村田基の逆転日記

進化倫理学の威力を試すブログ

2016年12月

ハワイの真珠湾を訪問した安倍首相は1228日、オバマ大統領とともに所感を表明し、不戦の誓いと和解の意義を強調しました。
 
今ごろ「和解」という言葉が出てくるのにびっくりです。1951年のサンフランシスコ講和条約で和解したはずです。
「不戦の誓い」という言葉も意味不明です。自衛戦争をやらないという意味であるはずはありません。では、外国で戦争をしないとい意味かというと、安倍政権はすでに集団的自衛権行使を容認しています。まったく空疎な言葉です。
 
安倍首相の「所感全文」を読んで感じるのは、ひたすらアメリカに忠誠を誓う姿です。
たとえば、こんな部分があります。
 
 
戦争が終わり、日本が、見渡す限りの焼け野原、貧しさのどん底の中で苦しんでいた時、食べるもの、着るものを惜しみなく送ってくれたのは、米国であり、アメリカ国民でありました。
皆さんが送ってくれたセーターで、ミルクで、日本人は、未来へと、命をつなぐことができました。
そして米国は、日本が、戦後再び、国際社会へと復帰する道を開いてくれた。
米国のリーダーシップの下、自由世界の一員として、私たちは、平和と繁栄を享受することができました。
敵として熾烈に戦った、私たち日本人に差しのべられた、こうした皆さんの善意と支援の手、その大いなる寛容の心は、祖父たち、母たちの胸に深く刻まれています。
私たちも、覚えています。
子や、孫たちも語り継ぎ、決して忘れることはないでしょう。
 
 
アメリカが食料を援助してくれたことなど、日本人もほとんど忘れかけています。いつまで感謝し続けなければならないのでしょうか。
 
年配の人なら小学校の給食で出た脱脂粉乳を覚えているはずです。あまりのまずさに、これがほんとうに人間の飲むものかと思いながら飲んでいましたが、脱脂粉乳は家畜のエサだったとあとで知って、納得しました。
 
いくら無償援助とはいえ、家畜のエサを人間に与えるとはとんでもないことです。当時のアメリカ人は日本人を人間と見なしていなかったのでしょう。今、アフリカなどに対する食糧援助で同じことをやったら、大問題になるはずです。

小麦粉の援助も、日本にパン食を普及させ、将来小麦粉の消費地に育てようという戦略からあったからです。

それらを無条件にありがたがる安倍首相は、いまだに占領軍の洗脳が解けないのでしょう。

安倍首相の頭の中にあるのはアメリカのことばかりなのです。
「不戦の誓い」というのも、アメリカと戦争をしないという意味なら理解できます。
 
 
アメリカ人戦没者ばかり慰霊してアジアを無視するのかという批判があるのは当然ですが、日米関係だけに限っても、安倍首相の態度は間違っています。
 
日本のアジアに対する戦争にはなんの正当性もありませんが、アメリカに対する戦争は、差別された有色人種が欧米列強の植民地主義に本格的な反撃をした戦争として、人類史的にも大きな意義があります。
日本がアメリカに勝利して、欧米が植民地支配について謝罪するという展開になれば、人類史はきわめて明快なものになったでしょう。
 
日本はアメリカに負けてしまったので、いまだに欧米は植民地主義や人種差別について謝罪も反省もしていません。そのため世界はずっと混乱しています。
イスラム過激派の自爆テロはもちろん日本軍の特攻の衣鉢を継ぐものです。
 
安倍首相は歴史に残る演説をしようとするなら、欧米の植民地主義を批判するべきでした。そうすれば、世界中から称賛の声が上がったでしょう(そのためには日本がみずからの植民地主義をちゃんと謝罪しておかないといけませんが、安倍首相は細川首相や村山首相のやったことをぶち壊しにしています)
 
安倍首相は演説のあと、元米軍兵士と会って言葉を交わしました。その元米軍兵士は「謝罪する必要はない」と語りましたが、ひざまずいて靴をなめている相手に謝罪しろという人はいないでしょう。
 
安倍首相の真珠湾での態度は、アメリカとの戦争で死んだ日本人兵士に対する冒涜です。
 

ちょっと前ですが、1111日に2016年版「犯罪白書」が発表されました。
ところが、この報道の仕方がメディアによってまったく違います。
 
産経新聞の記事は、全体を簡潔にまとめています。
 
 
刑法犯109万件、13年連続減少 平成28年版「犯罪白書」(産経新聞)
 平成28年版の犯罪白書が11日、閣議で報告された。それによると、27年の刑法犯の認知件数は109万8969件(前年比9.4%減)と、13年連続で減少。ピークだった14年の約285万件から、4割弱にまで減ったことが分かった。
 犯罪種別でみると、依然として「窃盗」が刑法犯認知件数の7割以上を占め、80万7560件。ただ、前年比では8万9699件減少し、刑法犯全体の認知件数減少につながったものとみられる。
 交通関係や薬物関係などの特別法犯は、検察庁で新規受理した人員は41万5944人(前年比1%減)だった。このうち過失運転致死傷などの摘発は53万697人(同6.5%減)、危険運転致死傷は622人(同26.9%増)。また、DV(ドメスティックバイオレンス)事案は108人と、24年以降、高止まりの傾向となっていた。
 
