村田基の逆転日記

親子関係から国際関係までを把握する統一理論がここに

2020年12月

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眞子さまと小室圭さんの結婚問題がマスコミと世間に奔弄されています。

眞子さまの結婚には一時金として1億何千万円だかの税金が支払われるので、国民に口出しする権利があるという認識があるのかもしれません。
しかし、税金というのは全国民のもので、自分の言い分を通すための口実にするのは“税金の私物化”です。

そもそも他人の結婚に口出しするものではありません。
一般人が私的な場で言う分にはなにを言ってもかいませんが、有名人がメディアで結婚を左右するようなことを発言しているのにはあきれます。
しかも、その論理がでたらめです。

「現代ビジネス」にさまざまな有名人の主張を紹介する記事がありました。

「小室圭さんとは破談にするしかない」有識者が厳しく断言する理由

この記事をもとに、その主張について私なりの感想を述べてみたいと思います。



作家の山本一力氏は強硬な結婚反対派です。
小室圭さんの母・佳代さんには元婚約者との間に約400万円の借金トラブルがあって、これが結婚の障害になっていましたが、元婚約者は週刊誌で返金は求めないと表明しました。しかし、山本氏はそれでも問題は解決しないと主張します。
「返済を求めないというのは、貸した側が根負けしてしまったということでしょう。相手が諦めるまで『もらったもの』と言い続ければいい――そんなことがまかり通れば、世の中の規範はひっくり返ってしまいます。

ところが、私と同世代の人間まで、まるで結婚への障害がなくなったとばかりに『おめでとうございます』などと言っている。極めて理解し難いことです。

ここで『なにがご成婚ですか』と眉をひそめ、叱りつけるのが、年長者の務めではないでしょうか。とにかく強制的に破談にするしかないと思います」
借金は、返してもらう側が請求するのが当然です。いつまでも請求しなければ持効により借金は消滅します。これが世の中の規範で、山本氏の言っていることは真逆です。

「強制的に破談にするしかない」というのは無茶苦茶な言葉です。一般人に対してそんなことは許されませんが、皇族に対してはなおさらではないでしょうか。
「現代ビジネス」もこんな主張を載せると見識が問われます。

借金を返すべきだと言う人がほかにもいます。

評論家で歴史作家の八幡和郎氏が話す。

「相手が『返さなくていい』といったからといって済む問題ではないでしょう。借金の踏み倒しをしているようなもので、道義的な問題は消えません。

小室さんが眞子さまとの結婚を望むなら、多くの人から祝福してもらえるように努力すべきでしょう。たとえば、結婚するのであれば、働いて借金を返してからにすべきだと思います」
皇室ジャーナリストの渡邉みどり氏が語る。

「おカネのことはきちんとしなくてはいけません。結婚後も、二人で少しずつ返していけばいいのではないでしょうか。皇籍を離脱しても、眞子さまも一定以上の収入を得ることは可能です。

'05年に結婚された、天皇陛下の妹の黒田清子さまも、現在は伊勢神宮の祭主を務め、報酬を受け取られています。そうして二人で少しずつ返していくべきなのではないでしょうか」

こういう人は、結婚に反対する理由に借金問題を持ち出しているだけの気がします。

そもそも借金問題というのは、小室圭さんの母親と元婚約者の間の問題で、借用書もなく、法的に訴えるほどの根拠もなく、元婚約者が一方的に婚約破棄をして慰謝料も払っていないという関係で、元婚約者が週刊誌上で返済を求めたというものです。

宮内庁の西村泰彦長官も会見で借金問題について「小室さんや小室さんの弁護士が説明責任を果たしていくことが極めて重要」と発言しました。
「返金すべき」と言えないので、「説明責任」を持ち出したのでしょうが、私人である小室圭さんにプライバシーについての「説明責任」があるのか疑問です。
というか、週刊誌などの報道で十分に説明されているのではないでしょうか。

記事は「彼女の幸せを考え、男のほうから身を引く――。小室さんはそうした選択肢も考えるべきなのではないだろうか」と主張しています。
こうした意見はよく目にします。

しかし、眞子さまは11月に文書で「お気持ち」を発表して、その中で「結婚は、私たちにとって自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択です」と結婚への意志を明白にしておられます。
小室さんが身を引いたら、眞子さまへの裏切りになります。
小室さんに身を引けという人は、小室さんの気持ちも眞子さまの気持ちも踏みにじって平気なようです。

2017年の婚約内定のあと、結婚延期が発表されてしばらくの間は、二人の結婚への意志がはっきりしない状況が続きました。しかし、今は二人とも結婚の意志が固いとわかったわけです。
こうなると、皇族であろうとなかろうと、結婚に反対する理由はありません。

