村田基の逆転日記

親子関係から国際関係までを把握する統一理論がここに

2018年02月

朝日新聞は前から「小さないのち」という特集をやっていて、イジメで死んだ子どもの親、子どものころ虐待されていた人、高校生で子どもを産んだ女性などの話を紹介しています。
 
特集「小さないのち」
 
いい特集だと思いますが、「小さないのち」という言葉が気になります。
「小さないのちを守る」という言葉になると、そのおかしさがよりはっきりします。
 
(耕論)「小さないのち」を守る 山田不二子さん、安達和美さん、山崎浩司さん
 
命に大きいとか小さいとかがあるのかと思ってしまいます。
 
もちろん「小さないのち」は「小さな子どものいのち」と書くのが正確な表現です。
しかし、これではタイトルとして長いので「小さないのち」としたのでしょう。
しかし、同じ短くするのなら「子どものいのち」とするべきです。
「小さないのち」だと命の価値が小さいという意味にもなります。
子どもの命のたいせつさを訴える特集にふさわしくありませんし、せっかくのいい内容が誤解されかねません。
 
「小さないのち」というタイトルは、「小さなか弱い命を私たちおとなが守りましょう」という気分を表現したものだと思いますが、これはおとなと子どもの関係を「守り・守られる」関係と見なしています。
子どもの権利条約は、子どもを保護の対象と見なすのではなく、権利行使の主体と見なしており、この認識は子どもの権利条約の精神にも反します。
 
おとなも子どもも命の価値、人間の価値は同じであり、おとなも子どももともに学び成長していく存在と見なすのが、正しい子ども観であり人間観です。
 
朝日新聞は人権尊重をうたっているはずですが、いちばん肝心のところが抜けています。
 
朝日新聞を嫌う人が多いのは、朝日新聞が進歩的でリベラルであるがゆえだという認識があるかもしれませんが、それは違います。
朝日新聞が上から目線で若者に説教するところがあるからです。
 
朝日新聞は、「小さないのち」という子どもの命を軽視した言葉づかいを反省して、人権について学び直してもらいたいものです。

フロリダ州の高校で17人が殺される銃乱射事件が起き、銃規制を求める声が高まっているのに対してトランプ大統領は、「銃の扱いに精通した教師がいれば襲撃を早く鎮圧できただろう」と言い、教師に銃を所持させる案を示しました。
 
私はこれを聞いて、西部劇みたいに腰に銃をぶら下げた教師が校内を歩く姿を思い浮かべました。
この考え方を敷衍すると、そのうち一般の人も拳銃を携行するようになり、西部開拓時代に逆戻りします。日本のビジネスマンがアメリカに商談に行くと、向こうのビジネスマンは机の下からいつ拳銃を取り出すかわかりません。
 
そんなことにはなりませんが、アメリカの銃規制反対派は西部開拓時代を基準にものを考えている気がします。
 
もっとも、男が腰に武器をつけているというのは、武士や騎士もそうでしたから、アメリカが特別なわけではありません(刀と拳銃では危険性が段違いですが)
しかし、近代国家のもとで警察が十分に機能するようになると、個人が身を守るために武器を携行する必要はなくなり、逆に個人の武器所持は治安悪化の原因になりますから、どこの国でも銃所持は、狩猟やスポーツなどの目的以外には禁止されるはずです。
 
なぜアメリカはそうならなかったのかと考えると、銃所持には護身用以外の理由があることに思い至りました。
 
武士や騎士がつねに刀やサーベルを携行していたのは、護身用というよりも、支配階級であることを示すシンボルとしてでした。
江戸時代は、武士階級と庶民階級は名字帯刀によって区別されました。ヨーロッパでもサーベルを携行しているのは騎士だけだったでしょう。
 
