、あまり本能から乖離しない社会だといえるでしょう。
行き過ぎた弱い者イジメや経済格差を是正していくことが今いちばんの政治の課題です。 

3月3日、訪米したイスラエルのネタニヤフ首相は米議会で演説し、オバマ政権の対イラン外交を痛烈に批判しました。
招かれた国の議会でその国を批判するとは、外交儀礼もヘチマもありません。
 
オバマ大統領とネタニヤフ首相は前から険悪な仲でした。
オバマ大統領がネタニヤフ首相を米議会で演説させるわけがありません。米議会は共和党が多数なので、共和党がネタニヤフ首相を招いて議会でオバマ批判の演説をさせたのでしょう。
 
米議会で誰が演説するかを決めるのはオバマ政権ではなく共和党なのだ――と気づいたとき、さまざまな疑問が一気に氷解しました。
 
安倍首相が5月の連休に訪米するとき、米議会で演説することになったという報道がありました。
 
54年ぶり…首相、米議会で演説へ GWに実現、祖父・岸首相らも実施 
 日米両政府は、安倍晋三首相が4月下旬からの大型連休中に訪米するのに合わせて、米議会で演説を実施する方針を固めた。戦後70年の節目を迎え、安全保障や経済をはじめ幅広い分野で日米関係を深化させることが相互利益につながるとアピールする狙いがある。政府関係者が21日、明らかにした。
 
 首相は先の大戦への反省を踏まえ、戦後一貫して平和国家としての道を歩んできた日本の姿勢を強調し、未来志向の関係を重視してきた。演説は、こうした安倍首相の考えを反映させるほか、日米両国が戦後、アジア太平洋地域をはじめ世界の平和と安定のために貢献してきた経緯についても言及するとみられる。
 
 首相は、訪米中にオバマ大統領と首脳会談を行い、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や、自衛隊と米軍の役割分担を定めた「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定についても協議する見通しだ。
 
 歴代首相では、首相の祖父、岸信介元首相らが米議会で演説しており、昭和36年当時の池田勇人首相以来54年ぶりとなる。また、日本の首相としては前例のない上下両院合同会議で演説する案も浮上している。
 
 関係者によると、来日した米国のデゲット下院議員ら超党派議員グループが16日、安倍首相と官邸で面会した際、「議会で演説できるようにしたい」と語ったのに対し、首相は「そうなればいい」と応じていた。
 
安倍首相とオバマ大統領の仲は悪く、オバマ政権は安倍首相の歴史認識に不信感を持っていますから、ほんとうに安倍首相は米議会で演説するのだろうかと疑問に思っていました。
しかし、共和党に決定権があるのなら、話は違います。
ただ、共和党にしても安倍首相の歴史観をよしとしているわけではありません。
 
そこで思い出したのが、安倍首相のイスラエル訪問です。
安倍首相は1月にイスラエルを訪問してネタニヤフ首相と笑顔で握手し、イスラム国を刺激して、結果的に湯川さんと後藤さんが殺害されました。
実はこのとき、ちょうどイスラエルを訪問していた米共和党のマケイン上院議員らと安倍首相が会っているのです。
外務省のホームページから引用します。
 
安倍総理大臣のイスラエル訪問
7)マケイン米上院議員他による表敬
(ア)119日午後,安倍総理大臣は,同地訪問中のジョン・マケイン上院議員(軍事委員長)をはじめとする米連邦上院議員7名(コーカー議員(外交委員長),グラハム議員,バラッソ議員,ドネリー議員,ケイン議員及びキング議員他)による表敬を受けた。
 
(イ)安倍総理から,日米関係への貢献に謝意を述べるとともに,戦火を交えた日米両国が戦後和解して強固な同盟国となったこと,今後も両国で連携して地域と世界の平和と繁栄に貢献してきたこと,今後も両国で連携して貢献していきたい旨述べた。両者は,アジア太平洋地域における日米同盟の重要性につき認識を共有した。
 