しかし、結婚に反対する人がたくさんいます。そういう人が考えていることはわかります。
それは「家柄が違う」です。
皇室は日本最高の家柄で、一方、小室家のことはよく知りませんが、あまり豊かでない母子家庭であるようです。小室圭さんの学歴、職歴もそれほどたいしたことはありません。
究極の「格差婚」です。

ちなみに高円宮家の三女・絢子さまは2018年10月、守谷慧さんと結婚されましたが、この婚約や結婚について世の中から批判の声が上がるということはまったくありませんでした。
守谷慧さんは慶応大学文学部卒、オックスフォード大学でも学び、現在は日本郵船勤務です。日本郵船はもとは国策会社で、三菱グループの中核企業です。父親は東大経済学部卒の通産省のキャリア官僚でした。
これぐらいだと「家柄が違う」という批判はないわけです。


ただ、今の世の中、「家柄が違う」と言って結婚に反対するわけにはいきません。
その代わりに「金目当てだ」などの人格攻撃がされています。

八幡和郎氏は、借金を返すために働くべきだと主張します。
「小室さんは、仕事をして、収入が入る目途をつけたうえで、この借金をどれぐらいの期間で返済していくかということを示すべきでしょう。

弁護士でなくてもいいと思います。公的な団体の職員でも、普通のサラリーマンでもまったく構わないので、堅実に働き始め、身の丈に合った生活をすれば、国民も応援すると思います」

「身の丈」という言葉に、小室さんの人格や能力を低く見ていることがわかります。
ちなみに八幡和郎氏は東大法学部卒、通産省のキャリア官僚を経て、現在は徳島文理大学教授、歴史作家です。
小室さんが“上級国民”の仲間入りしてくることが気に食わないのかもしれません。

このように小室さんの人格や能力を低く見て結婚に反対する人がいるので、結婚に賛成する人は逆に小室さんの人格や能力を持ち上げることになります。

二人の結婚に賛成の立場である漫画家の小林よしのり氏は、その理由をこのように語ります。
「小室さんには、周囲の声にとらわれず、眞子さまとの結婚に邁進してほしい。私はそう考えています。

前提として、小室さんが非常に優秀な男だということがあります。英語が堪能で、留学先では立派な論文(米国におけるクラウドファンディングの法制度について)まで発表している。

第一、ここ数年、あれだけのバッシングを受けながら、ものともせずに、留学し、学業に打ち込んでいる。普通の人間であれば、勉強どころか、食事も喉を通らないでしょう。

眞子さまがいまだに小室さんとの結婚を望み続けているのも、よくわかる。小室さんには、とにかく眞子さまを幸せにしてほしいと思います」

小林よしのり氏は果して小室さんの人格や能力を正確に評価できるのかという問題があります。
それに、小室さんの人格や能力が低い場合は結婚に反対するのかという問題もあります。
人間が人間を評価するのは危ういことです。


根本的には、眞子さまと小室さんの結婚に「賛成」したり「反対」したりするのが間違っています。
結婚については「当事者の意志を尊重する」というのが正しい態度です。



世の中が眞子さまと小室さんの結婚をもてあそんでいると、皇室の存続がいよいよ危うくなります。
というのは、佳子さまや愛子さまの周りの男たちは、佳子さまや愛子さまを恋愛や結婚の対象にしなくなるからです。
もし婚約発表などしたら、その男の若気の至りの数々がSNSの記録や友人の証言などからあばきだされ、週刊誌に書き立てられ、小室さんの二の舞になる可能性が大です。そんなリスクを冒す男はなかなかいません。
とすると、結婚は見合いに限られてしまいます。

悠仁さまの結婚についても同じことが言えそうです。


芸能人が婚約や結婚を発表しても、誰も「賛成」だの「反対」だのは言いません。
眞子さまと小室さんの結婚については平気で「賛成」だの「反対」だのと言っているのはおかしなことです。
あまつさえ結婚を阻止するかのような動きがあるのは、異常というしかありません。

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今にして思えば、「ガースー」発言が転換点でした。

菅義偉首相は12月11日、ニコニコ生放送に出演し、冒頭で「みなさんこんにちは。ガースーです」とあいさつして大スベリし、「こんなたいへんなときにふざけるな」などの批判が殺到しました。

「ガースー」発言については、誰か側近が「ニコ生では『ガースー』と言うと受けますよ」などと助言し、菅首相はそれを真に受けたのだろうと思われています。
しかし、もし誰かが菅首相に助言していたとしたら、菅首相は恥をかかされたと激怒して、その人は地獄の底へ左遷されてしまうに違いありません。菅首相は自分に反対した人間をすぐに左遷するそうですから。
そんなリスクの大きい助言をする人がいるでしょうか。