日本軍では、将校は軍刀を所持することになっていましたが、これも実用のためというより身分を示すシンボルでした。
 
アメリカの歴史では、そういう身分を示すシンボルとしての刀やサーベルはなかったので、代わりに拳銃がその役割を担ったのでしょう。
 
白人成人男性は、先住民、黒人、女子どもに対して支配階級でした。拳銃を携行していることが支配階級のシンボルだったのです。

トランプ大統領が教師に銃を所持させる案を示したのも、学校において教師は生徒に対する支配階級だからでしょう。

武士階級や騎士階級は近代国家の形成とともに解体されましたが、白人成人男性は自分たちがつくった国なので、今でも支配階級だと思っているのです。
 
 
今、銃規制反対派の人たちはほとんど白人成人男性のはずです。
この人たちは人種差別主義者かつ性差別主義者でもあります。
つまり銃所持、人種差別、性差別は三位一体です。
 
今は誰でも銃所持ができるので、白人成人男性もそれによって危険にさらされます。銃規制に反対するのは非合理的ですが、それでも支配階級のシンボルは手放したくないのでしょう。
 
 
アメリカの軍事戦略も同じ論理です。
国連軍を創設して、それに世界の治安維持を任せれば、アメリカは軍事費を大幅に削減できます。アメリカが主導すればそう困難なことではないと思われますが、アメリカがそれをしようとしないのは、軍事力で世界を支配する国家でありたいからでしょう。

アメリカは、白人成人男性という支配階級を解体して真の近代国家になる必要があります。
 

フロリダ州の高校で17人が死亡する銃乱射事件があり、改めて“銃社会アメリカ”の病理に注目が集まっています。
 
逮捕されたニコラス・クルーズ容疑者(19)は、幼少時に養子となり、養父はその数年後、養母は昨年11月に亡くなり、友人の家で暮らすようになりました。うつの症状があったため、事件の5日前には心理カウンセリングを受けたということです。また、白人至上主義者の団体に所属し、軍隊式の訓練に参加したこともあったそうです。
 
動機の解明はたいせつですが、容易でないこともわかります。
とりあえず有効な対策は銃規制です。
 
しかし、巧みに問題をすり替える人がいます。
 
たとえばケンタッキー州のマット・ベビン知事(共和党)は、この事件に触れたとき、暴力的なビデオゲームを槍玉に上げました。
 
「年齢制限のかかったビデオゲームを、年齢が満たない子どもたちもプレイしていて、皆が見て見ぬふりをしている。子どもたちが遊ぶのを阻止する方法もない」
「子どもたちは(ゲームの中での)殺人を楽しんでいる。学校内での乱射事件とそっくりなシチュエーションでスコアを稼ぎ、倒れて命乞いをする人にとどめを刺すとさらにボーナスポイントを獲得できるようなゲームが存在する」
 
なお、ベビン知事は、全米ライフル協会の支持を受け、ライフル協会関連の集会でスピーチを行ったこともある人物だということです。
 
 
トランプ大統領はこの事件に関し、ツイッターで「容疑者は精神的に不安定だったという多くの兆候があり、素行が悪く退学になっていた」「近所の人やクラスメートは、彼は大問題だと分かっていた。そうした事例は何度も当局に通報しなければならない」などと主張しましたが、銃規制については触れませんでした。
 
 
また、クルーズ容疑者に近い人物がFBIに対して「学校を銃撃する可能性」について情報を提供していたにもかかわらずFBIがなんの手も打たなかったことが判明し、FBIへの批判が高まりました。
 
同様のことはよくあります。テロ事件が起こったあとで、治安当局は犯人を監視対象にしていたにもかかわらず事件を防げなかったとして当局が批判されるなどです。
しかし、まだなにもしていない人間に対して当局が打てる手は限られています。説教や警告をするぐらいです。監視するといっても限度があります。
FBIへの批判も問題のすり替えに近いものがあります。
 
 
しかし、銃規制を主張する人たちも問題のすり替えを行っているきらいがあります。
彼らは、全米ライフル協会とそこから献金を受ける政治家を槍玉に上げます。
しかし、ライフル協会がそれほど力を持っているのは、それなりの土壌、つまり銃を許容するアメリカ文化があるからです。
問題はライフル協会でなくアメリカ文化です。
 
銃を許容するアメリカ文化を象徴するような言葉が、乱射事件後も銃の見本市が盛況であることを伝えるニュース記事の中にありました。
それは、
「銃を持った悪いやつを止められるのは、銃を持った良いやつだけだ」
という言葉です。
 