 
次の時事通信の記事は、もっぱら高齢者の犯罪に焦点を当てています。
 
 
高齢受刑者、過去最多に=凶悪化進む-犯罪白書(時事通信)
金田勝年法相は11日午前の閣議で、2016年版の犯罪白書を報告した。15年に刑務所へ入所した65歳以上の高齢者は2313人で、全体の10.7%を占め、現在の集計方法となった1984年以降最多となった。高齢者の刑法犯検挙人数は高齢化社会を反映し、05年に4万人を超えてから高止まりしており、15年は4万7632人だった。
 15年に検挙された高齢者を罪名別でみると、暴行・傷害が前年比7.7%増の5523人と急増。殺人(164人)と強盗(127人)もそれぞれ増加傾向にあり、高齢者犯罪の凶悪化が進んでいる実態が浮き彫りとなった。一方、窃盗は前年並みの3万4429人。遺失物等横領はピークの06年に1万人を超えた後は減少しており、3446人だった。
 特集では再犯防止策を取り上げた。刑法犯の検挙人数は04年に38万9297人とピークを迎えて以降は減少に転じ、13年からは毎年戦後最少を記録している。ただ、検挙者に占める再犯者の割合である再犯者率は上昇し続けており、15年は48.0%だった。(2016/11/11-10:24
 
 
高齢者犯罪に焦点を当てると、高齢化社会ですから、犯罪の数が増えて深刻化しているということになります。
しかし、犯罪白書を紹介する記事なのですから、こういう書き方はまともではありません。
産経新聞の書き方はまともです。
 
しかし、産経新聞のような書き方は例外です。どのメディアも「犯罪は深刻化している」と印象づける記事を書いています。
それは見出しだけ見ても明らかです。
 
 

犯罪白書公表再犯者割合は過去最悪47%(日テレNEWS24)

 
刑法犯の検挙人数、戦後最少を更新 再犯者率は過去最高(朝日新聞)
 
性犯罪「顔見知り」3割 犯罪白書、20年で3倍に(日経新聞)
 
女性受刑者が20年で倍増 女性の“不倫願望”原因と元刑事(日刊ゲンダイ)
 
ほとんどの人は見出しに影響されて「犯罪は深刻化している」というイメージを持つに違いありません。 

念のために法務省のサイトも紹介しておきます。

平成28年版犯罪白書のあらまし(法務省)
 
 
刑法犯の認知件数は,2002年をピークに13年連続で減少し、2015年には戦後最少を記録し、ピーク時の4割弱になったのですから、激減というべきです(殺人・強盗などの凶悪犯罪もへっています)
ただ、高齢者犯罪とか高齢者の再犯者率とか幼児虐待とか、部分的には増えているものがあるので、そこに焦点を当てると「犯罪は深刻化している」という印象の記事が書けますし、現実にそういう記事がほとんどです。
なぜそうなるかというと、犯罪報道はマスコミにとって優良コンテンツなので、「犯罪は深刻化している」というイメージが必要なのです。また、法務省なども予算獲得のためにはそのほうが好都合なので、そうした記事を後押ししているかもしれません。
 
私などもブログを書くときは、世の中の問題点を指摘して、警鐘を鳴らすという書き方をすることが多いので、犯罪がへっているというニュースは取り上げにくくなります。
そこで、とりあえずマスコミ批判という形で取り上げたわけです。
 
実は「若者の犯罪離れ」という形で取り上げようかとも思いました。
社会の格差が広がっているのに犯罪が減少するというのは不可解です。
誰かちゃんと理由を解明してもらいたいものです。

12月の初め、たまたま通りがかったある駅前広場でイルミネーションの点灯式をやっていて、地元の高校のブラスバンド部が演奏していました。
2人の女子高生が漫才のようなかけ合いで曲紹介をやるのがいかにも今風です。
夜空にちなんだ曲ということで「アクエリアス」が紹介され、その演奏を聴いていると、これは確か反戦歌だったなと思いました。

「アクエリアス」は1960年代のブロードウェイミュージカル「ヘアー」の代表曲です。歌詞に反戦的なものはあまり感じられませんが、「ヘアー」が反戦的なミュージカルですから、反戦歌といっても間違いではないでしょう。
当時、ベトナム戦争は多いときで50万人以上の米兵が送り込まれて、アメリカの若者にとっては大ごとでしたから、さまざまな文化にベトナム戦争の影響がありました。
 
あれから50年がたって、今では単に星座の歌とされても当然です。
しかし、「アクエリアス」を聴いているうちに、これからもまた反戦歌の時代が巡ってくるだろうなと思いました。
アメリカはテロ戦争をしていて、これからトランプ政権によって戦争激化は必至です。
 
 
反戦歌といえば、ボブ・ディランの「風に吹かれて」が有名です。
ボブ・ディランは今年ノーベル文学賞を受賞しましたが、ノーベル平和賞はコロンビアのサントス大統領が受賞しています。
サントス大統領は、左翼ゲリラのコロンビア革命軍との停戦合意を実現し、50年近く続いた内戦を終わらせた功績が評価されました。
 
