村田基の逆転日記

進化倫理学の威力を試すブログ

2017年09月

民進党と小池百合子都知事率いる「希望の党」が合流しそうな雲行きです。
 
小池氏は激動する政治状況で素早く決断して行動することに天才的な能力があります。
郵政選挙のとき、刺客第一号に名乗りを上げ、それから一気に小泉自民党が大勝する流れをつくりました。
去年の都知事選のときも、小池氏は唐突に立候補を表明し、自民党都連関係者が不快感を示す状況でしたが、自公推薦候補に大差をつけて勝利しました。
それから政治塾で人を集め、都議選に「都民ファーストの会」として多数の候補を立て、ほとんどを当選させました。
そして、今回の「希望の党」としての国政進出です。
小池氏が都知事に当選したのが去年の7月ですから、目まぐるしい展開です。
 
私は小池氏の行動に、そのつどこれがうまくいくのだろうかと首をかしげますが、結果は小池氏の圧勝になります。
今回もうまくいくのではないでしょうか。
 
 
9月27日の希望の党設立の記者会見では、方針として「しがらみのない政治」「寛容な改革保守政党」「税金の有効活用」といった抽象的な言葉が並ぶだけでした。具体的な政策がありません。
しかし、それがいいのでしょう。
今、国民は安倍政権にうんざりしているので、代わりになりそうな政党ができれば票を集めるでしょう。具体的に政策を決めると、そのために逃げていく票があります。
 
ただ、小泉元首相と会談して、「原発ゼロ」という政策は表明しています。
政策は「原発ゼロ」一本というのもいいのかもしれません。
 
小池氏は関東大震災で殺された朝鮮人追悼メッセージを拒否したり、韓国人学校への都有地貸与の撤回をしたり、国旗国歌へのこだわりを示したりして、極右ではないかという声もあります。
しかし、小池氏はもともとそういう政治的立場のない人で、今は右翼的なことが受けると思ってやっているのでしょう。
以前は、トヨタのプリウスをいち早く購入するなどして、エコを重視する政治家をアピールし、環境大臣になったりしています。エコは国民受けするという計算からだと思われます。
最近は無電柱化推進を打ち出していました。これも国民にわかりやすい政策だからでしょう。
そして、今は「反安倍」が国民に受けると思ってやっているのでしょう。
 
小池氏の希望の党と前原氏の民進党がいっしょになったのでは、自民党と同じような政党がもうひとつできるだけではないかという見方があり、実際そうでしょう。
しかし、それでも安倍政権を終わらせることができれば、それだけでも意味があります。
とりあえず小池氏と前原氏の動きに期待したいと思います。
 

近ごろ気になるのは、金正恩氏の笑顔です。
公開される動画や写真でやたら“満面の笑み”を浮かべています。
 
「金正恩 笑顔」で検索した画像
 
私は最初のうち、あれはつくり笑いではないかと疑っていましたが、何度も見るうちにつくり笑いとは思えなくなりました。
演技でもいちばんむずかしいのは笑顔や笑いだとされます。不自然な笑顔はすぐにわかるものです。
 
金正恩氏が父の死で最高権力者の座についたのは201112月、27歳のときです。
最初のうちは固い表情ばかりでした。この若さで最高権力者の座が務まるはずがなく、実権は長老などが握って、金正恩氏はお飾りだろうと言われていました。
 
最近の笑顔を見ていると、完全に権力を掌握した自信の表れという気がします。
 
しかし、プーチン大統領やメルケル首相もリーダーシップに自信を持っているはずですが、あんな笑顔はしません。権力者というのはだいたい威厳のある顔をしているものです。
そうすると、金正恩氏の笑顔は、自分が成長したことを喜ぶ若者の素直な笑顔といったものでしょうか。
ネットで検索していると、「金正恩氏の天真爛漫な笑顔にいやされる」といった声がけっこうあります(とはいえ、金正恩氏は兄の金正男氏を暗殺したりしています)
 
金正恩氏は暗殺を恐れているという説もありましたが、あちこち視察に出かけていますし、ミサイル試射成功のときなどは喜んで近くの人に抱きついたりして、完全に周りの人間を掌握しているという自信がありそうです。
核ミサイルが実用段階に入っていることも自信の根拠でしょう。
 