この言葉には根本的な間違いがあります。銃を持った良いやつが悪いやつを止められるとは限りません。やられてしまうこともあります。
ですから、正しくはこう言うべきです。
「銃を持ったやつを止められるのは、より強力な銃を持ったやつだけだ」
 
良い悪いは関係ありません。どちらの銃が強力かということがすべてです。
 
これがアメリカの根本的な思想です。銃を持った入植者が銃を持たない先住民を虐殺しながら建国したのがアメリカです。
そのため、現在も銃規制をしませんし、軍備規制も核兵器規制もしません。
 
二度の世界大戦をしたのに世界平和が実現しないのは、アメリカがいつまでも建国以来の考えを捨てないからです。
アメリカの銃規制の実現は、決してアメリカの内政問題ではなく、世界平和の実現のためにも必要なことです。

日銀の黒田東彦総裁が再任されそうです。再任されると2期10年務めることになります。
 
黒田総裁は「期待に働きかける金融政策」ということを最初から掲げています。
私は経済の専門家ではありませんが、「期待に働きかける」というのはおかしな日本語です。前から気になっていたので、この機会に考えてみました。
 
「期待に働きかける」というのは、「心理に働きかけて期待を生成する」というべきです(「生成する」は「醸成する」や「喚起する」でも可)
しかし、これではなんの期待かわかりません。もちろん「インフレ期待」のことです(黒田総裁自身も「インフレ期待」という言葉を使っています)
それから、誰の心理に働きかけるかも明らかにする必要があります。
 
ということで、「期待に働きかける」の正確な表現は、「大衆の心理に働きかけてインフレ期待を生成する」というものです。
 
このように表現するとわかりやすくなりますが、同時にこれが容易でないこともわかります。
貯金の多い人や年金生活者は「デフレ期待」を持っています。「インフレ期待」を持っているのは住宅ローンなどの借金をかかえている人ぐらいです。
 
これまであの手この手の金融政策と財政政策をしてもデフレ脱却ができませんでした。そこで「心理に働きかける」という発想が出てきたのでしょう。
不景気が続くと愚かな政治家が「景気は気からだ。マスコミが不景気なことばかり書くから不景気になるのだ」と言ったりします。たとえば麻生太郎財務相が経済企画庁長官時代によく言っていました。
 
黒田総裁の「期待に働きかける金融政策」も麻生氏の「景気は気から」と同じではないでしょうか。
 
黒田総裁が昨年6月にオックスフォード大学で行った講演の記録が日銀のホームページにありました。
 
「期待」に働きかける金融政策:理論の発展と日本銀行の経験
日本銀行総裁 黒田 東彦
オックスフォード大学における講演の邦訳
 
 
黒田総裁は「期待に働きかける金融政策」の理論的根拠として、ケインズとその同時代人のラルフ・ジョージ・ホートレーというエコノミストを挙げていますが、そんな時代遅れの説しかなかったのかという気がします。
 
この講演では、「問題は心理的なものである」「アナウンスメント効果」「フォワード・ルッキングな金融政策」「フォワード・ガイダンス」といったキーワードが出てきます。
これは「景気は気から」に加えて、「大衆の心理は操作できる」という考え方と思われます(なお、「期待」は「expectation」で、「予想」とも訳せます。「予想に働きかける」と表現すると、「予想を狂わせる」「だます」というイメージがよりはっきりします)
 
「大衆の心理は操作できる」という考え方は果たして正しいのか。これが肝心なところです。

「お前を操作してやる」と言われて、相手の思い通りに動く人間はいません。
バブルの時代に踊った人たちは、決して誰かに操作されていたわけではありません。世の中全体が踊っていたのです。
金融の世界には「効率的市場仮説」というのがあり、価値ある情報はすぐに共有され、みんなが同じように賢くなるので、一方的に出し抜くことは続かないとされます。
したがって、大衆の心理を操作し続けることもできないはずです。
 