サントス大統領は受賞式のスピーチで、ボブ・ディランの「風に吹かれて」の歌詞「どのくらいの人が死んだら、多くの人が死んだと気付くのだろうか。友よ、答えは風に吹かれている」を引用し、「私たちの美しい大地に多くの苦しみと絶望をもたらした戦争はついに終わった」と宣言しました。
つまり、答えは風に吹かれているのではなく、話し合いにあると言ったわけです。
 
戦争を終わらせるのは、敵との話し合いです。今年のノーベル文学賞とノーベル平和賞を選んだノーベル財団の意図も、それを示すことにあったのでしょう。
 
ベトナム戦争においても、アメリカは1969年からキッシンジャー大統領補佐官が北ベトナムと交渉を始め、1973年にパリ和平協定を成立させました。結局、戦争を話し合いで終わらせたのです(キッシンジャー氏はこの功績でノーベル平和賞受賞)
 
アメリカはテロ戦争を15年やって、まったく勝利の展望もないのに、いまだに話し合いをしようとしません。
テロ組織は明確な実体のないものが多いのですが、ISやタリバンはちゃんとした組織があるので、アメリカはその気になればいつでも話し合えます。
アメリカは「テロリストと話し合いをしない」という意味不明の方針を堅持しています。
 
アメリカはオサマ・ビン・ラディンの住居を襲撃したときも、捕らえるのではなく殺害しました。アルカイダやISの幹部も多数が殺害されていますが、捕らえて裁判にかけるという例はありません。
日本やドイツについて東京裁判やニュルンベルク裁判をやったのとは違います。
裁判でテロリストが主張することを恐れているとしか思えません。
 
アメリカが方針を変えて話し合い路線に転じれば、テロ戦争の終結は可能です。
というか、アメリカが軍事力や警察力でテロ戦争に勝利できるとは思えないので、それしか方法がないはずです。
 
話し合いで戦争を終わらせられるというノーベル財団とサントス大統領のメッセージは明快です。
問題はアメリカがそれを聞く耳を持たないため、相変わらず答えは風に吹かれているということです。

1219日、ベルリンのクリスマス・マーケットにトラックが突入し、12人が死亡した事件はテロと断定されましたが、この事件の報道が例によって大げさです。
最近では、エジプトはカイロのコプト教会で25人が死亡する自爆テロがありましたが、それと比べてもマスコミの取り上げ方がまったく違います。
 
この取り上げ方の違いは、差別主義というしかありません。差別主義は、ヘイトスピーチという形だけではなく、一見人命尊重を装うような報道の形でも表れます。
日本は欧米の文化の影響を強く受けているので、白人崇拝と非白人蔑視、それとイスラム敵視の考えに知らずしらずに染まっています。
そして、そうした差別主義がテロの原因になっているという面もあるわけです。
 
19日にはトルコのアンカラでもロシアの駐トルコ大使アンドレイ・カルロフ氏が銃撃されて殺されるテロ事件がありました。犯人は現職の警官で、銃撃後に「神は偉大なり」とか「シリアを忘れるな。アレッポを忘れるな」と叫んだということが報道されていますが、ほかに「われわれの同胞が安全でない限り、おまえたちも安全ではない」とも叫んでいます。
 
ヨーロッパのほとんどの人は、シリア内戦でいくら人が死のうが関心がありません。シリアから難民が自国に押し寄せてきても、いくつかの犯罪を大げさに仕立てて追い返す口実にしています。
そして、自国でテロが起こって初めてあわてるわけです。
そういう意味では、テロリストが「われわれの同胞が安全でない限り、おまえたちも安全ではない」と叫んだ気持ちもわかります。
 
このように言うと、テロリストに味方するのかと言われそうですが、テロには原因があると言っているだけです。
 
テロというのは「奴隷制社会における奴隷の反抗」みたいなものです。
奴隷制をそのままにして奴隷の反抗だけなくそうとしてもうまくいきません。
が、今のテロ対策はそのようなものです。
 
ベルリンのトラックテロやトルコのロシア大使殺害テロを受けて、トランプ米次期大統領は「テロリストは地球上から根絶しなければならない」とツイートしました。
これこそ愚かさの極みです。9.11テロから15年、テロ戦争を続けてきて、テロは激化するばかりです。今までできなかったことがこれからできるとは思えません。かりに今いるテロリストを全滅できたとしても(絶対不可能ですが)、テロリストが新たに出てくれば意味がありません。
ジャーナリストはトランプ氏に「テロリストはいつまでに根絶できるのか」と聞くべきです。
 
 
ところで、欧米の人種差別主義や白人至上主義においては、日本人も差別の対象です。
しかし、日本人はほとんどそのことを気にしません。というのは、人種差別主義や白人至上主義を内面化しているからです。
つまり自分を白人より一段下に位置づけているのです。
これを外人コンプレックス、ないし白人コンプレックスといいます。
 
たとえば、先日プーチン大統領が来日して日ロ首脳会談が行われた際、プーチン大統領は2時間40分も遅刻しましたが、日本政府も日本国民も抗議も怒りもしませんでした。もし中国習近平主席が遅刻して安倍首相を待たせたら、日本にはかなり怒りの声が満ちるでしょう。
 
