村田基の逆転日記

親子関係から国際関係までを把握する統一理論がここに

2021年10月

2021-10-26


10月26日、小室圭氏と眞子さんが結婚し、記者会見を行いましたが、全国民が注視する中、若い二人がしっかりした口調で自分の考えを述べたのに感心しました(なにしろこの国には原稿が糊付けされて読めないという政治家もいるので)。
圭氏については、4年前に婚約内定の記者会見をしたころは、「ちょっとチャラい感じの男だなあ」という印象を持ちましたが、今回の会見では引き締まった顔つきになって、精悍さが感じられました。誹謗中傷の嵐の中で人間的に成長したのでしょう。

誹謗中傷にさらされてめげてしまう人もいますが、この二人は「好きな人と結婚する」という明快な目標を持ってお互い支え合ったので、誹謗中傷の嵐を乗り越えられたのでしょう。


これまで「パラリーガルでは給料が低く、眞子さまのお相手にふさわしくない」「将来生活していけるのか」などと圭氏の能力を見下す声が数多くありました。
しかし、圭氏は留学先の大学を卒業して、一流の弁護士事務所に就職し、さらにニューヨーク州弁護士会が主催する学生対象の論文コンテストに優勝(前年は2位)する優秀さを示しました。
圭氏をバカにしていた人たちは全員、圭氏に謝罪するべきでしょう。

圭氏の母親と元婚約者との金銭トラブルもずいぶん騒がれました。
そもそも借金問題というのは、お金を要求する側が動いて解決するべきで、お金を要求された側は自分から動く必要はありません。
それに、これは母親の問題ですから、圭氏の結婚とは関係ありません。

ところが、2018年11月、秋篠宮さまは「多くの人がそのことを納得し喜んでくれる状況にならなければ、 私たちは、いわゆる婚約に当たる納采の儀というのを行うことはできません」と発言して、金銭トラブルの解決を要求しました。

今思うと、この発言が誹謗中傷の火に油を注ぎました。
それまでは「金銭トラブルは母親の問題で、圭氏の結婚とは関係ない」と主張することができましたが、このときから金銭トラブルと結婚が結びつきました。
それに、秋篠宮さまは小室親子に金銭トラブルの解決を求めました。
先ほども言ったように、解決するべきは元婚約者の側です。小室親子に解決を求めたために、解決は不可能になりました。

元婚約者がまともな判断のできる人間なら解決は可能ですが、週刊誌にしゃべるだけで自分から解決に動かない人間にまともな判断ができるとは思えません。
この会見でも圭氏は「本年4月に解決金をお渡しすることによる解決をご提案したところ、母と会うことが重要であるというお返事をいただきました。しかし、母は精神的な不調を抱えており、元婚約者の方と会うことにはドクターストップがかかっています」と語りました。
弁護士を代理人に立てて交渉し、解決金を払うと言っているのに、母親に会うことを要求してくるとは、解決の意志がなく、わざと問題を引き延ばそうとしているとしか思えません。

この会見については、圭氏一人が残ってもいいので、金銭トラブルについて質疑応答をするべきだという声がありました。
これは圭氏をつるし上げようということでしょう。
なにかの進展を求めるのなら、元婚約者の同席を求めて、両者に質疑応答をするべきです。

元婚約者はいまだに名前も顔も出していません。
元婚約者は法的権利がないことは自覚しているので、「お金を返すのが人として正しいことだ」と主張しているのでしょう。だったら、自分も顔を出して主張するべきです。

ともかく、小室氏側にだけ解決を求めるマスコミは、金銭トラブルを利用して小室氏側をたたきたいだけです。


日本雑誌協会の文書による質問に、圭氏が米フォーダム大学に入学できたり、学費全額免除の奨学金を受給できたりしたのは、眞子さまのフィアンセという立場を利用した、つまり“皇室利用”をしたからではないかというのがありました。
これも金銭トラブルと同じ論理になっています。
入学や奨学金受給を決めるのは大学ですから、大学に聞かなければなりません。
圭氏に聞いても否定するだけですし、何度も聞くのは、いやがらせかつるし上げです(そもそも“皇室利用”をしてはいけないのかという問題もあります)。


ネットを検索すると、圭氏に関わる“疑惑”がいっぱい出てきます。
週刊文春は次のことを報じています。

経歴詐称疑惑①電通アメリカのインターンが嘘?
経歴詐称疑惑②日本メガバンク時代の表彰歴が嘘?
経歴詐称疑惑③大手事務所へのインターンは本当?
経歴詐称疑惑④ジョン・F・ケネディ・プロファイル・イン・カレッジ賞の受賞歴が本当?

