上海ディズニーランドがオープンした6月16日は、各ニュース番組がそのことを取り上げていましたが、どこも内容がほとんど同じでした。観客と従業員のマナーが悪いということばかりです。
観客については、行列の割込み、ゴミのポイ捨て、食べ物の持ち込み、落書き、柵やポールへのよじ登り、立ち入り禁止の芝生への立ち入り、寝転がり、果ては子どもにオシッコをさせるなど。
従業員については、座り込んで休んでいる、散乱するゴミを無視している、スマホに没頭しているなど。
日本人はどうしても東京ディズニーランドと比較してそういうところに目が行くのかもしれませんが、そういうことに情報として価値があるのでしょうか。中国人のマナーが悪いのは周知の事実です。
新しいディズニーランドができたのですから、そこにどういうアトラクションがあって、それはどれくらいおもしろいのかということがいちばん肝心な情報のはずです。
ですから、東京ディズニーランドに詳しい人をレポーターにして、いろんなアトラクションを体験した上で、東京と比較しながらその評価を語ってもらうなどがいいのではないでしょうか。
東京ディズニーランドが好きな人は、上海ディズニーランドに行くべきかどうか迷っているはずで、そういう人には価値のある情報です。
ワイドショーなどでは「中国人のマナーが悪い」というのはよくやるネタですが、今回は普通のニュース番組もそればっかりになったので、驚きでした。
日本人は中国が嫌いです。
世界40か国を対象にした中国への好感度調査というのがあって、それによると中国を世界で一番嫌っているのは日本人です。
中国に対する好感度が最も高かったのはパキスタン(82%)で、ガーナ(80%)、ロシア(79%)、マレーシア(78%)が続き、アフリカでは他にも70%を上回る国が多かった。中国を好ましくないとした人が多かったのは日本(89%)、ベトナム(74%)、ヨルダン(64%)、ドイツ(60%)、トルコ(59%)。全体的に見ると、好ましいと考える人の比率は55%、好ましくないと考える人の比率は34%となった。
日本人が中国を嫌いな理由はいろいろあるでしょうが、やはり世界第二の経済大国だったのが中国に抜かれたというのが大きいでしょう。
そう考えると、今まで東京ディズニーランドはアジアで一番で、従業員のおもてなし精神のすばらしさはある意味日本人の誇りともなっていましたから、上海ディズニーランドができたことは日本人にとって脅威です。そのため、ああしたネガティブな報道になったのでしょうか。
ともかく、日本人は中国が嫌いですから、報道もそれに迎合したものになりがちです。ネットの情報は前からそうでしたが、最近はテレビのニュース番組までそうなってきたわけです。
そのため国民感情とメディアの相互作用で中国嫌いスパイラルが加速しています。
今年3月に公表された内閣府の「外交に関する世論調査」(昨年10月実施)で、中国に対して「親しみを感じない」「どちらかというと親しみを感じない」の割合が83.2%に達した。1975年から続くこの調査で、過去最悪の数字である。かつては「親しみを感じる」が8割近くもあったのに、いまでは全く逆の状態だ。
実は世界はまったく逆で、中国好きがふえています。
先の40か国調査ではこうなっています。
米調査機関ピュー・リサーチ・センターは先ほど、世界40カ国で中国の好感度に関する調査を実施し、最新データを発表した。中国を好ましいと考える世界の人は、2014年の時点で49%だったが、この数値は2015年に54%に上昇した。中国を好ましくないと考える人は、38%から34%に低下した。IBTimesが6月24日に伝えた。
日本の報道だけ見ていると、中国嫌いは世界中でふえているような気がしますが、実際は中国好きがふえているのです。
日本人の中国観もガラパゴス化しているのではないでしょうか。