トランプ氏は明らかに人種差別主義者、白人至上主義者ですが、安倍首相は面会して「信頼できる指導者であると確信した」と語りました。
 
日本外交は、中国や韓国に対するときと、アメリカやロシアに対するときではまったく違います。
日本人が白人コンプレックスにとらわれている限りまともな外交はできないでしょう。
 

日ロ首脳会談は、日本が三千億円の経済協力だけ約束して、領土問題ではなんの進展もないというお粗末な結果に終わりました。
安倍首相はテレビに出まくって弁明に努めていますが、失敗したのは明らかです。
 
1218日に放映されたNHKスペシャル「スクープドキュメント北方領土交渉」を見ました。
「スクープ」というほどの内容はありませんし、もうひとつ煮え切らない印象です。おそらく安倍政権に遠慮して交渉失敗と決めつけられないために、曖昧になってしまったと思われます。
 
驚いたのは、安倍首相、国家安全保障局長、外務審議官、総理大臣秘書官ら中心人物の会議にまでNHKのカメラが入り込んでいたことです。
会議の冒頭だけテレビカメラで撮影するというのはよくありますが、どうやらずっと撮影していたようです。おそらく官邸は、「領土問題で歴史的進展! その内幕のすべて」という感じの政権プロパガンダ番組にするつもりで撮らせていたのでしょう。しかし、交渉は失敗に終わって、煮え切らない番組になってしまったわけです。
 
その番組でいくつか印象に残ったことを紹介します。
 
 
安倍首相は何度もプーチン大統領と会談して、領土問題でなにかいい感触を得たらしく、交渉にのめり込んでいきます。
どうしていい感触を得たのかということが問題ですが、その根拠として、プーチン大統領から昭和天皇即位の礼で打たれた12振りの日本刀のひとつが安倍首相に贈られたことが挙げられます。
これが美しい装飾の施されたみごとな日本刀で、実に絵になります。
この刀について、プーチン大統領と安倍首相の間でこのようなやり取りがあったということです。

「コレクターから買ったものだが、贈呈したい。本物だという鑑定書もある」
「すばらしい刀だ」
「このようなものは祖国に帰るべきだ」
「ありがとう。時をへてついに祖国に帰るということだ」
 
「祖国に帰るべきだ」という言葉がなにかのメッセージだという見方が日本政府の中に広がったということです。
もし領土問題で進展があったら、これは実に興味深いエピソードです。
しかし、結果は、みんな間抜けな解釈をしていたということになります。
 
一時はプーチン大統領もその気だったのかもしれませんが、その後、領土問題できびしい態度を取るようになります。
日本はアメリカに配慮しすぎて、北方領土に米軍基地ができる可能性を否定しないなど、ロシアに安全保障上の懸念を抱かせてしまったようです(オバマ政権は日本に高官を派遣して日ロ交渉に横やりを入れていました)
 
プーチン大統領は1027日に、北方領土における共同経済活動について、記者会見でこう語っています。
 
「日本の主権下で共同経済活動をするというなら、次の交渉はない。話はそれで終わりです」
 
しかし、安倍首相は交渉を継続しました。
ということは、日本の主権を認めなかったということでしょうか。
このころ、日本のマスコミもロシアの“食い逃げ”に終わるのではないかという懸念を書き立てます。
 
そして、安倍首相は日ロ首脳会談2日前にこんなふうに語りました。
 
「相手を信じるという信頼関係がなければ、結局物事は進んでいかないんですね。だまされるのではないか、罠にはまるのではないかという猜疑心を持てば、お互いそういう気持ちに陥ってしまって、結局もとに戻るということになります」
 
「相手を信じる」というのは、外交交渉ではなくて信仰みたいなものです。
日本はアメリカに対して、信じればきっと応えてくれるという態度でやってきました。
安倍首相はそのため、まともな外交のやり方がわからなくなったのでしょう。
 
安倍首相は、領土問題で進展がなかったら経済協力の提案を引っ込めるという当たり前の外交交渉ができず、ロシアの“食い逃げ”を許してしまいました。
 
安倍首相はみっともない弁明をせず、失敗を認めるべきです。
そうしないと、また同じ失敗を繰り返すことになります。

1215日、プーチン大統領が日ロ首脳会談のために来日しました。
日本がロシアと関係を深めることをアメリカは快く思っていません。これは日本としては珍しい“自主外交”です。
しかし、日ごろ対米従属外交をしている日本が急に自主外交をやろうとしてもうまくいきません。
 
たとえばプーチン大統領は、12月7日の読売新聞と日本テレビとのインタビューで、「制裁を受けたまま、どうやって経済関係をより高いレベルに発展させるのか」と言って、日本がウクライナ問題でロシアに経済制裁していることを批判しました。
 
日本がロシアに経済制裁をしているのは、もちろんアメリカに要請されたからですが、その一方で、安倍首相はロシアに「8項目の経済協力プラン」を提案しています。こっちで経済制裁をして、こっちで経済協力しようと言うのは、どう考えてもおかしな話です。
 