黒田総裁は東大法学部を出て大蔵省に入ったエリートなので、「エリートは大衆の心理を操作できる」と思ったのかもしれませんが、だとすれば愚かな思い上がりです。
 
黒田総裁はどう考えても大衆を操作するのに失敗しています。そのため2%の物価目標も達成できません。
5年かけてできなかったものは、これからもできないでしょう。
 
となると、異次元金融緩和、マイナス金利をどこまでも続けていくことになり、これがどういう結果をもたらすか、誰にもわからないのが恐ろしいところです。

安倍首相は一生懸命トランプ大統領に忠勤を尽くしていますが、トランプ大統領は相変わらずアメリカファースト、自分ファーストなので、安倍首相を利用する相手としか見ていないようです。
 
 
防衛費負担で対日批判=「不公平」と議論蒸し返す-米大統領
【ワシントン時事】トランプ米大統領は13日、ホワイトハウスで開かれた与野党議員らとの貿易に関する会合で、日本や韓国の防衛費負担に言及し、「防衛費用のほんの一部しか払わないのは不公平だ」と批判した。
 トランプ氏は2016年の大統領選挙戦で、日本に米軍駐留経費の全額負担を求めるなどと表明。大統領就任後はこうした発言を控えていたが、再び議論を蒸し返し、11月の中間選挙を前に対外強硬姿勢を鮮明にした形だ。
 トランプ氏は、米国がこれまで、日本や中国、韓国など多くの国の経済成長を支援してきたと強調。その上で「米国は日本や韓国、サウジアラビアを防衛しているが、これらの国は費用のわずか一部しか負担していない。これは貿易とは無関係だが、現実の問題だ」と不満をあらわにした。(2018/02/14-11:18
 
 
私がこれを読んで思ったのは、アメリカは北朝鮮の核問題を解決する気がないのだなあということです。
 
いくら経済制裁をしたところで、北朝鮮は核放棄をするはずがありません。
プーチン大統領は「北朝鮮は安全を約束されたとの感触を得ない限り、草を食べてでも核兵器開発を続けるだろう」「北朝鮮への制裁強化は無益で効果がない」と語っていますが、どう考えてもこれがまっとうな認識です。
トランプ大統領や安倍首相が制裁だの圧力だのと言っているのは、北朝鮮のために時間稼ぎをしてやっているようなものです。
 

制裁が無効だとすると、アメリカは北朝鮮に軍事力を行使するかもしれません。
しかし、それをするには本腰を入れて作戦を立てねばなりませんが、トランプ政権の腰の定まらない姿を見ていると、そんなことが可能とは思えません。
トランプ大統領は軍事パレード実施を検討するよう国防総省に指示したということで、軍事力行使とは逆の方向に行っています。
 
となると、北朝鮮に核放棄させる方法はひとつしかありません。
アメリカが北朝鮮と国交正常化し、平和条約を締結して、朝鮮半島の休戦状態を終わらせ、北朝鮮の安全保障をするというものです。
北朝鮮が乗ってくるとは限りませんが、経済援助のおまけもつけて、国連や中国やロシアが保証人になるなどすれば、なんとかなるかもしれません。
 
むしろ問題はアメリカのほうです。
この方法は、アメリカがその気になればいつでもできたわけです。
しかし、それをしてしまうと、アメリカは朝鮮国連軍を解散し、韓国に駐留している米軍を引き上げなければなりません。
また、それで朝鮮半島が平和になると、米軍が日本に駐留している理由もほとんどなくなります。
これは、覇権国として世界に君臨したいという(半ば無意識の)野望を持っているアメリカには好ましくありません。
 
となると、現状維持のまま時間が経過して、北朝鮮に核保有を許すということになります。
 
つまり今アメリカは、北朝鮮と平和条約を結ぶか、北朝鮮の核保有を容認するかという二者択一を迫られていることになります。
 
そうした状況で、トランプ大統領は日本と韓国の防衛費負担を求める発言をしたわけです。
これはもう、現状維持を続け、北朝鮮の核保有を容認するつもりとしか思えません。
核保有国のロシア、中国に北朝鮮が加わるだけですから、容認できないことではありません。
 
朝鮮半島の緊張が持続することは安倍首相にとっても利益です。
つまり日米は一致して、北朝鮮の核保有容認をするつもりと思われます。
制裁だ圧力だと言っているのは、そのための時間稼ぎです。
その結果、日本はトランプ大統領に防衛費負担をむしり取られることになりますが。
 
 

