菅さんの功績は、原発事故処理をそこそこうまくやったことだと思います。市民運動家出身で、反原発思想になじんでいた菅さんは、東電も保安院も最初から信用せず、それが幸いしました。もし自民党政権のままだったら、自民党は電力業界、経産省とともに原発安全神話のトライアングルを形成していたので、安全神話に縛られてしまって、なにも手を打てなかった可能性があります。
 
問題は次の総理ですが、現在の衆議院議員の中から選ぶわけですから、いわばカードがすべて表を向いている状態。意外な切り札が出てくる可能性はゼロです。
政界再編といっても、やはり同じ人間の組み合わせを変えるだけのことですから、同じことです。
小泉政権以降、総理の個人的能力への期待値がひじょうに高くなっており、それに対応できる人材がいるとは思えません。
もし今、次の総理に期待している人がいれば、考え直したほうがいいでしょう。
 
では、どうすればいいか。長期戦でいくしかありません。
まず選挙制度を変えて(昔の中選挙区制がいいと思いますが)、新しい政党、つまりベンチャー政党がどんどん出てくるようにするのです。昔、細川護煕さんの日本新党が出てきただけで政権交代が起きたのですから、これはたいせつなことです。
もし二大政党のまま固定されてしまって、ふたつの政党が談合したら、なんの改革もできなくなってしまいます。そういう事態を避けるためにも、新党が出やすい制度にしなければいけません。
そういう制度にすると、小党分立になって、強力な政権ができないという反論があると思いますが、イスラエルはずっと小政党の連立政権でやっていて、それが問題になることはありません。
 
それから、公職選挙法をかえて、誰でも立候補しやすくすることです。今の選挙は規制があまりにも複雑で、運動員にバイト代を払っただけで国会議員が失職したりします。そのため、選挙運動に慣れた建設業界や労働組合の力が実際以上に強くなっています。20代のフリーターが仲間を集めて立候補できるような、つまり素人集団でも選挙に出られるような制度であるほうがいいと思います。
 
現在の政治の惨状は、国民のレベルと同じなのです。ゆっくりと成長していくしかありません。