そうしたところ、次の記事を読んで、改めて日本の外交の実態がわかった気がしました。
 
ロシア、訪日前に強硬姿勢 平和条約巡る共同声明も困難
 
この記事から一か所を引用します。
 
プーチン氏が問題視するのは、日本の米国との同盟関係そのものだ。「日本が(米国との)同盟で負う義務の枠組みの中で、どの程度ロシアとの合意を実現できるのかを見極めなくてはならない」「日本は独自に物事を決められるのだろうか」と、疑問を呈した。
 
これに対して、谷内正太郎国家安全保障局長が11月に訪ロしました。
国家安全保障局(日本版NSC)といえば日本の安全保障政策の要をなす組織で、外務省出身の谷内正太郎はその初代局長です。
谷内局長はロシアでこんな発言をしました。

 同月上旬、モスクワ入りした谷内正太郎・国家安全保障局長は、ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記と会談。複数の日本政府関係者によると、パトルシェフ氏は、日ソ共同宣言を履行して2島を引き渡した場合、「島に米軍基地は置かれるのか」と問いかけてきた。谷内氏は「可能性はある」と答えたという。
 日本の主権下であれば、日米安全保障条約が適用される。谷内氏の言葉は、日本政府の立場として「当然の回答だった」(日本政府関係者)。だが、11月中旬にリマであった日ロ首脳会談で、プーチン氏はロシアとしての原則論を強調。首相は会談後、自ら期待値を下げるように「大きな一歩を進めることはそう簡単ではない」と語った。
 
 
2島が返還されれば、そこに日米安保条約が適用されるのは当然ですが、米軍基地をつくるかどうかは、アメリカが一方的に決めることではありません。アメリカがつくろうとしても、日本が断ればいいだけの話です。
 
念のために日米地位協定を見てみましたが、こう書かれています。
 
第二条

1(a)合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区 域の使用を許される。個個の施設及び区域に関する協定は、第二十五条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。

 
なにか密約があるのかもしれませんが、領土返還という新事態には適用されないと主張すればいいのです。
 
谷内局長の「可能性はある」という言葉には、「日本の意志」というものが感じられません。
こと米軍基地に関しては、完全に思考停止に陥ってしまうようです。
「当然の回答だった」と言った“日本政府関係者”も同じです。
 
谷内局長が「2島に米軍基地はつくらせない。約束する」と言えば、ロシアの態度も変わっていたかもしれません。
 
谷内局長や政府関係者の“対米従属ボケ”した頭では、自主外交はとうてい不可能です。

俳優の成宮寛貴氏が「フライデー」にコカイン吸入疑惑を二度にわたって報じられた直後、芸能界引退を表明しました。展開があまりに早いこともあって、引退することはないとか、フライデーはけしからんといった声が優勢です。
また、自身のセクシュアリティのことも引退の理由に挙げられていたため、同性愛などで引退するのはおかしいという意見もあります。
 
しかし、成宮氏に同情的な人たちも、もし成宮氏が警察に逮捕されたら、一転して成宮氏を非難するでしょう。
成宮氏もそのことがわかっているので、いち早く引退表明をしたのではないかと思われます。
 
成宮氏を好きな人、成宮氏のことを親身になって考える人は、薬物使用という事実を知っても、非難したりしません。逆に、体は大丈夫だろうか、離脱できるだろうか、今後の芸能活動はどうなるだろうかと心配するはずです。
薬物を使用している人を非難したら、現実から逃げたくなって、よけい薬物にはまってしまいます。

 
私がこの件で思ったのは、成宮氏の周りの人たちは、成宮氏のうわべしか見ていないのだなあということです。それがもしかして成宮氏を薬物に走らせたのかもしれません。
次の記事などその典型です。
 
 
成宮寛貴 俳優仲間、芸能リポーターが明かした素顔「正義感強い」
 
 2日発売の写真週刊誌「FRIDAY」が、俳優・成宮寛貴(34)のコカインなど薬物の使用疑惑を報じた。同日放送の各局報道番組でも疑惑報道を取り上げ、親交のある俳優仲間や芸能リポーターらが成宮の印象を語った。
 
 フジテレビ系「直撃LIVE グッディ!」では、俳優・八嶋智人(46)が「友達だったりするので、どういうことになっているのか知りたいと思っています」と厳しい表情でコメント。ドラマでの共演をきっかけに「何度もご飯を食べたことがある」と親交があることを明かし、さらに「現場ではとっても正義感が強くて、芝居の取り組み方も真面目な青年だと認識しています」とその印象を語った。
 
 「取材は何度もしている」と話すのは、芸能リポーターの駒井千佳子氏(51)。日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」で、インタビュー中の成宮について「いつも目をじっと見て答えてくれる」と説明。「“僕の答え、大丈夫ですか”“こういう時ドキドキしてしまうので”と話していた」と取材時のエピソードを披露し「誠実ですし、一生懸命な人だという印象」と話した。
 
 また、フジテレビ系「とくダネ!」では成宮が幼いときに両親が離婚し、自らが働いて弟の学費をねん出していたことを伝え、小倉智昭キャスター(69)が「苦労した人がそんなことをするとは思えない」と語っていた。
 