菅首相は改元のときに官房長官として「令和」の額を掲げると、「令和おじさん」として急に人気になりました。菅氏が首相になれたのはその人気のおかげと言っても過言ではありません。
それから、パンケーキが好きだと言うと、「パンケーキおじさん」と呼ばれて、また人気が出ました。
本人はこれで人気者になろうと意図したわけではありません。
なにも考えずにバットを振ったら、まぐれでボールが当たってヒットになったようなものです。
ともかく、これが菅首相の成功体験になりました。

今回「ガースー」と言ったのも、内閣支持率が急落する中、人気を挽回しようと思ってとりあえずバットを振ってみたということでしょう。
もちろんまぐれ当たりは何度もありません。


菅首相は自分の判断でやって大スベリしたので、精神的ダメージを受け、自分の判断力に疑問を持ったのかもしれません。
そうして決定されたのがGoToトラベル一時停止です。

この決定には誰もが「ブレた」という印象を持ったでしょう。
菅首相は「一度決めたことは人になんと言われても曲げない」というイメージをつくりあげてきました。とくにGoToトラベルは菅首相の肝煎り政策なので、いくら批判されても除外地域を追加する程度の手直しでお茶を濁すだろうと見られていました。

「一度決めたことは人になんと言われても曲げない」というイメージが確立すると、周りの人間はすぐに反対するのを諦めるので、自分の言い分がなんでも通るようになります。
菅首相は体も小さく、声にも力がなく、原稿を棒読みするだけで、権力者らしいところがまるでありませんが、「ブレない」というイメージがあることでリーダーシップを発揮してきました。

しかし、GoToトラベル一時停止で「ブレない」というイメージが崩れてしまいました。
政治は戦いですから、弱みを見せると、相手はかさにかかって攻めてきます。

そこで批判されたのが、菅首相が多人数で会食していた問題です。
最初にやり玉にあがったのは、GoToトラベル一時停止を発表した14日、王貞治氏、みのもんた氏、杉良太郎氏、二階俊博幹事長ら8人程度で忘年会をしたことです。
ノーマスクだったこと、店にアクリル板はなかったことなどが次々と報じられ、批判が高まりました。

すると菅首相は16日、記者の前で「反省」を表明しました。
これも意外な感じでした。
これまでなら「情報収集と人脈づくりのために会食は総理として重要な仕事ですので、感染防止に極力配慮して行ってきましたが、今後は控えたいと思います」程度の談話ですませていたでしょう。

しかも、「反省」表明のとき原稿を読まなかったのも、これまでのやり方と違います。
それが裏目に出て、「国民の誤解を招くという意味においては真摯に反省しております」と言い、「どこが国民の誤解だ」というさらなる批判を招いてしまいました。

その後、人数を4人以下にしたものの、1日に2件会食をしたので、「ハシゴ会食はいいのか」という批判も浴びました。
一度弱みを見せると、次々と攻め込まれるというパターンです。

菅首相の「反省」表明は側近も想定していなかったようです。
西村経済再生担当相は16日午前の衆院内閣委で野党議員から「5人以上の会食はいいのか悪いのか」と追及されると、「一律に5人以上はダメだということを申し上げているわけではございません」「もしどうしてもされる場合には、アクリル板のある店を選んでくださいとか、換気に注意してくださいとか、こういったことも併せて申し上げております」と首相を擁護しました。ところが、その日の午後に首相が「反省」表明をしたわけです。


急に会食への批判が巻き起こったのは、菅首相がブレたからです。
菅首相がGoToイートの適用を「原則4人以下」での飲食に制限するよう要請したのは11月16日のことです。
そのときにマスク着用の会食を呼びかけ、「私も今日から徹底したい」と言いました。
しかし、それからも菅首相は毎日会食を続けました。5人以上の会食もあったことは新聞の「首相動静」を見ればわかります。そのときマスク会食をしていたか否かも少し取材すればわかることです。
しかし、「5人以上でノーマスク会食をしている」と批判されたことはありません。
ところが、「ブレた」と思われたとたん、批判が起こったのです。
政治は力関係で動いていることがよくわかります。


そして、力関係が変わったことで見えてきたこともあります。
自民、夜会合を続々中止 大人数会食批判を考慮か
 菅義偉首相による5人以上の会食に批判が出ていることを受け、自民党では16日、大人数での会食の中止が続々と決まった。

 二階、岸田両派は17日にそれぞれ予定していた忘年会を中止した。

 二階派は17日夜、東京都内の日本料理店で所属議員48人らに呼び掛け、忘年会を計画していた。しかし、同派の山口壮事務総長が16日、所属議員に文書で「新型コロナウイルスの感染状況」を理由に中止を伝えた。

 二階俊博幹事長と佐藤勉総務会長ら総務会メンバーによる18日夜の会食も取りやめとなった。佐藤氏は16日の記者会見で「批判があったことも踏まえ、われわれも襟を正さなければいけない」と述べた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b10f02be569549fbce8032c01fd7c2f38e8e2b16