ほかに「フォーダム大学のウェブ上の卒業名簿から小室圭の名前が消された。ほんとうに卒業したのか?」というのもありました。
経歴詐称以外にも悪い評判はいくらでもあります。

どれもいい加減な情報に基づく“疑惑”です。こうした報道に踊らされた人がいっぱいいました。
というか、みずから踊っていたのでしょうか。


私はこうした人たちを見て、どういう心理から小室圭氏と眞子さまの結婚を妨害しようとするのかをいろいろ考え、究極の格差婚であることや、“最上級国民”である皇族へのやっかみなどを指摘してきましたが、今日はもっと根本的なことを指摘したいと思います。
それは、「好き合った者同士が結ばれて幸せになってほしい」という素朴な感情がないことです。

こう言うと、「二人に幸せになってほしいから金銭トラブルの解決を求めているのだ」と反論する人がいそうですが、二人に幸せになってほしいなら、元婚約者に対して「法的手段を取らないなら手を引くべきだ」と言うはずです。


「世界人助け指数」というのがあります。「この1ヶ月の間に、見知らぬ人、あるいは、助けを必要としている見知らぬ人を助けたか」、「この1ヶ月の間に寄付をしたか」、「この1ヶ月の間にボランティアをしたか」という3つの項目について、世界の国々を調査したものですが、2020年の調査では、総合順位で日本は最下位の114位でした。それも、113位のポルトガルとは大差の最下位で、2018年の調査よりもポイントが低下しています(「人助けランキング、日本は大差で世界最下位 アメリカは首位陥落、中国は順位上昇 トップは?」より)。

どうやら日本人には人に対する温かい気持ちがないようです。
とくに税金で生活している皇族に対してはないのかもしれません。


眞子さんは会見で「圭さんの留学については、圭さんが将来計画していた留学を前倒しして、海外に拠点を作って欲しいと私がお願いしました」と語り、これには多くの人が驚きました。
眞子さんは早い段階から、日本脱出を計画していたのです。
確かに圭氏と眞子さんの夫婦は日本に住むことはできないでしょうから、適切な判断です。

小室夫婦は日本を見捨てたわけです。

今後、日本人は今回のことを反省しないと、佳子さまや愛子さまも日本を見捨てることになるでしょうし、悠仁さまも皇位を継承するとは限りません。
そうなると天皇制の自然消滅です。
「皇族も人の子」ということを考えないといけません。

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10月18日、小室圭氏は赤坂御用地を訪れ、秋篠宮夫妻に結婚のあいさつをするとともに、眞子さまと3年ぶりに再会しました。
松野博一官房長官はこの件について「末永いご多幸と皇室の一層の繁栄をお祈り申し上げたい」と語りました。
眞子さまと小室氏の両人はもちろん、両家、宮内庁、政府のすべてが二人の結婚を認めたことになります。

もともと結婚は「両性の合意のみ」に基づくものですが、皇族の場合はそうではないという説がありました。しかし、ここに至ると制約はありません。
小室氏については、なんだかチャラい感じだとか、弁護士でなくてパラリーガルとはなんじゃとか、ちゃんと稼いでいけるのかとか、いろいろ言われてきましたが、眞子さまが小室氏を選んだ以上、もはやなにも言うべきではありません。

ところが、いまだに二人の結婚を祝福せず、逆に反対し、妨害しようとしている人がいます。
それも、ネット上ではやけに声が大きく、多数派です。

小室圭氏と眞子さまの結婚はどうしてこれほど評判が悪いのでしょうか。
私は前回の「眞子さま・小室圭氏への異様な攻撃の背景」という記事で、皇室と一般国民の格差婚であることから下の立場の小室氏は差別され、皇族もまた神聖であるがゆえに「上への差別」を受けているのだというふうに説明しました。
「下への差別」と「上への差別」ということで、うまい説明かと思ったのですが、あまり説得力がなかったかもしれません。
そこで、今度は別の角度から説明したいと思います。