 成宮は1日夜に所属事務所を通じて、薬物使用は「一切ございません」と完全否定。所属事務所も発行元の講談社に対し法的措置を取るとの声明を発表した。
 
 
このときはみんなシロという前提でコメントをしています。しかし、それを読むと、逆にクロではないかという気がしてきます。
「東スポWeb」の『「コカイン疑惑報道」成宮寛貴テレ朝の新ドラマ降板も』という記事にも似たコメントがあります。
 
 
 現場での成宮の評判は良かったという。「いつもめちゃくちゃニコニコしていて機嫌がいい。他の出演者もスタッフも、周囲は誰も不審な点に気付かなかった」(ドラマスタッフ)
 
 
要するにここに描かれるのは、「むりしていい人を演じている」という人間像です。
だめな部分、わがままな部分を隠して、つねにいい人を演じていると、そのストレスから逃れるために薬物に走るというのはありがちです。
 
成宮氏が引退表明をしてからは、負の部分も報道されるようになりました。
たとえば「夕刊フジ」の『衝撃引退の成宮寛貴氏に命の危険…捜査当局がビデオ入手か 違約金は1億円超とも』という記事にはこう書かれています。
 
 
渦中にあるコカイン使用疑惑については、不穏な情報も。「麻布や六本木周辺のクラブによく出入りし、個室で挙動不審な行動をすることが多かった」と事情通。さらに「成宮氏が薬物を吸っていると称したビデオが出回っており、捜査当局も入手しているとも言われています」とも。
 
 
仕事の現場ではつねによい人を演じていて、六本木などの不良仲間の前ではだめな部分を出していたのでしょうか。
仕事現場の人が成宮氏の深いところまで見る目を持って、本音のつきあいをしていればどうなっていたかと思わざるをえません。
 
私が中でもひどいと思ったのが、小倉智昭氏のコメントです。
成宮氏は幼くして両親が離婚して母子家庭で育ち、母親が14歳のときに亡くなったので祖母の家に引き取られ、自分は高校を諦めて働いて弟を大学までやったということですが、それについて小倉智昭氏は「苦労した人がそんなこと(薬物使用)をするとは思えない」とコメントしました。
苦労した人を突き放すようなコメントです。私は特攻隊を賛美する人を連想しました。悲惨な現実を美化して、同情や共感といった心理的負担を回避しようとする人です。
成宮氏は親の愛を十分に受けられなかったのに、自分が弟の親代わりを務めてきたわけで、こういう苦労した人こそ周りの人間がささえなければならないのです。
 
成宮氏の周りの人たちが、苦労した人に対する同情や共感をもう少し持っていれば、成宮氏もまた別の人生がありえたのではないかと思わざるをえません(成宮氏がクロであるという前提の書き方になっていますが、もちろん推測でしかありません) 

トランプ氏が大統領選に当選した背景には白人中間層の不満があったと言われますが、これがよくわかりませんでした。
 
トランプ氏は選挙戦で「外国に奪われた雇用を取り戻す」ということをしきりに訴えました。しかし、アメリカの11月の失業率は4.6%でしたし、今年はほぼ4%台で推移しています。これは完全雇用に近い数字です。
アメリカ経済は先進国の中で唯一好調です。EUや日本がマイナス金利から抜け出せないのに、アメリカはすでに利上げの方向に動き出しています。ダウ平均はこのところ最高値を更新中です。
 
トランプ氏は、アメリカの企業がメキシコなどに工場を移転させるのはけしからんと言って、現に移転をやめさせたりしています。
しかし、2015年の1人当たり名目GDPでいうと、メキシコ人はアメリカ人の6分の1の所得しかありません(中国人はさらに下)
工場が人件費の安い国に移っていくのは当然のことです。それによって貧しい国が豊かになりますし、アメリカ人も安い製品を買うことができます。
日本においても、ひところ工場がどんどん中国に移転していきましたが、それに文句を言う日本人はほとんどいなかったと思います。
ですから、白人中間層が外国に雇用を奪われていることに怒っていると言われても、納得がいきません。
 
アメリカでは格差社会がどんどん拡大しています。白人中間層はそれに対して怒っているのかと思いましたが、それも違うようです。
というのは、白人と黒人の格差も拡大しているからです。
 
 
白人と黒人の資産額格差、25年間で3倍に拡大 米
ニューヨーク(CNNMoney) 米ブランダイス大学は24日までに、白人とアフリカ系(黒人)国民の間の資産額の格差は過去25年で約3倍に拡大したとの調査結果を発表した。
()
米調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、白人世帯の資産額の中間値は2011年の時点で、9万1405ドル。黒人は6446ドルだった。自宅の所持者が黒人に極めて少ないことが大きな要因となっている。
()
黒人の所得額は白人より総じて低く、蓄財が難しい環境にも置かれている。米調査企業Sentier Researchによると、黒人世帯の所得額の中間値は今年6月時点で3万5416ドル。白人は5万9754ドルだった。
()
 
 
白人中間層は格差社会においてはむしろ勝ち組です。
黒人やヒスパニックや若者が格差社会に不満を持ってサンダース氏を支持したというのはわかりますが、トランプ氏を支持した白人中間層がなにに不満を持っていたのかは謎です。
しかし、朝日新聞に載った次の記事を読んで納得がいきました。
 