訪韓した安倍首相は2月9日、文在寅大統領と会談し、日韓合意について「国と国との約束であり、政権が変わっても約束を守るのは国際的かつ普遍的に認められた原則だ」と強調し、「合意の約束を全て実行してほしい」と述べたということです。
ずいぶんと偉そうに言っていますが、トランプ政権はオバマ政権の約束を破ってTPPからもパリ協定からも離脱しています。そのとき安倍首相はトランプ大統領になにか言ったでしょうか。
強い者にへつらい、弱い者に威丈高になるという情けない姿です。
 
日本の政治家は、アメリカにさえ気に入られるようにしていれば安泰です。安倍首相が長期政権を維持してきたのも、そのツボを押さえていたからです。
 
河野太郎外相もそのへんのことがわかってきたようです。
河野外相は8日の衆院予算委員会で、米国の「核戦略体制の見直し」(NPR)に関連して、「小型の戦術核の開発を進め、利用しようとしているのはロシアだ。(小型核運用は)米側に欠如している部分を埋めようとしているものだ」と述べ、ロシアから反論されました。
 
 
河野太郎外相、ロシアの反発はお門違い 米核戦略めぐる発言で
 河野太郎外相は9日午前の記者会見で、米国の新たな核政策指針「核戦略体制の見直し」(NPR)をめぐる自身の発言に、ロシア政府が反発している状況について「それは米国に言ってほしい。私がNPRの作成に関与したわけではない」と、ロシアの指摘は“お門違い”との認識を示した。
 河野氏が8日の衆院予算委員会で「小型の戦術核の開発を進め、利用しようとしているのはロシアだ」と発言した件に、露外務省は「平和条約締結問題の協議を含む二国間関係に悪影響を及ぼす」と反発している。
 これに対し、河野氏は「(予算委での発言は)NPRが述べていることを紹介しただけだ」として、露側に反論した。
 
 
最初は自分の認識として発言したのに、ロシアから抗議されるとアメリカが述べていることを紹介しただけだと弁解しました。
そこには、アメリカと同じ意見を言っている限りは問題にならないだろうという認識がうかがえます。
しかし、国内では問題にならなかったとしても、ロシアなど外国には通用しません。

それにしても、「それは米国に言ってほしい」というのは、いかにも属国の外務大臣らしいセリフです。
 
 
安倍政権の属国根性はどんどん深化していっています。
安倍政権をどのメディアよりも支持する産経新聞の「誤報」にもそれが表れています。
 
昨年12月に沖縄市内の高速道路で多重事故があり、1人の米海兵隊員が重体となりましたが、産経新聞は海兵隊員は日本人を助けて自分が事故にあったのだという自己犠牲の美談として報じ、この美談を報道しない沖縄2紙を「報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」と批判しました。しかし、海兵隊員が日本人を助けたという事実は確認されず、産経新聞は誤報であることを認めて謝罪しました。
産経新聞は最初、「海兵隊員の勇敢な行動がネット上で称賛されている」という情報を入手し、海兵隊員の夫人のフェイスブックや米NBCテレビの報道を確認した上で、海兵隊に取材しましたが、県警と助けられたという日本人と沖縄2紙には取材しませんでした。
つまりアメリカ側だけ取材して、日本側は取材せずに記事を書いたのです。
その記事は、米兵の“美談”を称賛し、沖縄メディアを批判するものでした。
これは誤報以前に、産経新聞は売国メディアないし反日メディア化していると言わざるをえません。
 
 
安倍首相は「全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を支持する」と語っています。
これは売国政治家でなければ言えないセリフです。
安倍首相の認識としては、アメリカがゲームのプレーヤーで、日本は将棋の駒みたいなものなのでしょう(安保法制が成立しているので日本は駒のように動くことができます)
 
北朝鮮問題もだいじですが、日本にとっては「日米関係の正常化」が先決です。
 

絵本作家のぶみさんの作詞した幼児向けの歌「あたしおかあさんだから」が「気持ち悪い」「自己犠牲のおしつけだ」などと批判され、ネットで大炎上しています。
 
どういう歌詞かというと、全文引用はよくないので、一部を略して紹介します。
 
「あたしおかあさんだから」作詞のぶみ
一人暮らししてたの おかあさんになるまえ
ヒールはいて ネイルして
立派に働けるって 強がってた
 
今は爪きるわ 子供と遊ぶため
走れる服着るの パートいくから
あたし おかあさんだから
あたし おかあさんだから
眠いまま朝5時に起きるの
あたし おかあさんだから
 
