安倍首相は訪米し、日米首脳会談、米上下両院合同会議での演説という日程をこなしました。
 
安倍首相は英語で演説しましたが、英語の発音にこだわりすぎたのか、読むのがあまりにもゆっくりでした。あれでは聞いてるほうが苦痛でしょう。英語の発音に異様にこだわる日本人の悪い面が出てしまいました。
 
また、これといって心を打つ表現もありません。
スピーチライターがいろんな方面に気をつかいすぎて、肝心のことがおろそかになったのでしょう。
 

安倍首相米議会演説全文

 
たぶん安倍首相の個人的な体験を語ったこの部分がいちばんの聞かせどころなはずです。
 
私個人とアメリカとの出会いは、カリフォルニアで過ごした学生時代にさかのぼります。家に住まわせてくれたのは、キャサリン・デル・フランシア夫人、寡婦でした。亡くした夫のことを、いつもこう言いました、「ゲイリー・クーパーより男前だったのよ」と。心から信じていたようです。ギャラリーに、私の妻、昭恵がいます。彼女が日頃、私のことをどう言っているのかはあえて聞かないことにします。デル・フランシア夫人のイタリア料理は、世界一。彼女の明るさと親切は、たくさんの人をひきつけました。その人たちがなんと多様なこと。「アメリカは、すごい国だ」。驚いたものです。のち、鉄鋼メーカーに就職した私は、ニューヨーク勤務の機会を与えられました。上下関係にとらわれない実力主義。地位や長幼の差に関わりなく意見を戦わせ、正しい見方なら躊躇なく採用する。――この文化に毒されたのか、やがて政治家になったら、先輩大物議員たちに、アベは生意気だとずいぶん言われました。
 
アメリカの「多様性」と「実力主義」という目のつけどころがありきたりですし、表現に冴えもありません。ユーモアの部分も、「笑ってください」という意図が見えすいて笑えません。
 
戦争にまつわるエピソードもいろいろ話しましたが、戦争の話が受けるだろうというのは、日本の右翼の考えそうなことです。しかし、日本とアメリカは戦争の話で共感する関係にはありません。裁いた側と裁かれた側だからです。
 
全体として、30年前の日本人のアメリカ観から一歩も進歩していないという印象を受けました。
また、冷戦時代の価値観からもまったく抜け出ていません。
 
 
さて、今回の訪米で日本はますます対米従属を深めました。
私は「日本はなぜ、『基地』と『原発』を止められないのか」(矢部宏治著)を読んで、頭の中がすっきり整理されました。
日本が行おうとしているのは対米従属だけで、それ以外にはありません。
 
これまで安倍首相は軍国主義を復活させようとしているのではないかという見方もありました。
靖国参拝、慰安婦問題否定、植民地支配・侵略の否定、東京裁判史観否定、自主憲法制定などの主張を見ていると、そんな気になるのもむりはありません。
しかし、一方で対米従属もどんどん深めているわけです。
軍国主義復活と対米従属は両立しません。
で、対米従属が優位にあるということは今回の訪米でも明らかになりました。
 
この流れはこれからも続くでしょう。
戦後70年記念談話のときも「侵略」や「謝罪」を入れることに安倍首相は抵抗するかもしれませんが、これはもう安倍首相の個人的な心情の問題で、国の政策とは関係ありません。
 
安倍首相としては対中国の問題にアメリカを巻き込んだと思っているのかもしれませんが、現実にはアメリカの対テロ戦争に日本が巻き込まれることになりそうです。
 
ですから、これからの日本の課題は、対米関係をどうするか、対米従属を脱してどう独立を達成するかということに尽きると思われます。