金正恩氏は9月22日、自分の名前でトランプ大統領を非難する声明を発表しました。最高指導者名義で声明を発表することは、祖父の金日成も父の金正日もしなかったということで、ここにも金正恩氏の自信がうかがえます。
こうなってくると、自信過剰でなにかしでかすのではないかと、それが心配です。
 
 
ともかく、金正恩氏の笑顔を見ていると、経済制裁の効果がほとんどないことがわかります。
韓国銀行(中央銀行)によると、北朝鮮の2016年の経済成長率は3.9%となり、1999年(6.1%)以来17年ぶりの大きさになったということです。
 
プーチン大統領は、「北朝鮮は雑草を食べることになったとしても、自国の安全が保障されない限り(核開発の)計画をやめない」と言いましたが、それ以前の問題です。
 
安倍首相は国連演説で「対話ではなく圧力」と語り、経済制裁の履行を世界に訴えましたが、やったところでほとんど効果はありません。それは日本国民もわかっているでしょう。
危機感をあおって選挙を有利にしようという安倍首相の作戦ですが、北朝鮮の核ミサイルの射程内にある日本の首相のとるべき態度ではありません。
 

トランプ大統領は国連総会で演説し、「アメリカと同盟国を守らなければならないとき、北朝鮮を完全に壊滅するほか選択肢はない」と語りましたが、この手の過激表現はトランプ大統領のいつもの通りです。
それよりも安倍首相の演説にびっくりです。
 
北朝鮮制裁、全加盟国が行動を 安倍首相国連演説<要旨>
 
安倍首相は北朝鮮のことを「史上最も確信的な破壊者」と呼び、「対話による問題解決の試みは一再ならず、無に帰した」「必要なのは対話ではなく圧力だ」と軍事力行使をにおわせました。
 
それにしても、演説内容がでたらめです。「我々が営々続けてきた軍縮の努力を、北朝鮮は一笑に付そうとしている」と言っていますが、安倍政権は軍縮どころか軍拡を営々と続けてきて、核兵器禁止条約も無視しています。
正しい表現は「我々が営々続けてきた軍縮させる努力」です。自分は軍拡して、向こうは軍縮させようというのですから、うまくいくわけありません。
 
安倍首相は演説の最後にこう言っています。
 
北朝鮮はアジア・太平洋の成長圏に隣接し、立地条件に恵まれている。勤勉な労働力、地下資源を活用するなら、経済を飛躍的に伸ばし、民生を改善する道があり得る。そこにこそ、北朝鮮の明るい未来はある。
 
まるで北朝鮮のことを思いやっているようですが、北朝鮮がいちばん求めている安全保障のことを無視しています。これで北朝鮮が核放棄するわけがありません。
 
安倍首相はまた、「すべての加盟国による行動」や「国際社会の連帯」を訴えていますが、肝心の韓国との連帯ができていません。
韓国の文在寅大統領はやはり国連総会の演説で、「突発的な軍事衝突で平和が破壊されないよう、『安定した方法』で対処する必要がある」と訴え、「北朝鮮の崩壊を望まない」とも言いました。
安倍首相はまず文在寅大統領と会って意思統一をはかるべきですが、なにもやっていません。
 
北朝鮮の核問題の最大の当事者は北朝鮮であり、その次は韓国です。
安倍首相はこの二国の意向をまったく無視して北朝鮮の核問題を語っているのです。
 
やはりここには、慰安婦問題を見てもわかるように、安倍首相に限らず日本の保守派がおしなべて持っている韓国人・朝鮮人に対する差別意識があると思います。
安倍首相は、朝鮮半島で戦争が起こって人々が悲惨な状況になることをまったく気にしていないのです。
 
一方、安倍首相はアメリカのことは過度に気にして、トランプ大統領の意向を忖度してふるまっています。
いや、言葉は過激でも腰の定まっていないトランプ大統領を安倍首相が戦争へと引っ張っているような気もします。
 
メルケル首相やマクロン大統領が外交交渉による解決を訴えているのと比べても、安倍首相の態度は異様です。
 
日本はノドンの射程内にあり、北朝鮮は核兵器を小型化してノドンに搭載可能にしたとされています。
安倍首相は、アメリカに頼ってさえいれば日本は攻撃されないと信じているのでしょうか。 