 
 ■「特権」気づかせる教育を 出口真紀子さん(文化心理学者)
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 権力にある側が差別を抑えるどころか、むしろ助長している。それは日本も同じです。沖縄で米軍ヘリパッド建設に抗議する人たちに向けられた「土人」という罵声を、現職の沖縄北方相が「差別とは断定できない」と擁護したのも、その表れです。
 日米で共通しているのは、差別の対象にならない人々、マジョリティー(多数派)の多くは危機感を抱いていないことです。マジョリティーは労することなく得た優位性を持っていて、心理学では「特権」と呼びます。土人発言問題では、本土の人々が沖縄ではなくたまたま本土に生まれたということが特権です。特権集団は、自分には特権があるという認識が欠けていて、社会的抑圧の現実を否定するか見ないようにしがちです。
 トランプ氏は米国ではまさにマジョリティーです。白人で、男性で、経済的には上流階級に属し、宗教的にも少数者ではありません。さらに「それが何か」と開き直っているようにみえます。選挙中に叫んだ「アメリカを再び偉大に」という言葉には、人種的マジョリティー、つまり白人のアメリカを取り戻せという意味が込められています。
 
 
白人中間層は恵まれているのに、それに気づかず、現状に不満を抱いて、もっといい目をしたいと思っているのです。
しかも独善的で、貧しいメキシコへ工場が移転することまで阻止しようとしています。
これはキリスト教の「七つの大罪」の「強欲」と「傲慢」に当たります。彼らはキリスト教徒を自認しているかもしれませんが、堕落したキリスト教徒です。
 
ただ、白人中間層には、やがて自分たちが少数派になるという危機感があったと思います。トランプ氏はそれを利用しました。メキシコ国境に壁を築くというのは、白人支配をいつまでも続けさせるという意味でしょう。
 
トランプ氏の言うアメリカ・ファースト、つまりアメリカ第一主義とは、「強欲」と「傲慢」の別名です。
日本を初めとする世界は、これからトランプ政権を教え諭していかなければなりません。

安倍首相は12月末に真珠湾を訪問し、オバマ大統領とともに戦没者の慰霊を行うということですが、謝罪はしない見込みです。
オバマ大統領が広島を訪問したので、そのお返しということでしょうが、お互いに謝罪しないのではほとんど意味がありません。
 
日本軍は宣戦布告前に攻撃したので、アメリカ人はいまだに“だまし討ち”という認識です。これを公式に謝罪すれば、アメリカ人の対日感情がよくなることは確実です。
 
また、先制攻撃はパリ不戦条約違反です。日本はパリ不戦条約を批准していたために、満州事変、シナ事変などと言って、戦争という言葉を使わなかったのです。
いや、条約を持ち出すまでもなく、他国の領土に対する先制攻撃は「侵略」とされて当然です(アメリカの対応は自衛戦争です)
日本はアメリカに対する侵略についても謝罪しなければなりません。
 
謝罪するべきことを謝罪すれば、日本は堂々と主張するべきことを主張できるようになります。
これは今後、日本がトランプ政権と対峙していく上でもたいせつなことです。
 
 
アメリカは先住民虐殺と黒人奴隷制の上に建国された史上最悪の人種差別国家です。
 
日本では坂上田村麻呂の蝦夷征伐などが先住民虐殺に当たるかもしれませんが、このときは帰順する者には土地を与え、同化政策が取られました。
ローマ帝国、モンゴル帝国、オスマン帝国などでも、土地を奪うために他民族を殺し尽くすということはしていません。
しかし、アメリカでは先住民に対する同化政策というのはなく、最後はごく狭い居留地に追い詰めるまで殺し尽くしています。
 
古代ローマ帝国の奴隷制では、奴隷から解放されて自由の身になれる制度があり、その子どもからは市民権が与えられました。しかし、アメリカの黒人奴隷に自由の身になれる制度はありません。

リンカーンは奴隷を解放した偉大な大統領とされますが、黒人に対して謝罪も補償もしていません。それに、黒人は解放されたとはいえ、実質的に公民権が与えられませんでした。公民権法が制定され法的に人種差別が終わったのは1964年のことです。
 
しかし、その後も実質的な人種差別は残って、多くの黒人は貧困です。
ポリティカルコレクトネスという言葉狩りによってその実態は隠され、温存されてきました。
 
欧米の学者や知識人もほとんどが人種差別主義者なので、アメリカがこのような史上最悪の人種差別国家であるとは指摘しません。日本の知識人も欧米式の教育を受けているので同じです。
 
こうしたことは、すべての偏見から解放された“科学の目”で見ることで見えてきます。
 
 
これまで隠されてきた人種差別主義、白人至上主義をあおることでトランプ氏は大統領選で勝利しました。
トランプ氏はあからさまな人種差別主義者です。
当然、日本人も差別します。
 
たとえば、トランプ氏は選挙戦の中で、日本製品が米国人の雇用を奪っているなどと主張し、その日本観は80年代のままではないかと言われました。しかし、トランプ氏は現役のビジネスマンですから、今の日本を知らないはずがありません。とにかく日本を攻撃すれば差別主義的な有権者の支持が得られるので、有権者のイメージに合わせて主張しただけです。
ですから、トランプ氏に今の日本についての正しい知識を持ってもらえば対日政策も変わるだろうというのは甘い考えです。
 