自民党は、国民には会食は4人以下と要請していながら、自分たちは平気で大規模な宴会を計画していたのです。
おそらくGoTo停止がなければ、マスコミはこうしたことも報じなかったでしょう。

自民党のおごりがうかがえますが、同時に自民党の「コロナ軽視」もうかがえます。
政府のコロナ対策はつねに後手後手ですが、その理由はこのへんにありそうです。


菅首相がブレたために、菅応援団も困ったでしょう。
菅応援団は、経済を回すのにGoToは必要だと主張して、野党やマスコミを批判してきたので、完全にハシゴを外されました。
安倍首相の応援団は、安倍首相が森友学園問題で数々の不正行為を働いても、教育勅語を唱和する軍国主義教育の学校をつくるというイデオロギーを共有しているので、安倍首相を応援し続けました。
しかし、菅首相にそういうイデオロギーはないので、菅応援団は一度ハシゴを外されると、応援する気を失うのではないでしょうか。


政治の世界では「ブレた」と見なされると、急に風向きが変わります。
菅首相はここから体勢を立て直せるでしょうか。

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「アクセルとブレーキを同時に踏むようなものだ」と批判されても、菅義偉首相はGoToトラベルを停止するつもりはないようです。

菅首相は「経済が疲弊すれば自殺者が増える」と主張します。
この主張には、GoToトラベルと経済全体をすり替えるというごまかしがあります。
菅首相の論理はごまかしだらけです。それを解明してみます。


キーワードは「エビデンス」です。

菅首相は「GoToトラベルが感染拡大の主要な原因であるとのエビデンスは存在しない」と繰り返し言っています。

「エビデンス」というのは要するに「証拠」のことです。
「有罪の証拠は存在しない」と言われると、「証拠がないからといって無罪とは限らない」とすぐさま反論できますが、「有罪のエビデンスは存在しない」と言われると、「エビデンス」という言葉にごまかされて、反論しにくいということがあるかもしれません。

人を裁く裁判では「疑わしきは罰せず」ですが、命や健康を守るためには「疑わしきは罰する」であるべきです。


そうしたところ、東大などの研究チームが12月7日、「GoToトラベル利用者のほうが利用しなかった人よりも多く嗅覚・味覚の異常など新型コロナウイルス感染を疑わせる症状を経験し、統計学上2倍もの差があり、利用者ほど感染リスクが高い」との研究結果を発表しました。
これはGoToトラベルが感染拡大の原因であるという「エビデンス」ではないでしょうか。

ところが、赤羽一嘉国交相は「この論文については正式に査読前という話もありましたし、現時点ではコメントする段階でないと思っている」と語りました。
そして、加藤勝信官房長官、田村憲久厚労相もそろって「査読前」という言葉を使ってその論文を否定しました。
ということは、これは菅政権の方針なのでしょう。
新型コロナウイルス感染症については緊急性が高いので、マスコミは査読前の論文もどんどん紹介しているのですが。

確かにこの研究結果は絶対的な証拠とは言えないかもしれません。
しかし、状況証拠のひとつではあります。


逆の証拠らしいものもあります。
菅首相は11月23日に都内で講演した際、「トラベルは延べ4000万人の方が利用している。その中で現時点での感染者数は約180人だ」と語りました。
観光庁は26日の時点で202人という数字を出しています。

しかし、この数字はあまりにも少なすぎます。
東京新聞の『新型コロナ Go Toトラベルで感染、本当に202人? 全て把握とは言い切れないのに「継続」』という記事にはこう書かれています。

 観光庁などによると、事業を利用した感染者数は、宿泊施設などに対し、保健所や利用者本人から連絡があった数字を積み上げて集計している。宿泊から日数がたって感染が確認される場合などは、保健所から宿泊施設に必ず連絡があるわけではないという。
 「Go To トラベル」で人の往来を後押しし、症状のない人が旅先で知らず知らずのうちに感染を広げてしまう恐れもある。こうした感染者を正確に集計するのは難しく、事業に伴う感染者数を正確につかめているとは言い切れない。

宿泊施設から聞いた数字を集計しているのです。
宿泊者が帰ってから発症した場合、わざわざ宿泊施設に連絡するとは思えません。保健所にしても同じです。そもそも本人もどこで感染したかよくわからないでしょう。
それに、宿泊施設はGo Toトラベルの恩恵を受けているので、正直に報告するとは限りません。
旅行者が電車の中やレストランなどで人に感染させた場合はまったく把握できないわけです。