小室家はごく普通の庶民の家庭です。もしかすると年収は日本の平均よりも低かったかもしれません。
天皇家と比べると「家柄が悪い」ということになり、そのためこの結婚をよく思わない人がいます。
小室氏の父親が元皇族、元華族、大企業の重役、高級官僚、学者などであれば問題はなかったはずです。

しかし、「家柄」にこだわる人はそんなに多くないかもしれません。
逆に、自分たちと同じ庶民が“お姫さま”を射止めたということで喜んでいいはずです。
台所で灰をかぶっていた女性がお城の舞踏会に行ったことで王子さまの心を射止めて結婚したというシンデレラの物語といっしょです。
つまり小室氏は男版シンデレラです。

もっとも、シンデレラは物語の中の存在ですが、小室氏は現実の、しかも自分と同じような存在です。
自分と同じような存在が“お姫さま”をゲットしたわけです。

日本は同調圧力のきわめて強い社会です。
先日、ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎氏が「日本では人々はいつも他人を邪魔しないようお互いに気遣っています。彼らはとても調和的な関係を作っています」「アメリカでは自分のしたいようにできます。他人がどう感じるかも気にする必要がありません。私のような研究者にとっては、アメリカでの生活は素晴らしいです」と語ったことから、改めて日本社会の同調圧力に注目が集まりました。

同調圧力とは「出る杭は打たれる」ということでもあります。

小室氏は眞子さまと婚約したことで「出る杭」になりました。
「出る杭」でも、たとえば将棋の藤井聡太三冠のように才能があって出たのならたたかれません。賞賛されます。
小室氏はとくになにかの才能があったわけではなく、たまたま身近に眞子さまがいて、イケメンであることを利用してうまく立ち回って(と思われています)、眞子さまをゲットしたわけです。
その結果、小室氏は将来の天皇陛下である悠仁さまの義兄という立場を手に入れました。
これは「出る杭」の中でも飛び切り出た杭なので、集中的にたたかれたわけです。

小室氏はニューヨークでは髪型をポニーテールにしていて、この姿が報じられると猛烈にたたかれました。結果、赤坂御用地を訪れるときは髪を切っていました。これなど日本社会の同調圧力の強さを見せつけた例です。

小室氏がたたかれたのは、天皇家と比べて「家柄が悪い」ということもありますが、それよりも飛び切りの「出る杭」になったためだと理解したほうがよさそうです。


ヤフーニュースでは小室氏関係のニュースには異様に多くのコメントがつき、そのほとんどすべてが誹謗中傷です。
アメリカ大統領選挙でトランプ大統領が「選挙が盗まれた」と言っていたころ、陰謀論に乗せられた愚かなコメントがあふれましたが、そのころとなんとなく似ています。ただ、今回のほうがコメント数ははるかに多くなっています。
そして、たたかれるのは小室氏だけでなく、眞子さま、秋篠宮家、さらには天皇家にまで及ぶようになりました。

「小室さん、秋篠宮ご夫妻にあいさつ 眞子さまと3年ぶり再会」という記事についたコメントをいくつか引用してみます。

秋篠宮家はこの結婚を止めることは出来ず、多くの国民から皇室を敬う気持ちを奪った。皇族の者としての危機感が余りにも無さすぎる。これが皇室の終わりの始まりになるかもしれないと言うのに···
   ※
日本の皇族は終わりましたね。
これからも皇族必要ですか?
時代は変わっていきます。
今、考える必要があると思います。
必死に働いても給料が安く結婚出来ない、子どもを持てない、自分1人生きるのも大変。そんな時代に皇族に多額の税金を使うのはおかしい気がします。
   ※
一般民間人と同格化した価値観や品格で「国の象徴」として諸外国と交流されては国益を損ねます。
事実、秋篠宮家の言う自主性や皇族としての自覚の無さはすでに国益を損ねています。
国民はそれを憂慮し皇室の存続を懇願し声を上げ続けてきましたが結局は無視されました。
国民の総意の上に基づかない天皇は憲法第一条を完全に崩壊させます。
   ※
あと1週間ちょっとしかない。敬愛される皇室終了のカウントダウンが始まった…