9月17日で拉致問題が明るみに出てから15周年でした。
そのときに5人が帰国しただけで、それ以降は拉致問題についてはなんの進展もありません。
 
当時、金正日委員長は拉致を認め、謝罪しましたが、まだ隠しているだろうということで、日本国内で北朝鮮に対する非難が高まりました。
非難したくなるのは当然ですが、残った拉致被害者を取り戻したいなら、それなりの戦略を考えるべきでした。
 
拉致被害者は北朝鮮国内にいるわけですから、日本政府が捜査することはできません。北朝鮮政府にやってもらうしかないわけです。日本がいくら「拉致被害者すべてを明らかにしろ」と要求しても、北朝鮮がその気にならなければだめです。現に北朝鮮政府に調査を約束させたことはありましたが、北朝鮮政府にその気がないので、なんの結果も出ませんでした。
 
どうすれば北朝鮮政府をその気にさせることができるか。ここが考えどころでした。
 
 
ジョージ・ワシントンが子どものころ、父親がたいせつにしていた桜の木を切ってしまいましたが、ワシントンがそのことを正直に父親に話したところ、父親はワシントンの正直さをほめたたえたという話があります(この話は事実ではないようです)
この話は、正直のたいせつさを教える話とされていますが、実際は叱らないことのたいせつさを教える話です。もし父親がこのときにワシントンを叱っていたら、ワシントンはそれから嘘をつくようになったでしょう。
 
また、「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャンは教会から銀の食器を盗み、警察につかまりますが、教会の司教が「それは私が彼に与えたものだ」と言ってかばったので、ジャン・バルジャンは改心します。
 
金正日氏を改心させ、正直にさせたいなら、拉致を認めたことをほめて、許すことです。
日本国内では北朝鮮を非難する声が高まっていても、小泉首相と安倍晋三内閣官房副長官が個人的に金正日氏への感謝と信頼を表明して、国交正常化交渉を進めていけば、いずれ金正日氏がみずから残りの拉致被害者のことを話したかもしれません。
少なくともそれしか方法はなかったといえます。
 
それに、9月17日に拉致問題が明るみに出たときは、小泉首相と金正日委員長が平壌宣言に署名したときでもあります。
平壌宣言は、日朝国交正常化を目指すとともに、「朝鮮半島の核問題の包括的な解決」をうたい、北朝鮮側は「ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長する意向」を表明するものでした。
事態が平壌宣言の方向に進んでいれば、北朝鮮の姿は今とまったく違ったものになっていたはずです。
小泉氏と安倍首相の対応の誤りがつくづく悔やまれます。
 
現在、日本は北朝鮮への制裁と圧力を強めるように主張していますが、これもまったく同じ誤りをしています。
いくら制裁と圧力を強めても、北朝鮮が核を放棄するはずがありません。
 
制裁と圧力で北朝鮮の体制崩壊を目指すというなら、それはそれでひとつの戦略です(そのあとがたいへんですが)
しかし、日本やアメリカにそういう戦略があるわけではなく、ただ制裁のための制裁をしているだけです。
 
 
こうした誤りは、世の中にまともな倫理学が存在しないことからきています。
犯罪が起こったときも、世の人々は犯罪者を非難することで反省させようとしますが、非難されて反省する人はいません。寛容な心に触れたときに人は反省するのです。
ただ、犯罪者が反省しようがしまいが、世の中にとってはどうでもいいことです。どうせ刑務所に放り込むか死刑にするからです。
犯罪者を非難することは、世の人々にとって娯楽のようなものです。
 
しかし、北朝鮮という国は刑務所に放り込むわけにも死刑にするわけにもいきません。しかも、今や核兵器も持っているのです。
いつまでも「北朝鮮制裁」という娯楽をしている場合ではありません。
北朝鮮を反省させ、まともな国にするということに取り組むときです。
 

日本における北朝鮮関係の報道は“北朝鮮悪玉論”一色に塗りつぶされているのがあまりにも異様なので、私は北朝鮮にも生存権や自衛権があるという観点から、アメリカや日本の対応を批判してきましたが、歴史的観点から批判する人がいました。
 
朝鮮戦争の休戦協定は1953年に署名されましたが、それがそのままになっていて、ですから今も休戦状態です。これが異様な事態であることは誰もが感じているでしょうが、なぜそうなっているのかということはほとんどの人が知らないのではないでしょうか(私も知りませんでした)
 