苦手なお料理頑張るの
あたし おかあさんだから
 
あたし おかあさんだから
あたしよりあなたの事ばかり
 
もしも おかあさんになる前に戻れたなら 夜中に遊ぶわ
ライブにいくの 自分のために服買うの
 
それ ぜーんぶやめて
いま あたしおかあさん
 
あたし おかあさんになれてよかった
だって あなたにあえたから

 
(歌詞全文はこちらで読めます)
【炎上中】あたしおかあさんだからの歌詞全文が気になる!感想まとめ。
 
 
この歌詞に対して、「呪いみたい」「恩着せがましい」「母性信仰の押しつけ」「父親はどうした。ワンオペ育児の正当化だ」「母親はライブに行ってはいけないのか」などと批判の声が上がり、炎上しました。

それに対して、のぶみさんは「ママおつかれさまの応援歌なんだ」「この炎上で今後聞いてもらえなくなるのは悲しい」などと反論しました。
また、「あたしおかあさんだから体験できたことを歌詞にしてます」「複数の母親から話を聞いてリアルな気持ちを歌詞に込めた」などと説明しています。
実際、「この歌に感動して救われました」といった声もかなりあるようです。
 
しかし、あまりにも炎上するので、結局のぶみさんはツイッターで「関係者の方やイヤな気持ちにさせた方、本当に深くお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした」と謝罪しました。
 
 
私が思うに、この歌詞は批判されて当然です。
しかし、どの批判も、間違ってはいませんが、的を外しています。
では、的を射た批判とはなにかというと、
「このお母さんは愛情が少ない」
ということです。
 
世の中には、子どもへの愛情が十分にある親もいれば、愛情が足りない親もいます。
極端に愛情が少ない親は、子どもの養育を放棄したり、世話はしても虐待したりします。
そこまでいかなくても、愛情の少ない親は、子どもの世話をしても楽しくありません。
そこで「親はこうあるべき」という義務感で子どもの世話をするのです。
この歌詞はそういう親の気持ちを表現しています。
 
愛情が十分にある親は、子どもの世話そのものが楽しいので、「おかあさんだから」という理由づけは必要ありません。
好きなライブに行けなかったとしても、そんなに不満ではありません(もちろん代わりに子どもの世話をしてくれる人がいれば行けばいいわけです)
 
この歌詞のお母さんは、明らかに育児している今よりも独身時代のほうが楽しかったと思っています。ところが、その思いを「おかあさんになれてよかった」とごまかしています。
こういうお母さんは将来「毒親」になる可能性が大です。
 
 
私は「このお母さんは愛情が少ない」と指摘したからといって、このお母さんを批判しているわけではありません。
もちろん親は子どもに愛情を持つのが本来の姿ですが、そうならなかったのにはそれなりの理由があるのですから、批判しても始まりません。
 
愛情の少ない親が義務感で補うのは、足の不自由な人が松葉杖や車椅子を使うのと同じです。
松葉杖や車椅子を使うのはけしからんと批判してはいけません。
 

とはいえ、松葉杖や車椅子を使っている人より、使わないでいられる人のほうがいいのは当然です。
ところが、のぶみさんの歌詞は、松葉杖や車椅子を使うことを美化しています。これが炎上の根本原因です。
 
「今は義務感で子育てしていて、自分もつらいし、子どもにもつらい思いをさせている。これからは愛情あるお母さんになるからね」という歌詞にしていれば、多くの人の共感が得られたでしょう。

自分の子どもに愛情を持つのは人間本来の姿ですから、そこに正しく目標を定めれば、実現はそれほど困難ではありません。
 

トランプ政権は「核体制の見直し(NPR)」を公表し、低爆発力の小型核兵器を開発して、通常兵器で攻撃された場合でも核兵器で報復する可能性を表明しました。
これは「核による脅迫」以外のなにものでもありません。
トランプ政権が昨年12月に発表した「国家安全保障戦略」でうたわれた「力による平和」を具現化したものです。
 