国民の意見は丸無視のご一家。
何度でも言いますが、ロイヤル特権でズルしまくりの男との結婚は今でも反対です。
今後もずっとそうやってズルするんでしょ? 税金原資で。
我々国民はそんなことのために皇室制度を支えているのではない。
そんなに皇族の在り方が分かってないなら、本当に一家もろともお辞めください。
   ※
なんだか「秋篠宮家」自体が、皇室のお荷物になっていく感じですね。国民の象徴として、老若男女問わず、殆どの国民から祝福された、今の令和天皇・皇后のご成婚の時を、懐かしく思い出します。宮内庁の人員が 1,000名以上と聞いて、驚かされました。何をやってるのか解からんし、大した仕事もしないのに「国家公務員」扱いで、悠々自適の生活。まずは、この騒動を引き起こした大元である、彼らの大幅人員削減からでも着手しないと駄目でしょうね。あと、警備費など、この先も無駄に税金を垂れ流しするのではなく、国民に対して「お金の流れ」をきっちりと説明して頂きたいです。

もとは小室氏への敵意からだとはいえ、秋篠宮家や天皇制への敵意も相当なものです。
昔は反天皇制を主張するのは左翼と決まったものですが、こうしたコメントをするのは左翼でもなく、右翼でもないはずで、ごく普通の人なのでしょう。

「税金が使われている」ということにひじょうにこだわっているのは、生活保護バッシングに共通したものを感じます。
こうしたコメントをする人たちにとっては、天皇家は「税金で生活する人たち」であって、生活保護受給者と同じようなものなのかもしれません。
生活保護といっても「最上級生活保護」ですが。

小室氏を「出る杭」としてたたいていた人たちには、天皇家も「出る杭」と見えたのでしょう。


このように天皇家を攻撃していると、どうなるでしょうか。
佳子さま、悠仁さま、愛子さまは、恋愛結婚ができなくなります。見合い結婚も困難になるでしょう。
そして、佳子さま、悠仁さま、愛子さまらは、国民に対して不信感ないし恐怖感を持つようになるに違いありません。
これは天皇制の実質的な崩壊です。
今、結婚に反対している人たちはそこまで考えているでしょうか。

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宮内庁ホームページより

眞子さまの婚約者である小室圭氏とその母親に対する異様なバッシングを見ていると、背後になにかの陰謀があるのではないかと思えます。

小室氏親子に対するバッシングのきっかけは、母親の元婚約者と母親の間に金銭トラブルがあると週刊誌が報道したことです。
元婚約者は婚約期間中に母親に約400万円の援助を行い、自分から一方的に理由も述べずに婚約解消をしたあと、自分の懐事情が苦しくなるとお金を返してほしいと言い出しました。もちろん借用書はありません。
女に振られると、つきあっていた期間のプレゼントの品物やデート代を返せと言う男がいるそうですが、それに似ています。いや、振られた腹いせに言うのはまだわからないではありませんが、元婚約者は自分から振っておいて金を返せと言っているのです。
あきれた言い分です。
いずれにしても、当事者には複雑な感情のもつれがあるでしょうから、外部の人間が口出しするべきではありません。
それに、これはあくまで母親の問題ですから、小室圭氏の結婚とは関係ありません。


ところが、マスコミは元婚約者サイドに立って母親と小室氏を猛烈に攻撃しました。
それによって結婚に対する否定的な世論が形成され、宮内庁は結婚を2年延期すると発表しました。

こういういきさつを見ていると、宮内庁がマスコミを操作して結婚つぶしをしたのかと思えます。
なんのためかというと、「女性宮家」創設のためと想像されました。
女性皇族が結婚して皇籍離脱すると、どんどん皇族の数がへっていき、天皇制の存続があやぶまれるので、女性宮家を創設しようという動きが当時ありました。その場合、女性皇族の結婚相手は元皇族とかそうとうの家柄の男性でなければならないということで、“普通”の家柄の男性である小室氏はふさわしくないことになります。
女性皇族の「婚姻の自由」を無視したとんでもない計画です。そのためか最近は言われなくなりました。