9月13日のテレビ朝日系午前の「ワイド!スクランブル」を見ていたら、遠藤誉筑波大学名誉教授が「このような複雑な問題は出発点からひもとかないとわかりません」と言って、朝鮮戦争の休戦協定のことを解説しておられましたが、これが目からうろこの話でした。
遠藤氏は前からこのことをインターネットで発信して、著作でも書いておられたそうですが、あまり注目されていなかったようです。
 
遠藤氏の次の記事にもその話が書かれています。
 
失敗し続けるアメリカの戦略――真実から逃げているツケ
 
この記事から休戦協定に関する部分を引用しておきます。
 
 
◆アメリカが休戦協定を破っていることが根源的原因
 何度も繰り返すが、北朝鮮問題の根源的理由はアメリカが朝鮮戦争(1950625日~1953727日)の休戦協定(1953727日)を破っていることにある。
 休戦協定第60項では、休戦協定締結から3ヵ月以内に、朝鮮半島にいるすべての他国軍は撤退することとなっているが、アメリカを除くすべての軍隊が撤退したというのに、アメリカだけは撤退せずに今日まで至っている。休戦協定はアメリカが暫定的に提案したので、休戦協定の冒頭および第60項では、「終戦のための平和条約を結ぶこと」が大前提となっている。
 そのため平和条約締結と他国軍撤退のためのハイレベル政治会議を迅速に開催することが休戦協定60項には書いてある。それを実行するために195310月にジュネーブで開催された「ハイレベル政治会議招集のための予備会談」をアメリカだけがボイコット。
 しかし朝鮮戦争に参戦したのはアメリカが主導した「国連軍」である。
 朝鮮戦争を始めたのは北朝鮮で、金日成(キム・イルソン)の朝鮮半島統一の野心から始まった。だから、もちろん最初の原因を作ったのは北朝鮮であることは言うまでもない。悪いのは北朝鮮だ。その事実は動かない。
 しかし形勢不利と見て休戦を呼び掛けたのはアメリカだ。
 つまりアメリカが主導した国連軍なのである。国連加盟国のうち、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、カナダなど、22カ国に及ぶ。
 したがって、アメリカのボイコットは国際法違反だということで、当時の国際社会の非難の的となった。そこでやむなくアメリカは544月にジュネーブで開催されたハイレベル政治会議に出席したが、「休戦協定60項に基づく外国軍隊の撤去と平和条約締結」に関する話し合いはアメリカの反対により決裂した。
 なぜならアメリカは、休戦協定に署名しながら、同時に韓国との「米韓相互防衛条約」にも署名しているからだ。米韓相互防衛条約第二条には「いずれか一方の締約国の政治的独立又は安全が外部からの武力攻撃によって脅かされているといずれか一方の締約国が認めたときは、(中略)武力攻撃を阻止するための適当な手段を維持し発展させ、並びに協議と合意とによる適当な措置を執るものとする」となっている。つまり米韓軍事同盟を結んだことになる。
 そして米韓相互防衛条約第四条では概ね「アメリカの陸空海軍を、大韓民国の領域内及びその附近に配備する権利を大韓民国は許与し、アメリカ合衆国は、これを受諾する」となっており、さらに第六条では「この条約は、無期限に効力を有する」となっている。
 すなわち、完全に休戦協定第60項に反する条約に、アメリカはサインしているのだ。
 最初から休戦協定に違反しているのだから、「休戦協定を遵守すること」を考慮しない限り、北朝鮮問題など解決できるはずがない。
 
◆思考停止――なぜ日米はアメリカの国際法違反に目をつぶるのか
 忖度という言葉が日本では話題になった。
 主として、権力を持っている相手の意向を考慮して、それに沿うような形の選択をする行為として注目された。
 第二次世界大戦後、ほぼアメリカ一強でこんにちまで来た西側諸国や日本にとって、「アメリカに都合の悪い事実に触れてはいけない」というのが暗黙の了解で、見てみぬ振りをしてきた。それが習性となって、今では「アメリカが休戦協定違反をすることが正義」という錯覚に染まり、「そもそもアメリカが休戦協定違反をしていることさえ知らない」という思考停止状態にさえなっている。
 
