どんな世界であれ、つねに生存競争が行われ、勝者が上層に、敗者が下層にという階層社会が形成されます。たとえば小説家の世界では、ベストセラー作家や文学賞受賞作家が頂点に、三流作家が下層に、さらに作家志望者が裾野にという階層社会が形成されます。学校の勉強の世界では、もっとも勉強のできる者が東大、次が京大、その下のほうに三流大、いちばん下に高校中退、中卒という階層社会になります。
 
裏社会でも生存競争が行われます。裏社会というのは、家庭から落ちこぼれた者と学校から落ちこぼれた者と被差別者によって主に形成されます。これらの者は表社会で生きようとしても最下層でしか生きられないので、裏社会に来るわけです。
裏社会における生存競争は、特定の才能ではなく(特定の才能がある者はその世界で生きられるので裏社会にはいない)、いわば人間の総合力によって行われます。
人間の総合力というのは、具体的には知力であり、腕力であり、さらには胆力です。
胆力というのは、一見勇気に似ていますが、勇気とは違って、自分は死んでもかまわないという思いです。こういう思いがあると戦いでは圧倒的に有利です。
この裏社会における生存競争に勝って最上層に登った者がヤクザであり暴力団です。
 
ですから、暴力団をなくそうとすれば、裏社会をなくすしかありません。裏社会がある限り、そこでの勝者が暴力団となるからです。
 
暴力団をなくそうと企てるのは、警察司法官僚であり、学校の勉強の世界での勝者です。こうした人間は裏社会のことをまったくわかっていないので、不可能な企てをしてしまいます。
警察司法官僚は暴力団対策を根本から見直さなければなりません。