そして、小室氏親子への攻撃が今度は秋篠宮家へと向かいました。
佳子さまが国際基督教大学卒業に際して発表した文書で、眞子さまの結婚に関して「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。ですので、姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」と当たり前のことを書いただけなのに、「個人の意思を優先するのはワガママだ」とか「秋篠宮家の教育方針が問題」などと批判されました。
さらに、悠仁さまを学習院でなく幼稚園からお茶の水女子大付属に通わせ、中学もお茶の水女子大付属に進ませたことも批判されました。このころ、悠仁さまの教室の机にナイフが置かれるという事件もありました。

そうしたところ、「週刊文春」2019年4月11日号の記事によると、安倍首相は秋篠宮さまが大嘗祭について「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」と述べられたことに不快感を示し、その意をくんだ官邸スタッフが秋篠宮バッシング情報を週刊誌に流しているということです。

「週刊文春」の記事が正しいかどうかわかりませんが、秋篠宮家への異様なバッシングを見ていると、なにか裏があるのだろうと考えざるをえません。
私は、マスコミには意外に反天皇制主義者がいて、結婚問題を機会に皇室の権威を落としてやろうとたくらんでいるのかなどとも考えました。


今年4月、小室氏は金銭問題について説明する28枚の文書を公表しました。
するとマスコミの反応は、「長すぎる」の大合唱でした。
しかし、もし文書が4、5枚だったら、今度は「短すぎる」と言って批判したでしょう。
「ていねいに説明します」と言ってなにも説明しない政治家が多い中、実際にていねいに説明したのは立派です。
それから、「内容が一方的だ」という批判も多くありました。
しかし、事実が一方的なら内容が一方的になるのは当然です。
マスコミは内容を批判することができないので、「一方的だ」ということしか言えなかったのです。

もともと借金ではないので、マスコミが反論できないのは当然です。
小室氏が結婚したあと、母親はマスコミを相手に名誉棄損の裁判をすれば、多額の賠償金が取れるのではないでしょうか。


それから、小室氏が髪型をポニーテールにしていることもマスコミに批判されました。
人がどんな髪型をしようと自由です。批判するマスコミがバカをさらしただけです(ブラック校則の弊害がこんな形で出ます)。

とにかく、この結婚問題に関してはマスコミがあまりにもバカで、しかもそれがまかり通っているので、あきれるしかありません。



宮内庁は10月1日に、眞子さまと小室氏が10月26日に正式に結婚されると発表し、同時に眞子さまが「複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)」の状態にあることも公表しました。会見に同席した医師は「自分自身と家族、結婚相手と家族に対する、誹謗中傷と感じられる出来事が長期的に反復され、逃れることができないという体験をされた」と説明しました。

これでさすがに小室氏親子や秋篠宮家に対するバッシングはやむだろうと思ったら、ぜんぜんそんなことはなく、むしろ激しさを増したのではないかと思えるぐらいです。

ここまで小室氏親子や秋篠宮家をバッシングする人が多いとなると、これは陰謀論では片づけられません。
そこで考え直してみました。


この結婚に反対する人が多いのは、皇室は日本最高の家柄なのに対して、小室家はごく普通の家柄で、「究極の格差婚」だからです。
したがって、皇室を高く評価する人ほど、小室家が下に見えて、結婚に強く反対したと思われます。
しかし、「家柄が違う」と言って結婚に反対するわけにいかないので、むりやり借金問題を捏造して、反対の理由にしたのです。

一方を持ち上げれば、もう一方が相対的に下がるのは、当然の理屈です。
ですから、天皇制は差別につながると主張する人もいます。

そのことはわかっていましたが、もうひとつの問題について認識が足りませんでした。
もうひとつの問題というのは、持ち上げられた皇室も差別されるということです。


帝国憲法では、天皇は「神聖」でした。
ですから、天皇や皇族は人間的な感情を持っていなくて当然です。
戦後になっても古い感覚の人は、皇族は神に近い人なので、人間的な感情を持っていると思っていないようです。
ですから、眞子さまが複雑性PTSDになったと発表されても、信じられません。「複雑性PTSDは嘘だ」と言っている人もいます。
小室氏がマスコミからバッシングされれば眞子さまも心を痛めるということも理解できません。
ですから、平気で小室氏親子や秋篠宮家をバッシングできるのです。

