6月23日の記者会見
ジャニーズ事務所所属でNEWSの手越祐也氏(32歳)が記者会見し、事務所を退所して独立したことを発表しましたが、それを報じるマスコミがやたら手越氏に批判的です。
まるで手越氏が不祥事を起こして謝罪の記者会見をしたみたいです。
私はこれまで手越氏のことはほとんど知りませんでしたが、記者会見の様子を見て、とにかくよくしゃべる人で、よく行動する人だなと思いました。人脈も豊富なようです(昭恵夫人の私的「桜を見る会」にも参加していました)。
ウィキペディアの「手越祐也」の項目によると、「地球でトップ3に入るぐらいポジティブ」というのがほとんどキャッチフレーズとなっているそうです。
こういう人が軽薄に見えるのはしかたがありません。考えは浅くても、行動力で補うタイプです。
手越氏に不祥事がなかったわけではありません。今年4月、緊急事態宣言下で外出自粛要請中に女性らとパーティをしていたと報じられました。
手越氏は女性らと会食したことは認めましたが、「自分にとっては不要不急ではなかった」として、いろいろ弁明の言葉を述べました。この弁明が嘘くさかったということはあります。
それから、その弁明のときに「コロナウイルスをうつされても面倒くさいので」と言ったことにも非難が集中しました。
しかし、これも「面倒くさい」という言葉尻をとらえた非難です。私などは、若い人の中にはこういう感覚の人がいるのだなあと、視野が広がった気がしました。
新型コロナウイルスに対する感覚は、年寄りと若い人でぜんぜん違います。手越氏のように若くて元気な人が「面倒くさい」ととらえるのは当然です。マスコミはこういう感覚をこれまで排除してきたことを反省しないといけません。
手越氏は自粛要請に従わなかったと批判されていますが、自粛のやり方というのは各自が判断することです。
手越氏に対してはマスコミが「自粛警察」になっています。
それから、手越氏は事務所を辞めるいきさつについてほんとうのことを言っていないのではないかと非難されています。
手越氏は記者会見では「円満退所」を主張したようですが、記者会見に弁護士を同席させていましたし、事務所を辞める交渉にも弁護士が関わっていましたから、それほど「円満」であるわけがありません。
会見の冒頭で手越氏はこのように語っています。
僕はいまだにジャニーズ事務所、そしてNEWS、そしてファンのことは、心から大好きです。メンバーとの間にトラブルがあったことは1ミリもございませんし、もっと言うとジャニーズ事務所との間に大きなトラブルがあったということもありません。
「トラブルがあったことは1ミリもございません」と「大きなトラブルがあったということもありません」と、表現に差をつけています。
つまり事務所とは「大きくないトラブルはあった」ということです。
マスコミはこうした発言をスルーしています。
ほんとうに手越氏は事務所とのトラブルについて語っていないのか、改めて記者会見を詳しく見てみることにしました。
幸い会見の全文起こしのサイトがあったので、引用はそこからすることにします。
手越祐也 ジャニーズ退所会見【全文(1)】「トラブルは1ミリもなかった。早く自分の口で真実を伝えたかった」
会見の言葉から、事務所とのトラブルを示すような言葉を全部拾ってみました。
で、ジャニーズ事務所というのは本当にファンを大事にする事務所なので、ファンクラブだったりとか、いまだにインターネットっていうところへあまりアクセスをしない、既存のファンだったりファンクラブだったりを大切にするっていうやり方をずっとやっているので、僕は先に新しいメディアだったりとか、これから来るであろう、まあこのコロナウイルスが来たからこそ世界の在り方が僕は変わると思っていて、変化しなきゃいけないタイミングが来てしまったと。
ちょっとわかりにくいですが、事務所はインターネットにあまりアクセスしていないが、自分は変化しなきゃいけないタイミングがきたのだと言って、そこに違いがあったことを明らかにしています。
ちなみにジャニーズ事務所は所属タレントが個人でSNSのアカウントを使って発信することを許可していません(今のところ唯一の例外は山下智久氏です)。
「円満退所」という言葉を使っているのは、次のところです。