 
アメリカが休戦協定違反をしている――こんな基本的なことを知らずにほとんどの日本人は北朝鮮問題を論じているのです。
 
もっとも、アメリカにも言い分はあるでしょう。米軍が半島から撤退すると半島が全部共産化されるので、それを阻止するのがアメリカの使命というわけです。
しかし、冷戦が終わったので、もうその理屈は成り立ちません。
 
今や北朝鮮を承認する国は百六十何か国もあり、ヨーロッパのほとんどの国が承認しています。
日本も、小泉首相が訪朝して署名した平壌宣言は国交正常化を目指すものでした。しかし、拉致問題があまりにも問題化したためにいまだに国交正常化ができていません。
 
今、日本とアメリカだけが北朝鮮に対して特殊な立場にいるのです。
 
 
もちろん北朝鮮は異様な独裁国家です。
しかし、撤退せず、平和条約への話し合いも拒否してきたアメリカがそうさせたという面も否定できません。
アメリカは毎年2回の大規模な米韓合同軍事演習をして北朝鮮にプレッシャーをかけ続けてきました。話し合いを拒否された北朝鮮が軍事力に頼る国家になったのはある意味必然です(北朝鮮は戦車と航空機を実質的に放棄しているので、韓国へ侵攻する能力はなく、もっぱら抑止力を強化しています)
 
アメリカは、北朝鮮には対話より圧力という態度です。
なぜアメリカはいまだに国交正常化と平和条約への話し合いを拒否するのでしょうか。
アメリカの対北朝鮮政策を問いただすことが先決と思われます。

9月11日はアメリカ同時多発テロから16周年でした。
テロの翌月にアメリカはアフガニスタン戦争を始めているので、アフガニスタン戦争も16周年です。「アメリカ史上最長の戦争」と言われていますが、トランプ政権はアフガン増派を決定していますから、まだまだ終わりそうにありません。
イラクもいまだに内戦状態です。
外国が武力で政権を転覆しても、そのあとがうまくいかないということがよくわかります。
 
ベルリンの壁崩壊で東欧圏の多くの国で政権の転覆が起きましたが、これはいわば自然発生したものです。
もしその前にNATO軍が侵攻して政権を転覆させていたらどうなっていたでしょうか。
東西ドイツが統一されたとき、旧東ドイツでは国営企業の倒産などで失業者が増大し、旧西ドイツでは援助コストに苦しみ、長い不況になりました。
もし東ドイツの政権が武力で倒されていたら、旧東ドイツの人々は現在の生活苦を「あのとき武力で政権が倒されたせいだ」と考えて、反体制運動やテロなどに走って、政情不安が起きたかもしれません。
 
外国の武力で政権が転覆されると、国民にとってはそのときの武力衝突自体がトラウマになりますし、それによってできた政権が自分たちの政権だという意識も持てないので、どうしても不安定な政権になります。
 
そういうことを考えると、北朝鮮に対して武力行使をするべきだという意見がありますが、そのときの戦争によって甚大な被害が生じるだけでなく、のちのち問題を残して、アフガニスタンやイラクのようなことにもなりかねません。とくに金正恩氏をアメリカ軍が殺すと、英雄視や神格化の対象となるということも考えられます。
 
 
考えてみれば、日本もまた外国軍によって“国体”を変えられた国です。
もっとも、互いに宣戦布告しての戦争ですし、日本が先制攻撃していますし、国民はある程度敗戦の不利益を受け入れる覚悟があったでしょう。
それでも、いまだに戦前の“国体”に戻したいという政治勢力が存在しています。
これはトラウマによるもので、理屈ではありません。そのため、この政治勢力は平和主義、主権在民といったものまで否定しようとしています。
 
70年以上たっても日本はまだトラウマを克服できていないのですから、アメリカ軍がいる限りアフガニスタン戦争は100年続いてもおかしくありません。
アメリカは「あとは野となれ山となれ」と思って撤退するのがアフガニスタンのためです。
 
アフガニスタン戦争を見ていると、民族自決権のたいせつさが改めてわかります。
北朝鮮はどうあるべきかという問題も、北朝鮮の国民と韓国が決めることです。
最近の日本における北朝鮮問題の議論を見ていると、民族自決権を忘れているかのようです。
 