雅子さまも2004年に適応障害であると公表されましたが、世の中は正面から受け止めませんでした。逆に「スキーをしたりディズニーランドに行ったりできるのに、なぜ公務はできないのか」という批判が起きました。
雅子さま(現皇后陛下)の適応障害は放置されたままです

「皇族も普通の人間である」ということが認識されていないのです。
これもまた差別です。
「下への差別」でなく、「上への差別」です。

そうすると、小室氏親子へのバッシングは「下への差別」で、秋篠宮家へのバッシングは「上への差別」だとなって、わかりやすくなります。

この結婚を巡る騒動の根底にはやはり天皇制の問題があります。

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自民党公式ホームページより

10月4日、岸田文雄氏が100代目の内閣総理大臣に就任しました。

私は岸田氏によい印象も悪い印象もありませんでしたが、人事を見て一気にイメージダウンしました。
金銭スキャンダルで経済担当相を辞任したままなんの説明もしない甘利明氏を幹事長にしたのが最悪ですし、閣僚の顔ぶれを見渡しても、目玉になるような人が誰もいません。
岸田新首相は安倍元首相のあやつり人形だという説がありますが、人事を見ると、そうかもしれないという気がします。

マスコミの岸田内閣に関する世論調査も、毎日新聞は内閣支持率49%、不支持率40%、朝日新聞は支持率45%、不支持率20%、読売新聞は支持率56%、不支持率27%と、スタート直後にしてはパッとしません。

しかし、今からだめだと決めつけるのは早計です。
あえて岸田首相のいいところを探してみました。


岸田首相は「人の話をしっかりと聞く」ということを売りにしていますが、就任の記者会見を見ると、「しゃべるほうもしっかりしてるじゃないか」と思いました。言葉が明瞭で、力強さがあります。
もっとも、それは首相としては当たり前のことです。菅義偉前首相があまりにも「しゃべれない人」だったので、岸田首相がよく見えるだけです。
それにしても、国民に向かって語りかけることのできない人が1年間も首相を務めていたのですから、ひどい話です。

ですから、岸田首相は菅前首相を徹底批判して、違いを強調すれば、支持率はもっと上がったはずです。
もっとも、それができないのが岸田首相であり、自民党なのでしょう。


しゃべれるのは当たり前のこととして、私が評価したいのは、岸田首相には改憲への熱意があまりなさそうだということです。
岸田首相は総裁選のときに改憲を「重要な課題」と言いましたが、「やりたい」とは言いませんでした。政策パンフレットには「新しい時代の変化に対応した憲法改正を目指す」と書かれている程度です。

安倍元首相はきわめて改憲に熱心でしたが、第二次政権の7年半をかけてもついに達成できませんでした。
岸田首相が安倍元首相のあやつり人形だとしても、「熱意」まで人形に吹き込むことはできません。
いや、かりにできたとしても、安倍元首相と同じ程度の熱意ではやはり改憲はできないわけです。

総裁選の候補の中で、改憲に熱心なのは安倍元首相の支援を受けた高市早苗氏だけです。河野太郎氏も野田聖子氏もたいして熱心ではありません。
菅首相も改憲にはまったく興味がなかったので、不要不急の改憲問題は放置されました。

昔の自民党には中曾根康弘氏のように改憲に熱心な人がいくらでもいましたが、さすがに世代交代が進みました。
私は第一次安倍政権が終わったときに、もうこれで改憲(九条の改憲)は不可能になり、改憲問題は政治の世界から消えていくだろうと思いました。
ところが、安倍氏は奇跡の復活を遂げて、強力な政権を築いたために、改憲問題が復活しました。
しかし、結局それは一時的なことでした。