で、その中で双方の弁護士がやり取りをして、いろんな決めなければいけない事項とかもあるので、そういうものをやり取りして、6月19日付で、ジャニーズ事務所との、関係を円満退所ということで6月19日をもって私・手越祐也はジャニーズ事務所と契約が解除、円満退所という形になったというのが、ここまでの真実であり、
あくまで「円満退所という形になった」という表現です。
質疑応答になってから、「社長に会えなかった」ということを話します。
――メンバーは退所を納得している?3月にメンバーに話をして、その前に、ジャニーズ事務所のチーフマネージャーと、その上のテレビとかを仕切っている方には伝えてあったんですね。そのあとにメンバーに伝えました。で、次は、ジャニーズ事務所の現社長の(藤島)ジュリー(景子)さんに話をしにいくと。で、そこでの反応を見て。ジュリーさんにも色々考えられることってあると思いますので、話をして、そこできっとある程度、NEWSはどうするのかだったりとか、ジャニーズ事務所からの退所日も含めてどうするのかっていう返答があるんじゃないかと。でその後に、また返ってきたボールを持ってメンバーやレコード会社との会議に行くんだろうなと僕は思ってたんですけど、コロナウイルスの影響もあって事務所内でバタバタしたというのもあって、社長との話し合いがかなわなかったんです。で、かなわない中で、世間が言うステイホーム破り、手越キャバクラという報道をみて、その直後から、弁護士を入れての話し合いになってしまったので、そこから先メンバーに話せなくなってしまったんですね。もっとスムーズに社長に話に行けて、そこからリターンがあって、この先メンバーともさらに話し合いを深めていく、というふうになっていれば、たぶん3月末とか4月頭の段階ではメンバーともいろいろ話せたと思うんですけど、なかなかその事務所のお偉いさんクラスの後に、社長との話し合いになれなかったんですよ。
ほぼ同じことをもう一度言っています。
(自分にとってNEWSは)実家みたいなところだと思っていたので、メンバーとはさらに話し合いを続けていこうとは思っていたのですけれども、そのメンバーでの話し合いの中で、次に社長のところに話に行くというのはメンバーにも伝えていましたし、メンバーもきっと早く社長と話した方がいいんじゃないかっていうふうなことで一致していたので、チーフマネージャーだったり事務所の方には、早く社長に会わせてほしいと。早く話し合いがしたいって言ってたんですけれど。それがなかなか、かなわなかったんですよね。そのままずるずるいってしまったというのが今回のこの現状ですね。
社長が会わなかったのは事務所側の判断で、それがいいとも悪いとも言えませんが、手越氏はかなり不満だったようです。
滝沢秀明副社長についても語っています。
――辞める時に、副社長の滝沢さんともお話ししていない?手越:はい。――それに関してどう思うか。手越:もちろん、本音を言っちゃうとショックだなというのはあります。こだわりを持ってジャニーズ事務所に、破天荒だけどもいたつもりだし。会ってほしかったというのが本音ではありますけれども。
事務所に対する不満も具体的に語っています。
――ここまでの話を聞いていると、ジャニーズ事務所が好きで、NEWSも好き、ファンも好き。そして今後やりたいことは引き続き歌って踊ってステージに立ち続けたい。なぜ事務所を辞めなければいけないのかがわからない。手越:先ほど話した夢のなかにもいろいろあったと思うんですけど、自分がまずメディアを持つ。僕が独立した後に目標に掲げているのが、影響力を最大化するというところが一つなんですね。今の時代において、SNSというのは影響力や発信力において切っても切り離せないと思っていて。でもジャニーズ事務所にはジャニーズ事務所のやり方があると思うので、やはり影響力をこれ以上持つためには、個人でいろいろなところに出て行って、勝負していって、いろいろなところに手越祐也という名前を刻んでいくしかないなという思いが一つ。たとえば僕とつながりのあるミュージシャンの方々から、名前を出すと角が立つのであれですけど、日本の音楽を引っ張ってきた方々なんですけど、(彼らから)「僕らのフェスに出てほしい」とか、「ライブに出てほしい」とか、その時は手越祐也でゲストももらったし、「テゴマス」でゲストももらったんですけど、そういったときに、NEWSのライブがホームだとしたら、フェスとかってどちらかというとアウェー戦になるじゃないですか。