安倍首相がイスラエルを訪問したときに、たまたまマケイン議員らもイスラエルに来ていたから会ったのかと思っていましたが、これはむしろ計画されたもので、安倍首相と米共和党は互いの結束を確認したのだとすれば、納得がいきます。
 
安倍首相は米議会で演説したいために、オバマ政権ではなく共和党に接近し、共和党の望む親イスラエルの姿勢を示したのです。
共和党から見ると、米議会での演説というエサで安倍首相を釣ったわけです。
 
それまで日本の中東外交は、イスラエルにも周辺のアラブ諸国にも偏らないよう細心の注意を払って行われてきましたが、なぜここで親イスラエルに路線変更が行われたのか、納得がいきました。
安倍首相の名誉欲のためだったのです。
 
 
安倍政権が米共和党に接近することは、オバマ政権にとっては不愉快なことです。
 
在米韓国系団体が安倍首相の議会演説阻止に動き出しているという報道もあり、安倍首相の議会演説が実現しない可能性もあります。
 
安倍首相は米議会で演説したいという名誉欲に駆られ、日本外交をすっかりゆがめてしまいました。

川崎市で中学1年生の上村遼太君が殺された事件で、少年3人が逮捕され、どうやら犯行を認める供述を始めたようです。
 
この事件について世の中はずっと大騒ぎしていました。被害者が中学1年生という若さだったことと、カッターで首や顔を切るという残忍な手口だったこと、そしてそれがイスラム国の手口を真似たものらしいことなどが騒がれた理由でしょうが、それだけとも思えません。
 
この事件は、容疑者が特定される前から、明らかに不良少年グループにおける犯罪と思われました。ですから、おとなたちは自分とは無関係だという思いで騒いでいられたのでしょう。
たとえば、自民党の稲田朋美政調会長はこの事件を受けて、「少年犯罪がひじょうに凶悪化している」「犯罪を予防する観点から、今の少年法のあり方でいいのか」と語り、少年法の見直しを示唆しました。
少年犯罪が凶悪化するどころか年々減少していることは今では常識です。稲田政調会長はこの事件に悪乗りするおとなの典型です。
 
この事件に対する反応は、テロに対する反応に似ています。つまり、ゴキブリを見つけて叩いているみたいなものです。近視眼的で、事件の背景を見ようとする視点がありません。
 
これは少年が少年を殺した事件ですから、本来はおとなの責任、とりわけ親の保護責任と監督責任が問われるところです。
被害少年は顔にアザをつけていたり、バスケ部の練習に行かなくなったり、学校に行かなくなったりしていたわけですが、母親はなにもしませんでした。
加害者側の18歳の少年は、学校を辞めて、無職で、仲間と集まって酒を飲んだりしていたわけですが、親はそれに対してどういう態度をとっていたのでしょうか。
 
世の中には、加害少年を非難するだけでは足りないので、その親もいっしょに非難しようという人たちがいますが、私はそういうことを勧めているのではありません。
逆に、親にも問題があるのだから、加害少年ばかり非難するのは間違っているといいたいのです。
 
月並みな言い方ですが、人間は1人で生きているのではなく、互いに支え合って生きています。誰か1人が問題行動を起こしたら、それはその人間だけの問題ではなく、周りの人間の問題でもあるわけです。
とりわけこのケースでは、親元にいる未成年なのですから、本人よりもむしろ親に原因があるといってもいいぐらいです。
 
たとえば被害少年の母親はシングルマザーで、生活が苦しく、生活保護の相談にも行っていたということですから、子どもに十分に注意がいっていなかったのでしょう。そういう場合はどうするべきかといった議論をすることが生産的です。
 
しかし、世の中のおとなたちにとって、親の問題は自分自身の問題でもありますから、そこには触れたくないわけです。
そのために報道も少年の問題としてとらえ、もっぱら犯行の残虐さなどを強調する方向に行っています。
これは、イスラム国などのテロの報道と同じ構図です。
 
残虐さに目を奪われ、犯人を非難するだけで思考停止するのでは、犯罪もテロも防ぐことはできません。

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