そもそも改憲問題とはなんでしょうか。
日本が戦争に負けたとき、「これで命が助かった。負けてよかった」と思った人たちもいますが、国家と一体感を持っていた人たちは、負けて心に痛手を負いました。
そのトラウマを解消するために、政治学者の白井聡氏は「敗戦の否認」をするのだと言っています。
占領下でつくられた戦後憲法は敗戦の象徴で、さらに九条は戦後憲法の象徴ですから、九条改正をすることで「敗戦の否認」をしようというわけです。

こうして、負けてよかったと思う人は九条を受け入れ、負けを認めたくない人は九条改正を主張して、これが戦後政治の最大の争点だったわけです。

改憲派というのは「戦後否定、戦前肯定」なので、慰安婦問題、徴用工問題、靖国参拝、教育勅語など、こだわるのはすべて戦前のことです。
戦後七十何年たって、さすがに国民も国会議員もこうした戦前のことにこだわりを持つ人は少なくなり、改憲問題はフェードアウトしつつあります。
安倍元首相の政治力が衰えれば、改憲問題は完全に消滅するでしょう。

そうすれば日本会議などの右翼やネトウヨなどは目標を失い、また護憲派も存在意義がなくなり、政治の世界から最大の争点がなくなります。


岸田首相は、そこに新たな争点を提起しました。
「令和版所得倍増計画」を掲げたのです。もちろん池田勇人首相の「所得倍増計画」をまねたものです。
池田首相は激しい60年安保闘争のあとに登場し、「所得倍増計画」によって政治の争点を安全保障から経済にシフトさせることに成功しました。
岸田首相がどこまで戦略的に考えているのかわかりませんが、改憲のようなイデオロギーに代わる争点として経済を提起したのだとすればたいしたものです。

もちろん所得倍増がうまくいくとは思えません。
岸田首相は成長戦略と分配戦略ということを言っていますが、成長戦略はこれまでずっとだめだったので、これからもだめでしょう。
とすると、問題は分配戦略です。岸田首相も「分配なくして成長なし」と言って、分配に軸足を置いています。
「新しい資本主義」とも言っています。新自由主義から転換して、格差社会を是正していくということのようです。もしかすると「社会主義的」という意味で「新しい資本主義」と言っているのかもしれません。

つまり岸田首相の経済政策は立憲民主党や共産党の政策を取り込んだものです。それによって選挙に勝利しようという戦略です。


しかし、そうはうまくいかないでしょう。
岸田首相は子育て世帯への住居費や教育費の支援、医療や介護、保育で働く人たちの賃金アップを言っていますが、これではただのバラマキで、財政赤字がふくらむだけです。

もっとも、岸田首相はその対策も言っています。それは金融所得課税の増税です。
富裕層に増税し、貧困層に分配するというなら筋は通っています。

問題はここです。
自民党が富裕層に増税できるでしょうか。
金融所得課税の増税には証券業界が強く反対して、エコノミスト、経済学者、マスコミなどを動かして反対の論陣を張りますし、自民党に巨額の献金をしている経済界も強く反対します。

岸田首相が反対を押し切って増税できればたいしたものですが、これまでのやり方を見ていると、とうていできそうにありません。
戦略はよくても実行力がないために政権運営に失敗する――という道を岸田首相はたどりそうです。


とはいえ、岸田首相が「分配」の問題を争点化したのは正しい方向です。

最近、「親ガチャ」という言葉が問題になっているのも、格差が拡大して、貧困層から上昇するのが困難になっているからです。
高市早苗氏は総裁選において、「結果の平等反対、機会の平等賛成」ということを主張しました。これがまさに新自由主義の発想です。人間は生まれ落ちたときに不平等であるという「親ガチャ」の現実を無視して、全員を同じ土俵で戦わせて、その結果を受け入れろというのです。

ところで、もともと「分配なくして成長なし」と言っていたのは立憲民主党の枝野幸男代表です。
枝野代表は、そうしたバラマキの財源はどうするのかと記者に聞かれて、「国債に決まっているではないですか」と答えていました。
富裕層への増税を実行できない点では岸田首相と同じかもしれません。


成長できればそれに越したことはありませんが、成長できないとなると、パイをどう分配するかが問題になります。
きたるべき総選挙ではそれが争点になるはずです。


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