そう考えると、ほとんど意味のない数字ですが、菅首相はその数字を繰り返し根拠として挙げています(さすがに「エビデンス」という言葉は使っていませんが)。


これはどういうことかというと、Go Toトラベルに不利な証拠は採用されず、Go Toトラベルに有利な証拠は採用されるということです。
「Go Toトラベル裁判」というものがあるとして、裁判官はすべての証拠を踏まえた上で判決を下すのではなく、最初から判決ありきで、判決に合わせて証拠を取捨選択しているのです。

しかも、その手口が全国民の目に見えています。内閣の支持率が急落するのも当然です。


Go Toトラベルが感染を拡大させていることは常識で考えてもわかります。
リモートワークをしていて、買い物に行くぐらいしか外出しない人が、Go Toトラベルで旅行にいくと、宿泊施設、観光施設、交通機関、飲食店、土産物店、街中などで人に接触するので、おそらく百倍以上、人と接触するでしょう。感染が拡大するのは当然です。
それに、会食は感染リスクが高いと言われていますが、旅行にいくと三食ほぼ会食になります。


菅首相はどうしてこのように見えすいたごまかしをするのかというと、安倍政権のときにモリカケ桜問題でごまかしをして、それが通用したという成功体験があるからでしょう。
学術会議任命拒否問題でも、政府に反対した学者の任命を拒否したことをごまかして、押し通してきました。
Go Toトラベルでも押し通せると思ったのでしょう。

モリカケ桜で騒ぐのは時間のむだだという人がいましたが、記録改ざんや虚偽答弁を許した害悪がこんな形で出てきました。


ともかく、ごまかしを押し通すというやり方は、人間相手なら通用するかもしれませんが、ウイルス相手には通用しません。
そのために安倍首相もトランプ大統領も失敗しました。
菅首相はそこは学習しなかったようです。


もともと菅首相はウイルスを軽視していたのでしょう。
普通だと、周りの人間が意見してくれて、間違った考えを修正できますが、菅首相は自分に諫言する人間を左遷するので、周りはイエスマンばかりなのでしょう。
権力者は最終的にイエスマンに取り囲まれることになりがちですが、菅首相は首相就任の最初から末期状態です。

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アンジャッシュの渡部建氏が12月3日、謝罪の記者会見を開きましたが、記者の質問に終始苦しい表情でした。

ビートたけし氏は「芸能人にとってインタビューはひとつのショーだと思わないといけない。お笑いだったら笑いにもっていって、大爆笑で終わって『すいません』なんだ」と苦言を呈しました。
しかし、私がYouTubeで記者会見を見たところ、けっこう笑えました。もっとも、笑えたのは記者の質問のほうですが。



渡部氏は女性を六本木ヒルズ地下駐車場の多目的トイレに呼び出して、そこで性行為に及んだということですが、これについて記者からさまざまな質問が飛びました。
「多目的トイレは渡部さんにとってどういう場所なんですか」
「どうしてホテルに行かなかったんですか」
「性癖ですか」

渡部氏が正直に答えると、「短時間使用するのに都合のいい場所だったからです」ということになるでしょうが、そんなことを言えばまた炎上するのが目に見えていますから、ひたすら言葉を濁さざるをえません。

渡部氏は女性と密会するたびに1万円を渡していたということですが、これについても、
「なぜ1万円お渡しになっているんですか」
「どういう1万円になるんですか」
という質問が飛んでいました。

「安すぎてすみません」と言えばいいのでしょうか。
「女性が納得しているんだからいいじゃないですか」と言えば、またしても炎上です。



私はこの件に関して、6月に週刊文春の記事を読んで『渡部建不倫問題は「セフレがいただけ」だった』という記事を書きました。

渡部氏は多目的トイレを使用して性行為を行ったのは謝罪しなければなりませんが、それ以外に謝罪するべきことはありません。
奥さんの佐々木希さんに対して謝罪すればいいだけです。

文春の記事によると、渡部氏は少なくとも3人の女性とつきあっていて、どうやら短時間会ってセックスするだけの関係だったようです。
「女性を性のはけ口にしている」ということは言えますが、女性がそれで納得していれば、問題ありません。
女性は渡部氏という人気芸能人とつきあっていることに満足を見いだしていたのでしょう。1万円という“価格”もそういう関係で決定されたわけです。

世間を騒がせたりスポンサーに損害を与えたりということはありますが、それは文春がプライバシーを書いたせいです。

ですから、この会見で記者もそれほど追及することがありません。
渡部氏が「ガキの使いやあらへんで」年末特番の収録をすませたという情報があって、記者は繰り返しそのことを聞きますが、渡部氏は言えない事情があるらしく、なにも答えません。
ある記者が「われわれもガキの使いで来ているんじゃないんだから」とギャグを飛ばしましたが、笑えません。
芸能記者なら答えられない事情はわかるはずで、執拗に質問する態度は異様です。