北朝鮮がICBMの発射に成功してから、日本はずっと大騒ぎです。
しかし、ICBMは日本の上を飛び越えていくものですから、日本にとっては脅威ではありません。
日米の一体化があまりにも進みすぎて、日本人はアメリカへの脅威と日本への脅威が区別できなくなっているのでしょうか。
 
安倍首相はプーチン大統領に会って、北朝鮮への制裁に協力してくれるように頼みましたが、プーチン大統領は協力する気はなさそうです。
その理由についてプーチン大統領は、BRICS首脳会議後の9月5日の記者会見で「我々を北朝鮮と同じリストに入れた後、制裁への支援を求めるのはばかげている」と述べました。
つまりアメリカはウクライナ問題でロシアに経済制裁を行っているのに北朝鮮への制裁で協力を求めるのはばかげているというのです。
 
日本もアメリカに要請されてロシアに経済制裁を行っています。それでいて北方領土返還交渉をしているのですから、これもばかげています。
 
北朝鮮のICBMはアメリカを標的にしたものですから、アメリカ以外の国にとってはどうでもいいことです。ロシアも中国も表面的にアメリカに合わせているだけです。
 
ですから、北朝鮮への制裁が功を奏するはずはありません。
 
結局、アメリカは北朝鮮の核搭載ICBMの配備を認めることになるはずです(今はまだ技術的に完成していませんが、時間の問題です)
そうなったからといって、アメリカにとってはロシア、中国に北朝鮮が加わるだけのことです。
 
日本にとっても同じです。
というか、すでに日本は北朝鮮の核搭載ミサイルの脅威にさらされているのでした。
 
北朝鮮がノドンを試射して日本が騒いでいたころは、北朝鮮はまだ核爆弾の小型化に成功していませんでした。しかし、現在は小型化に成功しているとされます。
 
 
「ノドンは核弾頭搭載可能」 韓国統一相
ソウル=牧野愛博 20172142003
 韓国の洪容杓(ホンヨンピョ)統一相は14日の国会答弁で、北朝鮮の中距離弾道ミサイル「ノドン」(射程1300キロ)の核搭載能力について「可能だと考えている」と語った。ノドンは日本のほぼ全域を射程に収める。韓国は国防白書などで「核兵器の小型化能力は相当な水準に達している」としていた。
(後略)
 
 
北、核兵器13~30個保有か 「ノドン」搭載レベルに弾頭小型化 米研究機関が分析 
2017.4.2919:00
【ワシントン=黒瀬悦成】米政策研究機関「科学国際安全保障研究所」(ISIS)は28日、北朝鮮が核兵器を13~30個保有している可能性があるとの分析結果を発表した。このうちプルトニウムを原料に製造された核兵器数発が日本を射程に収める中距離弾道ミサイル「ノドン」に搭載できるほど小型化されたとみられるとしている。
(後略)
 
 
ですから日本としては、これらの記事が出たときに、北朝鮮の核ミサイルの脅威にさらされたとして騒がなければならなかったのですが、なんのイベントもなかったので騒ぐきっかけがなく、スルーしてしまいました。
 
ともかく、日本はすでに北朝鮮の核ミサイルの脅威に直面しているのですから、ICBMの発射に騒ぐのはますますおかしいことになります。
 
もちろん北朝鮮の核保有は好ましいことではありませんが、北朝鮮も自分を守る権利を持っています。
そういう世界に生きているということを認識して、世界を根本的に平和なものに変えていくしかありません。 

トランペット奏者の日野皓正氏が中学生の演奏会でドラムのソロパートをたたき続ける中学生に往復ビンタをした動画が公開され、またしても体罰論議が起きています。
 
事件のいきさつと議論をまとめたのが次の記事で、問題の動画も見られます。
 
日野皓正さん往復ビンタ「体罰容認」の空気を作ってしまう日本
 
日野皓正氏が大物であることに便乗して、沈黙していた体罰肯定論者が声を上げたということでしょう。
 
スティックを取り上げられても手でドラムをたたき続ける中学生が悪いから、日野氏の体罰は正しいという意見もありますが、中学生の行為は関係ありません。強い者が弱い者に一方的に暴力をふるうということは、どんな理由があってもだめに決まっています。
 
