嘘つき村で嫌われるのは、正直者です。正直者は嘘つき文化を共有しない異端者だからです。
たとえば、嘘でも反省の態度を示せば刑が軽くなる可能性があるのに反省の態度を示さない被告。こういう正直者はマスコミからバッシングされます。
それから、子どもも嘘つき文化を共有していません。訪問客が子どものためになにかプレゼントを持ってきたとき、子どもは正直なことをいうかもしれないので、その前に「ありがとうは?」と、嘘でも感謝の言葉をいわせます。
子どものような純粋さを持ったおとなも当然同じことです。
 
たとえば女優の沢尻エリカさんは、なにか不愉快なことがあったので、舞台あいさつのとき、インタビュアーに「別に」と答えたら、大バッシングにあってしまいました。
確かに「別に」と木で鼻をくくったような応対をするのは、インタビュアーも観客も不愉快にさせますが、エリカさんはもっと不愉快なのですから、しかたがありません。
もっとも嘘つき村では、自分の不愉快な気持ちを隠して、にこやかに応対するのがオキテなので、エリカさんはオキテ破りをしてしまったわけです。
 
嘘つき村の芸能界というのは恐ろしいところで、大物芸能人は不愉快なことがあっても、人前ではにこやかにふるまっていますが、裏でスタッフに当たっています。しかし、これは嘘つき村では普通のことなので、決してバッシングされることはありません。
嘘つき村ではエリカさんのような正直者がバッシングされるのです。
 
エリカさんは女優です。女優というのは(男優も同じですが)、人間的な魅力を感じさせなければいけません。正直とか純粋とかは魅力の大きな要素です。愛想よく言葉巧みに世の中を渡っていけるような人は、女優には向きません。
しかし、ここは嘘つき村です。嘘のつけない、魅力的な女優さんに限ってバッシングされる傾向があります。たとえば広末涼子さん、葉月里緒菜さん、藤谷美和子さん。松たか子さんも一時はバッシングされました。
 
愛想笑いというのは所詮は嘘です。私はそんなものに魅力は感じません。つまらなければつまらない顔をし、楽しければ楽しい顔をする。そういう人の笑顔が見たいものです。