しかし、アメリカが軍事力を前面に打ち出せば、他国も軍事力で対抗しようとします。
こうして世界はどんどん破滅に近づいていきます。子どもにもわかる単純な理屈です。
 
敵視された中国、ロシア、イランなどが反発したのは当然として、ドイツのガブリエル外務大臣も、「トランプ政権の新たな核戦略は、世界の新たな核兵器競争につながり、ヨーロッパにとっての深刻な脅威とみなされる」と語っています。
 
ところが、河野外務大臣は「今回のNPRを高く評価する」との談話を発表し、国会答弁では「北朝鮮による核・ミサイル開発の進展等、安全保障環境が急速に悪化している」ということを理由に挙げました。
 
しかし、北朝鮮について言うのなら、今回のNPRで北朝鮮はますますアメリカの核攻撃を恐れて、核抑止力に頼ろうとするでしょう。北朝鮮に核放棄させるという目的に反します。
 
そもそもアメリカの「力による平和」というやり方は、テロには通用しません。力で負ける者がテロに走るわけで、むしろテロを増大させます。
現にアメリカが対テロ戦争を始めて17年、終わるメドはまったく立っていません。
 
アメリカの「力による平和」や「核による脅迫」は、根本的に間違っています。
このことに世界は気づきつつありますが、日本だけは逆行しています。

トランプ大統領は1月30日、一般教書演説を行いましたが、TPPにもパリ協定にもまったく触れませんでした。
少し前のダボス会議では、TPPとパリ協定に復帰する可能性を表明して世界を驚かせたのですが。
ダボス会議はグローバリズムの牙城みたいなところですから、そこでの受けをねらって言っただけだったようです。
自分がよく思われたいという「自分ファースト」の大統領が世界を振り回しています。
 
 
ともかく、トランプ大統領の一般教書演説の要旨を読んでみました。
 
「力による平和」へ核増強 トランプ大統領 一般教書演説
 
 
アメリカは圧倒的な軍事大国です。ストックホルム国際平和研究所の2016年版のレポートによると、アメリカの軍事費は世界の軍事費の36.3%を占めており、2位の中国の約3倍、3位のロシアの約9倍です。
 
また、アメリカは70以上の国と地域に約800の軍事基地を有しているとされます。
http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/55904-全世界に駐留するアメリカ軍
 
ところが、トランプ大統領の認識では「米国に挑戦する『ならず者国家』やテロリスト、中国、ロシアのようなライバルにわれわれは直面している」ということになります。
 
もしアメリカが自国の領土と領海を守るだけの専守防衛に撤していたら、誰もアメリカに挑戦しようとはしないでしょう。
アメリカは世界に進出しすぎなのです。
ところが、政治学者などは、アメリカが少しでもプレゼンスをへらそうとすると、「力の空白」だとか「孤立主義」だとかいって、逆に世界が危険になるようなことを言います。こういう政治学者はみなアメリカのしもべです。
 
世界中の国が専守防衛に撤したら、戦争は起こらない理屈です。
それでも戦争が起こったら、国連軍を編成して対処すればいいのです。そのために国連をつくったのですから。

世界平和の実現はきわめて簡単です。アメリカがそれを困難にしているだけです。
 
また、トランプ大統領は、「世界中から核兵器をなくす魔法のような時が来るかもしれないが、残念ながら、われわれはまだそこには至らない」と言って、オバマ大統領の「核兵器のない世界」を否定しました。
 
しかし、核廃絶にいちばん抵抗しているのはトランプ大統領ですから、魔法など使わなくてもトランプ大統領を除去すれば、それだけ「核兵器のない世界」に近づきます。
 
もっとも、トランプ大統領がアメリカの外交軍事政策を特別に変えたわけではありません。もともとアメリカの覇権主義が世界の平和を脅かしてきたのです。
トランプ大統領のおかげでわかりやすくなったともいえます。
 

世界の平和にとってより脅威なのは、北朝鮮とアメリカのどちらか、冷静に考えればわかるはずです。
アメリカに依存する日本にとっては不都合な真実ではありますが。

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