これから日本の政治家や当局者がトランプ大統領と交渉するとき、「この人は偉大なアメリカ大統領だ」などと思っていては、まともな交渉はできません。
「こいつは最悪の人種差別主義者だ」と思って、差別主義者を退治するつもりで交渉することです。
 
 
それにしても、安倍首相とオバマ大統領がいっしょに真珠湾で戦没者の慰霊をすることで日米の和解を演出しようというのが、安倍首相の真珠湾訪問の狙いであるようですが、日米和解ムードなどはトランプ氏が一言「アベはなぜだまし討ちを謝らないんだ」とツイートすれば吹き飛んでしまいます。
大丈夫でしょうか。 
 
 

トランプ次期米大統領は国防長官に「狂犬」の異名を取る海兵隊出身のジェームズ・マティス氏を指名しましたが、その発表の仕方がいかにもトランプ流でした。
 
 
軍出身者、相次ぎ要職に 国防長官、マティス氏
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 「ほかの人に言ってはダメだ。会場の中だけの秘密にしてほしい」。トランプ氏は1日、大統領選の勝利宣言以来初めてとなるオハイオ州での集会で、もったいつけた上で「国防長官に指名するのは、マッドドッグ(狂犬)・マティスだ」と叫んだ。大歓声に包まれ、まるでプロレスの選手紹介のようだ。
 これまでの人事は、ネット上で短い声明とともに発表していたが、今回は大規模集会の場だった。トランプ氏はマティス氏を、第2次世界大戦中に対ドイツ戦線で活躍した猛将パットン氏に重ね合わせ、「現代のパットン大将」と評した。さらに「私は軍人経験者が好きだ」とも語った。
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トランプ氏は大衆の喝采を浴びるのが好きで、戦うことが好きなようです。
 
トランプ氏は大統領選においても、共和党の対立候補を次々と文字通り罵倒して打ち負かし、最後はクリントン氏も打ち負かしました。普通の人は戦い続けるとうんざりしてくるものですが、トランプ氏はそれが生きがいになって、逆にやめられないのではないかと思われます。
 
橘玲著「言ってはいけない残酷すぎる真実」という本は、差別主義的な部分があるので注意しないといけませんが、ためになることも書かれています。
たとえば、生まれつき安静時心拍数の少ない人がいるということです。そういう人は恐怖を感じることが少ないので、普通の生活をしていると刺激が少なくて物足りません。
爆発物処理の専門家には安静時心拍数の少ない人が多く、恐怖をあまり感じないという性質を生かして社会に貢献していることになります。冒険家、投資家、起業家などにもそういう人が多いと想像されます。また、犯罪者にもいます。普通の生活では物足りないので、刺激を求めて犯罪に走ってしまうわけです。
 
映画「ハートロッカー」(キャスリン・ビグロー監督)の主人公は、イラクで爆発物処理をする米兵ですが、アメリカに帰還し、平凡な生活に戻ると、その平凡さが耐えられなくなって、またイラクに戻っていきます。恐怖なしでは生きられないという人間の姿を描いています。
 
私などは人よりも恐怖心が強く、また人とトラブルになるのもいやなので、トラブルが起こりそうになると、多少損をしてもいいので自分が譲歩してしまいます。
 
トランプ氏は私の正反対の性格です。
トランプ氏は4回破産を経験しています。ぎりぎりまで投資するので破産もするわけです。そういう崖っぷちに立つことが生きがいになっているのでしょう。
破産すると、債権者と面倒な交渉をしなければなりませんが、それもトランプ氏には生きがいなのでしょう。そうでなければ4回も破産しません。
 
トランプ氏は交渉が好きです。TPPを離脱して二国間交渉をすると言っています。この交渉は友好的なものではなく、力で相手をねじ伏せることで、戦いと同じです。
 
トランプ氏は国内企業とも交渉しています。
米エアコン製造大手のキャリア社は1130日、インディアナ州にある工場を海外移転しないことでトランプ氏と合意したと発表しました。これで約千人の雇用が守られたということです。
トランプ氏は政権人事をしながら、こんな交渉もしていたのです。
 
個別企業と交渉するというやり方でほんとうに雇用が守られるのか疑問ですし、そもそも資本主義的ではありません。交渉好きのトランプ氏の趣味でしょう。
 
また、トランプ氏の政権移行チームは12月2日、トランプ氏が台湾の蔡英文総統と電話協議したと発表しました。米中国交正常化以来、米大統領や米次期大統領が台湾の総統と接触したと発表されるのは初めてです。案の定、中国外務省はトランプ氏に抗議しました。
 
トランプ氏に対中関係と対台湾関係になにか戦略があるとは思えません。要はトラブルを起こして、それを楽しんでいるのでしょう。
 
トランプ政権の主要人事は、現時点で国務長官以外はほぼ決まりました。人種差別主義者と反イスラム主義者が顔をそろえています。
 
世界は、史上最悪の米大統領に備えなければなりません。

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