今さらですが、なでしこジャパン・ブームはすごいですね。確かにワールドカップ優勝はすばらしいことですし、選手一人一人がきびしい環境でがんばっているのも感動的です。しかし、なでしこジャパン自体は優勝前も優勝後も変わるわけではないのに、人々の変わりようには驚いてしまいます。
みんなそんなに「世界一」が好きなのでしょうか。そういえば、野球のWBCで日本が優勝したときも大騒ぎでした。
 
それにしても、蓮舫さんもとんだとばっちりでした。ツイッターに「優勝おめでとう」と書き込んだばかりに、「スポーツ振興費を仕分けした人に言ってほしくない」とか「一位じゃだめなんでしょう」などの書き込みが殺到し、炎上してしまったということです。
また、蓮舫さんは「はやぶさ」に関連する宇宙開発関連予算を仕分けしたということでも批判されました(本人はその仕分けにはかかわっていないと弁明しています)。「はやぶさ」も世界初の偉業でした。
スーパーコンピュータが世界一の記録を出したときも、蓮舫さんが批判されました。スーパーコンピュータの予算を削減しようというときに、蓮舫さんが「二位じゃだめなんでしょうか」の名言を言ったのでした。
 
事業仕分けで削減した額が少ないといって批判されるならわかりますが、削減したことを批判されるのはどうなのでしょうか。
そもそも「はやぶさ」やスパコンなどの科学技術の分野では、人類としての達成だと考えるべきであって、日本が一位だとか二位だとかいうのはどうでもいいことです。日本が一位になることで多少国益に資することがあるかもしれませんが、一位になるために予算をつけるというのは、どう考えても間違っています。あくまで費用対効果で考えるべきです。
 
こうした事業仕分けを批判しているようでは、今後むだな予算の削減はますます困難になります。国民も、「世界一」に目をくらまされることなく、むだ遣い削減、財政健全化という大きな目標を見失わないようにしないといけません。
 
ところで、なでしこジャパンの次の挑戦はロンドン・オリンピックということになりますが、優勝は容易なことではありません。明らかにアメリカのほうが実力は上ですし、実力伯仲の国はいくつもあります。なでしこジャパンが二位以下になったとき、今まで熱狂していた人々はどういう態度をとるのでしょうか。
もし二位になって、今まで熱狂していた人たちが潮が引くように離れていったとき、蓮舫さんは声を大にして「二位じゃだめなんでしょうか」と言ってもらいたいものです。