ただ、日野氏の側にもそれなりの理由はあったでしょう。
問題の中学生がドラムをソロで長時間たたき続けたために、ほかの中学生の演奏する時間がなくなるとか、聴衆がうんざりしているという事情があったと思われます。
ですから、ビンタをむりやり正当化するとすれば、「ほかの子や聴衆のためにやむをえなかった」ということになりますが、実際はビンタしなくてもやめさせられますから、やはりこの理屈は成り立ちません。
 
そこで、体罰肯定論者は「その子のためだ」と主張して、教育や道徳を持ち出して理由づけをします。
「ドラムをたたき続けた中学生が悪い」とか「言ってわからなければ体罰はしかたがない」とか「きびしくしないとわがままになる」とかです。
 
しかし、実際はわがままなおとながキレて、自分を正当化する理屈を言っているだけです。
もちろん体罰はその子のためになりません。体罰されると体だけでなく心がダメージを受け、繰り返されると人格がゆがみます。
そのゆがみが体罰肯定、暴力肯定の考えとして表れます。つまり暴力の連鎖です。
今回、日野氏に便乗して体罰肯定論を言っているのはそういう人なのでしょう。
 
それに、このケースでは、問題の中学生はソロでドラムをたたいているうちに乗ってきて、止まらなくなったものと思われます。それを暴力で止めると、次にまた演奏するうちに乗ってくると、そのときの記憶がフラッシュバックして、乗れなくなってしまうおそれがあります。つまりこのビンタは、この子の可能性をつぶしてしまったかもしれないのです。
 
そもそもジャズではこの中学生の暴走は少しもおかしいことではないという意見があります。「リテラ」の「日野皓正ビンタ事件で、中学生が非難され日野の体罰が支持される異常!教育的にもジャズ的にも日野がおかしい」という記事から一部を引用します。
 
 
 たとえば、元ジャズミュージシャンのギター講師・八幡謙介氏は自身のブログのなかで、〈「おのおの決まった小節ずつ平等にソロを回す」という決まりを本番で無視し、自分だけのドラムソロとして食ってしまうことは、<ジャズ的>には全然ありです〉と、少年の行動をジャズプレイヤーの見地から認めている。ただ、〈その後に<回復>できなかったのは彼の責任〉ではあるとしつつも、中学生では仕方がないことだと述べ、こうつづけている。
〈それにしても、この少年の勇気には脱帽です。
 考えてみてください、日本人の中学生が世界的アーティストの監督する舞台の本番で、自らルールを破りジャズの精神に則って<逸脱>したのです!(しかもスティック取り上げられても、髪を掴まれても反抗してる!!)
 この一点だけ見ても僕には彼がそこらへんのプロよりも立派な「ジャズミュージシャン」であると思えます〉
 
 
一方、日野氏のほうはあまりジャズミュージシャンらしくありません。
事件が起きたジャズコンサートは世田谷区教委主催で、地元の中学生による「ドリームジャズバンド」を日野氏が指導していたということですが、果たしてジャズというのは教えることができるものなのでしょうか。
クラシック音楽の世界は、小さい子どもに徹底した教育を行いますが、ジャズの世界はその対極にあるものです。
子どもに教えて演奏がうまくなっても、それはジャズといえるか疑問です。
 
今回の体罰論議は、「世界的なトランペット奏者」という肩書に惑わされ、体罰とは強者が弱者に一方的にふるう暴力であるという本質が見えなくなった人たちが引き起こしたものです。
 

9月3日、北朝鮮が地下核実験をしました。北朝鮮はICBM搭載可能な水素爆弾の実験に成功したと発表しています。
 
北朝鮮が核実験やミサイル発射をするたびに、日本では「挑発」だといって騒ぎになりますが、北朝鮮は「挑発」をしているつもりはないでしょう。ただミサイルと核兵器の実験をしているだけです。
そして、その目的はなにかというと、核抑止力を持つこと、つまり核の傘をつくることです。
 
北朝鮮のような貧しい国が自力で核の傘をつくろうとするのは愚かなことですし、他国にとっては好ましくありませんから、国際的に非難されるのは当然です。
しかし、アメリカと日本には北朝鮮を批判する資格はありません。
アメリカと日本は、自分は核の傘に守られていて、北朝鮮が同じことをしようとすると非難しているわけですから、あまりにも自分勝手です。
 