アウェー戦で僕らのパフォーマンスをみてもらったほうが、NEWSに還元できるなというのが僕の思い。なので、そういうセッションだったり活動をたくさんして、NEWSに持ち帰れたらいいかなというので、当時のマネージャーに「こういうオファーをいただいたんですけどどうですか?」って言ったら、断ってしまったんですよね。超有名ミュージシャンからのオファーだったんですけど。ジャニーズ事務所って、自分の事務所のファンだったりとか、ジャニーズファミリーを大事にするので、飛び出した人とのコラボとか、僕はX JAPANに憧れていたのでToshiさんとはラジオでコラボさせてもらったんですけど、コラボとか、自分の頭のなかにあるファンとのディナーショーだったり、ファンミーティングというのは、全部通らなかったんですよ。全てにおいて。最近この4、5年で僕が個人で持ってきた仕事だったり、NEWSで持ってきた仕事っていうのも、わりと僕がプライベートの人脈で仲良くなったところから、「せっかくだから手越とやりたいから」というので僕が事務所のマネージャーとつないで、そこで決まってきた仕事っていうのが本当に多くて。っていうのもあって、でもやっぱりジャニーズって巨大な日本ナンバーワンの事務所なので、「これはマイナスがあるんじゃないか」というのを細かく精査するじゃないですか。そのなかで僕はスピード感を大事にしたい人なので。「やりたい」と思ったらやりたい、「欲しい」っていうものは欲しいという性格なので、なかなかもっていったものが具現化されてファンに届くというのが10カ月、1年かかっちゃっていたんですよね。というのもあって、僕のアイドル人生の1年って、テレビ局のみなさんの1年はもしかしたら普通なのかもしれないけど、アイドルの30歳から31歳の1年って、本当に大切だし、1分1秒を僕は大事にしたいと思って生活している。そこの僕の理想のスピード感との開きが出てきたというのは、理由として大きいです。海外進出という面や、音楽性で自由に広げていきたい。例えば一人で作詞作曲のアルバムを作りたいと言っても、ジャニーズにいたらなかなかOKは出ないし、時間はかかる。自分がやりたいアイディアが、ジャニーズにいたらスピード感が遅いし、なかなかかなわないよなと。このままの現状に満足して、ずっと5年10年活動するっていうのでも絶対幸せだと思うんですけども、やっぱり僕の人生の夢として、人間いつか死ぬわけですから、死んだときに悔いを残すっていうのは絶対にしたくないと思って毎日を生きている。思ったことをすぐに行動に移してしまうというところにつながってくるんですけど。NEWSの活動をしながらこの夢がかなうのなら、僕は絶対NEWSもジャニーズも出ていないです。ただ、ジャニーズを出ざるを得なかったというのが、一番大きな僕の心情の変化であり、原因ですね。
ジャニーズ事務所が保守的で硬直化していることが事務所を出たいちばんの原因であると明快に語っています。
もっとも、これがすべてかはわかりませんし、ほんとうのことかもわかりませんが、手越氏の言い分はこういうことです。
ところが、この言い分を報じたマスコミは見たことがありません。
ジュリー社長や滝沢副社長に会えなかったということもほとんど報じられていません。
2時間にも及ぶ記者会見のどの部分を報じるかはマスコミの判断ですが、マスコミは事務所側に立って、手越氏の事務所に対する不満はほとんどカットしてしまったということです。
マスコミの報道だけ見ていると、どうして手越氏が事務所を辞めたのかまったくわかりません。
事務所はどう考えていたのでしょうか。
手越氏はボランティアもやりたい、事業もやりたい、SNSもやりたい、中国向けのウェイボー(微博)もやりたい、アメリカ進出もしたいという人で、広い人脈もありそうですし、自分で「破天荒・手越祐也」と言っているぐらいですから、事務所のコントロールもきかないのでしょう。なにか大きなトラブルを起こす前に辞めさせようとしたのはありそうなことです。
ところが、そういう事務所側の本音に迫る報道もありません。
今回の記者会見の報道を見て、芸能マスコミが“ジャニーズ帝国”にいかに支配されているかがよくわかりました。