それから渡部氏は、奥さんの佐々木希さんに関する質問にもほとんど答えませんでした。
離婚話など聞こえてこないことから、希さんは渡部氏を許しているに違いありません。しかし、そう言ってしまうと希さんが世間から批判される可能性があるために、言わなかったのでしょう。

渡部氏にはつねに複数のセックスフレンドがいたようです。
渡部氏はグルメ芸人で、食事はほとんど外食でした。女性についても“外食”をしていたわけです。
希さんは文春の記事の前から渡部氏の女性関係を知っていた節があります。
そういう夫婦がいてもなんの問題もありません。

不倫が責められるのは、配偶者を傷つけたり不倫相手(既婚者の場合はその配偶者も)を傷つけたりするからですが、このケースは誰も傷ついていない感じがします。


とはいえ、渡部氏を責めたくなる感情が広く存在しているのも理解できます。
昔、避妊法がなく処女崇拝があった時代に、多数の独身女性とセックスする男は“社会の敵”でしたし、女性は“ふしだら”ということで、どちらも非難されました。今も当時の道徳が尾を引いています。

それから、渡部氏は希さんという天下の美女と結婚し、さらに若い複数の女性とセックスしていたわけで、多くの男のねたみを買いました。

それに、渡部氏は軽薄で、お調子者というキャラで、しかも、このところ仕事は絶好調でした。どれも批判されやすい要素です。

そうしたことから、世論は圧倒的に渡部批判に傾きました。
しかし、冷静に考えると、多目的トイレを使用したこと以外に非難される要素はないのです。
ですから、記者会見でも記者たちは、「ガキ使」収録問題とか、もっと早く会見するべきだったのではとか、これは謝罪会見なのか復帰会見なのかとか、くだらないことばかり追及していました。


そして、なにも悪いことをしていない希さんが非難されるという奇妙なことが起きました。
希さんが杏さんらと対談する様子をインスタグラムにアップしたところ、希さんを批判するコメントが殺到したのです。
『渡部建“謝罪会見”が飛び火! 佐々木希のインスタ大荒れ「恥ずかしくないの?」』という記事から、批判のコメントを引用します。
《渡部テレビに出すな! ガキ使に出たいからって、今さら会見しても遅いよ》
《誰も渡部の復帰を望んでないと思うし、需要なし》
《会見には奥様も同席していただけますよね?》
《妻として恥ずかしくないの? テレビ収録決まって謝罪会見なんて最低》
《世の中が、あなたの旦那の不始末で完全に嫌な思いをさせられてるのに、笑顔でインスタ更新を続ける不気味さが信じられない》
《杏さんの旦那は酷かったけど会見したのに、貴方の旦那は1万円連れ込み行為したの今日まで会見もしないでダメですね》
《サレ妻が2人も… 色々凄いメンツ… けど大好き》
《渡部が気持ち悪いんです。 本当に気持ち悪いんです》
なぜこんなことが起きたのでしょうか。
世間は希さんに対して「夫の不倫に傷つく妻」という役割を期待していました。
希さんがその役割を果たせば、世間は渡部氏を「妻を傷つけた悪い夫」として遠慮なく非難できます。
ところが、希さんは「夫の不倫を気にしない妻」という感じなので、世間は渡部氏をあまり非難できません。その不満が希さんに向かったのでしょう。

男の不倫を非難するときは、「奥さんを傷つけた」というのが決まり文句で、ということは奥さんを思いやっているようですが、実際は男を非難するために奥さんを持ち出しているだけだということが、今回のことでよくわかりました。


そもそも不倫というのは夫婦のプライバシーの問題ですが、芸能人の場合は人気稼業という弱みもあって、マスコミがプライバシーに踏み込むのが当たり前になっています。
“自粛警察”という言葉にならっていえば、マスコミは“不倫警察”です。
しかし、今回は「奥さんを傷つけた」という大義名分がないため、“不倫警察”のみにくさが浮き彫りになったというわけです。

今井メロ
今井メロ公式ブログより

今井メロさんが子育てに悩んだ挙句、子どもを施設に入れることをブログで告白しました。
「ひどい親だ。子どもを捨てるのか」などと批判されそうですが、意外と賛同の声が上がっています。

今井メロさんというのは、昔は成田夢露という名前で兄の成田童夢さんとともにスノーボード選手として活躍し、トリノ・オリンピックに出場したこともあり、美人アスリートとして人気でした。
しかし、オリンピックで惨敗したことでバッシングされ、その後、水商売、風俗嬢、ヘアヌード写真集、AV嬢、整形告白、3度の結婚と離婚というスキャンダラスな人生でした。
現在は、芸能事務所に所属し、スノーボード指導員をしているということです。
シングルマザーで、子どもが3人いて、1人は元夫のところにいます。

