4月27日、南北首脳会談が行われ、友好ムードが演出されました。テレビを見ていた韓国人には涙を流す人もいました。
果たしてこれから北朝鮮の核放棄などがうまくいくのかわかりませんが、友好ムードがあれば戦争は起こりにくくなるので、とりあえず歓迎したいと思います。
世界の首脳も歓迎しているはずですが、その中でいちばん歓迎していないのは安倍首相でしょう。
「圧力」一辺倒を唱えてきて、今は蚊帳の外です。
安倍首相は朝鮮半島の危機を利用することばかり考えてきて、そのツケが回ってきた格好です。
というか、そもそも安倍首相には平和を愛する気持ちがあったのでしょうか。
トランプ大統領も平和を愛する気持ちがあるのか疑わしい人間です。
この平和への流れを壊す人間がいるとすれば、それはトランプ大統領でしょう。
トランプ大統領は南北首脳会談の結果を歓迎していますが、予定される米朝首脳会談が決裂した場合、武力行使に踏み切るしかないという意向を日本側に伝えてきたという報道があります。
今、世界は平和か戦争かという分水嶺にあるのかもしれません。
とにかくトランプ大統領はなにをやるかわからない人間です。
米朝首脳会談を決めたのも唐突で、側近はみな驚いたと言われます。
しかし、自分を第一に考えている人間であることは間違いありません。
ですから、自分が世界から喝采を受けるとわかれば、大胆に平和のほうに動く可能性もあるはずです。
米朝会談を成功させればトランプ大統領にノーベル平和賞の可能性があるという声が出ています。
会談は成功しても、そのあとのプロセスにさまざまな困難がありますから、ノーベル平和賞は早すぎる気がしますが、トランプ大統領にとってノーベル平和賞は大きな魅力でしょう。
「ブタもおだてりゃ木に登る」という言葉がありますが、「トランプもおだてりゃ世界を平和にする」ということもあるはずです。
トランプ大統領はもともとプーチンと仲良くなりたがっていました。
それがロシアのアメリカ大統領選介入疑惑などで思うようにいっていません。
トランプ大統領が米ロ友好を実現させたら、それこそノーベル平和賞は確実です。
トランプ氏が米大統領になって1年余り、今ではその思考パターンがかなり読めるようになってきました。
フランスのマクロン大統領も読んだようです。
米のシリア撤退方針転換 仏大統領「自分が説得」
【パリ=竹田佳彦】化学兵器使用疑惑があるシリアに米英と軍事介入したフランスのマクロン大統領は十五日、攻撃後初めて仏メディアのインタビューに応じ、シリアから撤退方針を示していたトランプ米大統領が今月四日に撤回したことについて「自分が説得した」と主張した。
マクロン氏は仏BFMテレビのインタビューで「トランプ氏は『米国はシリアから撤退を考えている』と言った」と指摘。「われわれが駐留継続と、攻撃目標は化学兵器関連施設に限定すべきことも説得した」と述べた。
(後略)
朝鮮半島問題でも誰かがトランプ大統領を説得すればいいのです。
誰が説得すればいいのかと考えたとき、安倍首相が適任ではないかと思いつきました。
安倍首相は今、外交面ではどん底にあります。挽回するにはなにか思い切ったことをやらねばなりません。
トランプ大統領も安倍首相も、世界平和よりも自分第一という人間です。マイナスとマイナスをかければプラスになるように、二人が力を合わせて世界平和を実現する――というのはほとんど妄想でした。
実際には、安倍首相にそんな発想も実行力もあるわけありません。
ともかく、世界平和にとってもっとも危険なのはトランプ大統領です(金正恩氏は自国の安全保障を第一に考えているので、たいして危険ではありません)。
トランプ大統領をこれからどう制御していくかが世界にとって最大の課題ですが、ノーベル平和賞を餌にすると案外うまくいくのではないでしょうか。