ウィキリークスは、アメリカが日本の中央省庁、民間企業など35カ所を盗聴していたということを公表しました。これは第1次安倍政権のときのことです。
これに対する日本政府の反応がいかにもです。
 
「盗聴、事実なら遺憾伝える」 日本政府が米に抗議へ 
 
日本政府は、米国家安全保障局(NSA)が政府要人らの電話を盗聴していたと内部告発サイト「ウィキリークス」が報じたことを踏まえ、米国に事実関係を確認したうえで抗議する方針だ。政府高官は「事実であれば、遺憾であると外交ルートを通じて米側に伝える」と表明した。
 
 ウィキリークスが報じた盗聴内容は第1次安倍政権時代にさかのぼるが、政府高官は「もし事実ならいまも続いている可能性がある」として情報管理体制の点検を急ぐ考えを示した。「現時点では事実かどうか確認できておらず、怪文書と同じレベルだ」とも語った。
 
 日銀は「情報収集中」とするにとどめた。三井物産と三菱商事は「事実関係を確認中」とした。
 
 日本政府内には「敵対国でも、友好国でも、情報を収集しようとするのは常識であり、不思議なことではない」との声も上がる。
 
ドイツのメルケル首相は、自分の携帯電話が盗聴されていたとわかったときは猛烈にアメリカに抗議し、オバマ大統領は「自分は知らなかった」と釈明し、今後同盟国首脳に対する盗聴はしないと約束させられました。それと比べると日本政府の腑抜けぶりが際立ちます。
 
 
また、東京高裁は7月30日、厚木基地の騒音訴訟で自衛隊機の夜間飛行差し止めと94億円の賠償の支払いを国に命じる判決を言い渡しました。
しかし、騒音のほとんどは自衛隊機ではなく米軍機であるそうですが、米軍機についての飛行差し止めは認められませんでした。
その理由は「国が米軍に基地使用を許可する仕組みはなく、差し止めの根拠がない」ということだそうですが、国民が米軍機の騒音で困っているのに日本の裁判所がなにもしないという理屈がよくわかりません。行政や立法に解決を命じるのが司法の役割というものです。
 
アメリカに弱いのは日本全体ですが、とくに日本の司法は弱いようです。砂川判決を出した田中耕太郎最高裁長官は、当時のマッカーサー駐日大使と何度も密会し、判決内容をあらかじめ知らせるということをしていました。
大津事件のときの裁判長はロシア政府や日本政府の圧力に屈せずに司法の独立を守ったと賞賛されますが、田中耕太郎長官は売国判決を書いた売国裁判官として非難されて当然です。しかし、逆に砂川判決は安保法案が違憲でないという根拠に使われたりしています。
 
 
日本の司法がアメリカに弱いということで思い出されるのが、トヨタの外国人女性役員が麻薬取締法違反容疑で逮捕されたとき、ケネディ大使が不起訴にさせるために動いたという報道です。
 
 
トヨタ元役員釈放で「積極的役割」=米大使
 

  米紙USAトゥデー(電子版)は8日、麻薬取締法違反容疑で逮捕されたトヨタ自動車のジュリー・ハンプ元常務役員が不起訴処分で釈放されたことに関し、ケネディ駐日米大使が日本側に接触し、「積極的な役割」を果たしたと伝えた。

  米当局者によると、ケネディ大使はトヨタ関係者にアドバイスしたほか、日本の当局とも 協議したという。トヨタ側は同紙に電子メールで回答し、「大使の支援に感謝すること以外に付け加えることはない」と述べた。米国務省報道官はコメントを避けた。 
 
 
この報道はどう見ても、ケネディ大使が日本の検察当局に働きかけて不起訴にさせたということです。
日本のマスコミでこういうことを書くところはありません。アメリカから伝わってくるだけです。
 
ケネディ大使がなぜそういう働きかけをしたかというと、アメリカ人を守るためということと、社会的に活躍する女性を守るというフェミニズム的観点もあったでしょう。
ケネディ大使などアメリカ人は、人権無視を平気でする後進的な日本の司法当局に働きかけるのは正義だぐらいに思っているのでしょう。
 
そうすると、そもそも日本の警察がジュリー・ハンプ元役員を逮捕したのもアメリカからの働きかけではないかということが考えられます。
 
だいたい日本の警察がトヨタのような日本を代表する企業の役員を逮捕するというのが不可解です。東芝の粉飾決算事件を見てもわかるように、司法当局は大企業に甘いものです。
それに、この事件は「父親が処方された薬を娘が飲んだ」というだけのことで、麻薬犯罪組織と関わったわけでもなく、もともと立件するのがむずかしそうです。それなのに警察はトヨタ本社など数カ所を家宅捜索して大ごとにし、トヨタの企業イメージは大きくダウンしました。
 
トヨタの企業イメージがダウンして利益を得るのはアメリカです。アメリカの司法当局に日本の警察が動かされたのではないでしょうか。アメリカの司法当局に反フェミニズムの感情があるとすれば、活躍する女性を標的にする作戦を立てても不思議ではありません。
 
そうすると、この事件は日本の司法を舞台にしたアメリカの司法当局とケネディ大使の代理戦争だったということになります。
 
少し脱線したかもしれませんが、日本の司法や政治がアメリカにまったく弱いのは事実ですし、日本がかかえるほとんどの問題はそこからきているのではないかと思えるぐらいです。