今井さんが子どもを施設(たぶん児童養護施設)に入れることにしたのは、子育てがうまくいかなくて、虐待か虐待一歩手前の状態になっているという自覚があったからでしょう。

実際に虐待か虐待一歩手前だったのかどうかを確かめるために、今井さんの公式ブログを見てみました。

私の子供は
長男、長女、おちびーぬ

その中でも非常にぶつかってきた母と娘(長女)

幼い頃はイタズラ事で済んでいた件も今や
結構、大事になったりして
叱らざる負えない事態が続いたりしてきました

その中で長女も知恵がついてきて
頻繁に嘘をつくようになった

挙句の果てには家出からの警察に保護

私(親)の愛情が届いていないから
構ってほしくて
本人なりの
必死のアピールなのかなっと思い
心のケアにも励みました


産まれた頃から保育器で育ち他の兄弟に比べ
腕の中に抱いてあげられる時間が短かったから

けど…

成長するに連れて

様々な悪事を働くようになり学校でも
問題を起こすように


私なりに話を優しく聞いたり
色々なやり方で接してみました

だけど直ることはなく悪化する一方でした

毎回、私なりに
まぁこ(あだ名)に想いを伝えました


だけど…
ごめんなさい

もう…分からなくなったんだ


彼女はもうすぐ施設に入所します


決して投げやりとかじゃないです
今もこの文をかきながら手が震えています

みんなに嘘をつきたくない

真実を伝えなきゃって思いで必死なんだ
https://ameblo.jp/majestavictory/entry-12641343778.html


「頻繁に嘘をつく」「家出からの警察に保護」「様々な悪事を働く」「学校でも問題を起こす」ということが挙げられています。

ひと昔前なら、嘘をついたり悪事を働いたりする子どもが悪いという声が多かったかもしれません。
そういう考えの人は、「私なりに話を優しく聞いたり」という言葉をとらえて、「そういう態度がよくない。悪事を働いたときはきびしく叱るべきだ」などと主張します。

いや、今回もそういう意見があったのでしょう(現在、ブログのコメント欄では批判的な意見は削除されているようです)。
それに対して今井さんはこのように書いています。

確かに悪事をはたらくのは
よくないかもせんよ

けどさ
それは母子共に原因があるって理解してる

だから皆さんが知らない部分も伝えたい

まぁこ(娘のあだ名)はね
誰よりも優しくて明るい子なんよ

自分の意思が強く
ワガママな部分は私そっくり
だけど

いい部分でもあると私は思う

ママの事、本当は大好きだよってお手紙
何度も書いてくれて何度も嬉しくて
読み返しては
泣いたよ
https://ameblo.jp/majestavictory/entry-12641595639.html

「子どもが悪いことをした→子どもを矯正しなければ→子どもを叱る→直らないのでさらに叱る→虐待」
こういう流れで虐待というのは起きると思われます。
今井さんは、子どもが悪いことをするのは自分にも原因があるという認識があったので、虐待の手前でとどまったのでしょう(ほんとうは「悪い」という認識に問題があります。「美は見る者の目に宿る」という言葉があるように「善悪は見る者の目に宿る」のです)。


今回のことはヤフーニュースで『今井メロ、長女の施設入所を告白「ごめんなさい もう…分からなくなった」 “親と子”の在り方に多様な意見集まる』という記事として取り上げられました。
そのコメント欄には、子どもが悪いという声はほとんどありませんが、代わりに今井さんが悪いという声が多くあります。

けっこう多いのが、「施設に入れるのはいいとしても、そのことを公表するのはよくない」という意見です。
しかし、施設に入ったのは、子どもに問題があるからではなく周囲の事情によるのですから、子どもにとって施設にいた経歴はマイナスになりませんし、隠すべきことでもありません。

それから、今井さんの生き方がよくないから子どもに問題が生じるのだということで、今井さんを批判する意見が多くあります。
「子どもが悪くなったのは親が悪いから」というわけです。

確かにそうかもしれません。
そうすると、「親が悪くなったのはその親が悪いから」ということも言えるはずです。
つまり悪の連鎖、虐待の連鎖です。

今井メロさんと子どもの関係は、ブログを読んである程度わかりました。
今井メロさんと親の関係は、わかるわけないだろうと思われるかもしれませんが、これがわかるのです。

今井さんは2012年に『泣いて、病んで、でも笑って』という本を出版しています。




この本に、自身の生い立ちが詳しく書かれています。
私は出版当時に読んで、その内容をこのブログの「スパルタ教育を受ける不幸」という記事で紹介したことがあります。
それがここにきて役立つことになりました。
そこから一部を再録します。

