
首相官邸HPより
賭け麻雀で辞職した黒川弘務検事長を訓告処分にしたのは誰かということが議論になっています。
最初はそんな議論があることが理解できませんでした。
処分は内閣か安倍首相の責任で行うものと思っていたからです。
しかし、免職、停職、減給、戒告という懲戒処分は法律によるものなので、黒川検事長の任命権者である内閣が行いますが、訓告と厳重注意という処分は法律によらず法務省の内規によるものなので、稲田伸夫検事総長が行うということです。
黒川検事長は訓告処分だったので、稲田検事総長が行いました。
しかし、稲田検事総長は、内閣が懲戒処分をしないと決めなければ訓告処分をすることができません。
森雅子法相も5月22日午前の記者会見で、「法務省内、任命権者である内閣とさまざまな協議を行った」とした上で、「最終的に内閣において決定がなされたものを、私が検事総長に『こういった処分が相当であるのではないか』と申し上げ、検事総長から訓告処分にするという知らせを受けた」と語りました。
ところが、同じ日の衆院厚生労働委員会で安倍首相は、「検事総長が事案の内容等、諸般の事情を考慮して処分をおこなったわけでございまして、森法務大臣もそれを了承したということについて、私に報告があったわけでございまして、これはもうすでに検事総長が判断をしていることでもございますから、私も諒としたということでございます」と言って、稲田検事総長が判断して、自分はそれを諒承しただけだと主張しました。
このころ、世の中では訓告処分は軽すぎるという批判の声が高まっていたので、安倍首相は稲田検事総長や森法相に責任をなすりつけたわけです。
森法相は25日の参院決算委員会で、「処分の主体は稲田検事総長」と答弁して、安倍首相に合わせて、前の自分の発言を修正しました。
しかし、共同通信は安倍首相と森法相の発言を否定する記事を配信しました。
黒川氏処分、首相官邸が実質決定 法務省は懲戒と判断、軽い訓告に賭けマージャンで辞職した黒川弘務前東京高検検事長(63)の処分を巡り、事実関係を調査し、首相官邸に報告した法務省は、国家公務員法に基づく懲戒が相当と判断していたが、官邸が懲戒にはしないと結論付け、法務省の内規に基づく「訓告」となったことが24日、分かった。複数の法務・検察関係者が共同通信の取材に証言した。安倍首相は国会で「検事総長が事案の内容など、諸般の事情を考慮し、適切に処分を行ったと承知している」と繰り返すのみだった。確かに訓告処分の主体は検事総長だが、実質的には事前に官邸で決めていたといい、その経緯に言及しない首相の姿勢に批判が高まるのは必至だ。https://news.yahoo.co.jp/articles/27bc7764f48673e254ca4ee924b94cb65875cfc0
複数の法務・検察関係者が証言したということですから、安倍首相に責任をなすりつけられたことに対する反発が法務・検察内部にあるのでしょう。
この少し前にも、安倍首相は責任のなすりつけをしていました。
安倍首相は15日に櫻井よしこ氏のインターネットテレビ番組に出演し、検察庁法の定年規定をねじ曲げてまで黒川検事長の定年を延長したことについて、「法務省が人事案をもってきて、われわれはそれを承認しただけ」と語りました。
これはどういうことかというと、プチ鹿島氏が「黒川弘務検事長“賭けマージャン”辞職を、産経と朝日はどう報じたか?」という記事で解説していて、それがわかりやすかったので、そこから引用します。
この少し前にも、安倍首相は責任のなすりつけをしていました。
安倍首相は15日に櫻井よしこ氏のインターネットテレビ番組に出演し、検察庁法の定年規定をねじ曲げてまで黒川検事長の定年を延長したことについて、「法務省が人事案をもってきて、われわれはそれを承認しただけ」と語りました。
これはどういうことかというと、プチ鹿島氏が「黒川弘務検事長“賭けマージャン”辞職を、産経と朝日はどう報じたか?」という記事で解説していて、それがわかりやすかったので、そこから引用します。
しかし1月31日の定年延長の閣議決定には「前段」がある。5月23日の読売新聞が詳しい。記事から時系列をまとめてみる。・昨年末、法務・検察が官邸に上げた幹部人事案は、2月に定年を迎える黒川氏を退職させ、東京高検検事長の後任に林氏を据えるというものだった。・官邸がこれを退けた。・すると法務省幹部は稲田氏に2月で退任し、黒川氏に検事総長の座を譲るように打診した。・稲田氏は拒んだ。しかし稲田氏が退任しないと、2月が定年の黒川氏は後任に就けない。・法務省は「苦肉の策」として、国家公務員法の規定に基づいて黒川氏の定年を半年延長する案を首相に示した。←ここ注目!いかがだろうか。安倍首相の言う「法務省が人事案を持って来た」は最後の部分ということがわかる。ここしか時系列を説明していない。不都合な前段には触れていない。
官邸のゴリ押しに法務省が負けて「苦肉の策」として持ってきたわけで、原因は官邸のゴリ押しにあります。
しかも、「苦肉の策」を採用したのは官邸ですから、責任は官邸にあります。「法務省が持ってきた」というのは、責任逃れ以外のなにものでもありません。
やった仕事の評判が悪いと、「この企画は部下が考えたものだ」と言って責任逃れをする上司がいます。
政治家の場合は「秘書がやった」と言うのが常套手段です。
安倍首相は「部下がやった」と「部下が持ってきた」です。
安倍首相が「黒川検事長を訓告処分にしたのは稲田検事総長だ」と主張しているのも同じです。
野党は、黒川検事長を訓告処分と決めたのは官邸だと主張していて、たぶんその主張は正しいのですが、そういう議論自体が時間のむだです。
「黒川検事長の任命権者は内閣です。かりに稲田検事総長が判断したとしても、その責任は内閣にありますね」と言えば終わりです。
野党は、黒川検事長を訓告処分と決めたのは官邸だと主張していて、たぶんその主張は正しいのですが、そういう議論自体が時間のむだです。
「黒川検事長の任命権者は内閣です。かりに稲田検事総長が判断したとしても、その責任は内閣にありますね」と言えば終わりです。
国民はこういう安倍首相をどう見ているのでしょうか。
私も最初はそうだったように、よくわからない人が多いかもしれません。
まさか首相たる者が「部下がやった」というような低次元の責任逃れを言っているとは思わないからです。
安倍首相のあまりの低次元ぶりに、批判しているこちらまで情けなくなります。
私も最初はそうだったように、よくわからない人が多いかもしれません。
まさか首相たる者が「部下がやった」というような低次元の責任逃れを言っているとは思わないからです。
安倍首相のあまりの低次元ぶりに、批判しているこちらまで情けなくなります。