北朝鮮非難の国連決議はアメリカ主導でできますが、中国やロシアはもちろん、ヨーロッパやアジアの国の多くも、内心はアメリカと日本の自分勝手な主張にうんざりしているはずです。
 
日本では北朝鮮関係の報道は、北朝鮮の報道機関などの極端に過激な言葉ばかりが取り上げられるので、北朝鮮は頭のおかしな国というイメージになっていますが、安全保障についてはまともな戦略を持っています。
 
アメリカは強大な軍事力があるので、いつでも北朝鮮を攻撃できます。
それに対して北朝鮮は、長距離砲とロケット砲でソウルを「火の海」にする能力をもって抑止力としてきましたが、それでは不十分なので、アメリカ本土に届く核搭載ICBMを保有することで安全保障をしようとしているのです。
これは合理的な行動なので、やめさせる理屈がありません。
 
双方が相手を致命的に破壊できる核攻撃力を持つことで戦争を抑止できるというのが核抑止理論です。
今は、いつアメリカが北朝鮮を攻撃するかわからないので、平和とはいえません。朝鮮半島で戦争が起これば、日本も大きな被害を受けます。
北朝鮮が核ICBMを保有すればアメリカの攻撃は封じられ、世界は“平和”になります。
これは日本としても歓迎するべきことかもしれません。
 
 
以上に述べたことは核抑止理論を前提としています。
私は核抑止理論を信じているわけではありませんが、アメリカの核の傘を頼る日本政府は核抑止理論を信じているわけですから、北朝鮮を非難するのは理屈に合いません。
 
それにしても、日本政府は北朝鮮に対して制裁と圧力ばかり言っていますが、そんなことで北朝鮮が核を放棄すると思っているとすれば、甘すぎます。
北朝鮮とすれば、一度でも圧力に屈したら、次々と無理難題を突きつけてくると思っているので、絶対に圧力に屈することはありません。
北朝鮮に核放棄させようとするなら、アメリカなり国連なりが北朝鮮の安全を保障する以外にないというのは、わかりきった理屈です。
 

北朝鮮が8月29日に弾道ミサイルを発射し、日本ではJアラートが鳴って大騒ぎでした。
しかし、北朝鮮の脅威を圧倒的に感じているのは韓国です。戦争になればソウルは北朝鮮の長距離砲とロケット砲で「火の海」になります。
ですから、対北朝鮮政策をどうするかは韓国が中心になって決めるのが当然です。
 
韓国の文在寅大統領は8月15日の光復節の演説でこう語りました。
「朝鮮半島での軍事行動は大韓民国だけが決めることができ、誰も大韓民国の同意なく軍事行動を決定できません。政府はすべてを賭けて戦争だけは防ぎます」
 
韓国にとっては当然のことですが、アメリカにとっては困ったことかもしれません。こうはっきり言われると、アメリカが北朝鮮を攻撃することはできないからです。
 
戦争は国連憲章で禁じられています。例外は、自衛権と集団的自衛権の発動の場合だけです。韓国を守るという名目がないと、アメリカは北朝鮮と戦争できない理屈です。
 
考えてみると、少なくとも文在寅大統領のこの演説以降、トランプ大統領は「すべての選択肢がテーブルの上にある」という決まり文句を言っていません。先制攻撃という選択肢がなくなったからでしょう。
 
そうしたところ、安倍首相は8月29日、30日と続けてトランプ大統領と電話会談をしました。
河野外務大臣も29日、ティラーソン国務長官と電話会談をしました。
そして、トランプ大統領は29日、「すべての選択肢がテーブルの上にある」と久しぶりに得意のセリフを言いました。
 
考えるに、アメリカが北朝鮮を先制攻撃する場合は、日本を守るという名目でやるということで、日米両国は話をつけたのではないでしょうか。
29日のミサイル発射で日本が大騒ぎしたのもその一環と考えれば、話がつながります。
 
 
以上はあくまで私の想像ですが、ひたすらアメリカに追随する安倍政権ならありそうなことです。
 
今のところトランプ政権は北朝鮮を攻撃することはないと思いますが、絶対ないとは言いきれません。
日本はアメリカに追随するのではなくむしろ韓国に追随して、戦争回避に努めるのが正しい方向です。
 

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