今井メロさんは1987年生まれで、上に兄が2人いて、長兄が成田童夢、次兄は一般人です。メロさんが5歳のときに両親が離婚し、メロさんと童夢さんは父親のもとで育ち、次兄はのちに母親に引き取られ、父親は再婚して弟が生まれます。複雑な家庭環境です。
メロさんは幼いころの記憶がほとんどないといいます。ようやく記憶が始まるのは小学校に入ってからです。
父親はファッションカメラマンですが、メロさんは父親からモーグルを教わります。5歳のときには滑っていて、6歳のときにモーグルマスターズの競技会、一般女子の部に出場し、成人女性を抑えて優勝します。といっても、本人には記憶がないそうです。
6歳のときにモーグルからスノーボードに転向します。父親がスノーボードを勧めたのです。父親はトランポリンを使う独自の練習法を考え出します。これは今でこそポピュラーな練習法となっていますが、当時はまだ誰もやっていなかったそうです。トランポリンのある自宅屋上にはカメラが設置され、父親はリビングで練習の様子をチェックしていて、少しでも手を抜くと屋上にやってきて、叱責の声が飛ぶということで、メロさんはいつもその恐怖におびえていました。
父親は徹底したスパルタ指導者で、メロさんは練習漬けの生活を送り、友だちと遊ぶ時間もなく、友だちは一人もいませんでした。メロさんは父親のことを「パパ」と呼んでいましたが、あるときから父親は「オレは先生や」といい、練習以外の家の中でも「先生」と呼ぶようになります。
 
メロさんは15歳のころからプチ家出を繰り返すようになり、近所に子どもの「駆け込み寺」みたいな家があったので、その家に行って「お父さんにぶたれて怖いんです。助けてください」と訴えます。それがきっかけになり、メロさんは自分の意思で児童保護施設に入ります。そこでは「やっと解放された~」という気持ちになったそうです。
その後、精神科病棟に入院し、また家に帰り、そして母の家に行き、姓を成田から今井に変えます。
 
メロさんはワールドカップで2度優勝し、トリノオリンピック代表に選ばれると金メダルへの期待が高まります。派手な壮行会はテレビ中継され、そこでメロさんはまるで芸能人のようにラップを歌います。そうしたことの反動もあって、オリンピックで惨敗すると、世の中からバッシングを受けることになります。
 
それからメロさんの人生は惨憺たるものになります。一時的に引きこもったあと、キャバクラ、ラウンジという水商売勤めをし、ホストクラブ通いをし、さらにはデリヘルという風俗嬢にもなって、それが週刊誌に報じられます。リストカット、拒食症と過食症、恋愛依存症、妊娠中絶、二度の結婚と離婚、整形手術、レイプといったことも本の中で告白されます。
 
こうしたことの直接の原因はオリンピックで惨敗して世の中からバッシングされたことですが、やはり根底には家庭環境の問題があったでしょう。早い話が、親から十分に愛されなかったのです。
この本を読むと、たとえばリストカット、拒食症と過食症、恋愛依存症といったことも、根本の原因は愛情不足なのだろうと思えます。
 
また、メロさんは17歳のときに高校生らしい3人組からレイプされます。これはもちろんレイプするほうが悪いのですが、この女ならレイプしても訴え出ないだろうと見られていたという可能性もあります。学校でイジメられる子どもにも共通した問題があるのではないでしょうか。
 
親から十分に愛されないと自尊感情や自己評価が低くなってしまいます。風俗嬢というのは社会的に低く見られる職業ですが、自己評価の低い人は抵抗なく入っていってしまいます。
 
整形手術にも自己評価の低さということがあるのではないでしょうか。メロさんの場合、練習で鼻を骨折したための手術もあったのですが、子どものころから容姿コンプレックスがあったということです。
 
普通、このように自己評価の低い人は自分の本を出すことはできません。精神科医やカウンセラーの本に、リストカットする患者などの症例として出てくるくらいです。メロさんは美人で人気あるアスリートだったために自分の人生を本に書くことができました。

今井さん自身が父親からひどい虐待を受けていたのです。
プチ家出を繰り返したということですから、自分の娘が家出をしたときには、自分自身と重なったに違いありません。
自分もみずから施設に入った経験があるので、娘を施設に入れることも決してマイナスにはとらえていないのでしょう。

今井さんは自分の生い立ちを本に書くことで、自分の経験を相対化できたのかなと思います。
ただ、「幼いころの記憶がほとんどない」というので、気づかないうちにそのころの経験に支配されているということがありそうです。
このあたりのことはカウンセラーなどの力を借りたほうがよさそうです。



「虐待の世代連鎖」ということはよく言われますが、私たちは今井さんの本のおかげで、それを具体的に知ることができました。
今井さんを批判するのが愚かなこともわかったでしょう。

ということは、今井さんの父親を批判するのも同様に愚かなことです。
父親にもつらい過去があったのだろうと想像されます。
今井さんがそこまで考えられるようになれば、自分自身も癒されるはずです。

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