私は一時「2ちゃんねる」にはまっていたことがあります。そのころ2ちゃんねる内は嫌韓ブーム一色で、一方、世の中は「冬ソナ」をきっかけにした韓流ブームが盛んになっており、その落差に驚きました。その後も韓流ブームはますます盛んで、今では韓流は当たり前のものになり、ブームともいわなくなりました。
最近、私はブログを始めたことで、ネタを探すために2ちゃんねるの「ニュース速報+」板をときどき見ているのですが、今また嫌韓というか反韓流の勢いがすごいことになっています。きっかけは俳優の高岡蒼甫さんがツイートで、フジテレビが韓流ばかりを推進していると批判したことのようです。
しかし、高岡さんの批判に同調するのはどうでしょうか。テレビ局には編成権があり、韓流ドラマばかりを放映したからといって批判されることはありません。視聴者を無視して、何らかの意図を持って韓流ドラマを放映しているというなら問題ですが、韓流ドラマの視聴率がとくに悪いわけでもないようです。
 
私は俳優がテレビ局を批判したことに違和感を覚え、なにか別の原因があるのではないかと考え、「韓流ブーム批判発言の深層」というエントリーを書きました。
 
今、高岡蒼甫さんの「本人ブログ」を読むと、高岡さんのフジテレビ批判の理由がさらにわかってきます。
 
「本人ブログ」7月29日より抜粋
暫くして自分をよく理解してくれていた彼女と結婚する事になるがそれ以前から続くバッシングで完全にマスコミ嫌いになっていた。
 
マスコミなど全員くたばれと心底思っていた。
 
調子に乗り妻も仕事でいない事をいい事に毎晩のように飲み歩いていた。
そしたらパシャりと。自分の不注意でまたマスコミに騒ぎ立てられる生活に戻った。
 
無数のフラッシュを浴び観客の視線が怖くなり気づいたら自分の目の前に最前列の人の足があった。
またもマスコミに今度はクスリのフラッシュバックではないかと疑いをかけられた。
 
 
要するに高岡さんは徹底したマスコミ不信をいだいていたのです。しかし、マスコミ全体を批判するほどの勇気はなかったし、批判しても誰にも相手にされないことはわかっています。そこで、たまたま韓流が目立つフジテレビを愛国者的な立場から槍玉にあげたということではないでしょうか。
 
高岡さんは「精神病院に通い睡眠薬、精神安定剤の服用」をしていたとも書いています。現在は所属事務所を解雇され、奥さんとも連絡がとれない状態です。それでいてブログには「このままじゃこの国はダメになる」とか「日本人の誇りにかけて」とか書いています。
「ダメになるのは自分だろ!」とツッコミを入れたくなります。
 
しかし、今回の高岡さんの発言に賛同し、高岡さんを激励する人も多いようです。しかし、それは高岡さんにとってマイナスになる可能性があります。
もともと禅の言葉で、心理療法である森田療法でよく使われる言葉に「迷いの中の是非は是非とも非なり」というのがあります。ノイローゼ患者がいろいろ是非を言い立てても、心理療法家はそういう言葉を相手にしてはいけないということです。
 
現在、高岡さんの発言に便乗してフジテレビ批判をしている人たちは、フジテレビにとって的外れであるだけでなく、高岡さんが自分自身の問題に向き合うことを妨げているおそれがあります。