年齢制限というのは概して不合理なものですが、その代表例が20歳未満は喫煙禁止という法律でしょう。なぜ20歳なのかがわかりません。
一般には、若いときの喫煙はおとなの喫煙よりも体に悪いからだと言われます。しかし、その医学的根拠は不確かです。若いときからタバコを吸うと背が伸びないとも言われますが、これなどは完全に根拠のない脅しでしょう。
20歳以上は吸っていいことになっている理由も説明できません。喫煙は体に悪いに決まっているのですから、20歳未満と同様に禁止するのが当然です。
 
高校生が街中でタバコを吸っている場面を見かけたら、おとなは注意するべきだということが言われます。しかし、現実にできる人は少ないでしょう。20歳未満喫煙禁止という法律のおかしさは誰もが感じているので、自信を持って注意できないからです(健康に悪くても自己責任だという考え方もあります)
かといって、違法行為を見逃すと、自分が悪いことをしているようです。へんな法律はよけいな悩みをつくりだします。
 
ちなみにフランス、ベルギーでは年齢による喫煙禁止の法律がないので、子どもでもタバコが吸えます。中学生あたりがタバコを吸っている光景は普通に見られるそうです。
 
日本でも不合理な年齢制限は撤廃するべきでしょう。
といって、子どもでもタバコを吸えるようにするのは、明らかに逆行でしょう。国民の健康を害することになるからです。
年齢制限を撤廃するなら、全員喫煙禁止にするべきでしょう。
もっとも、すでにニコチン依存症になっている人にとってこの措置は過酷です。禁酒法時代のアメリカのように、犯罪組織が勢いづくことになりかねません。
 
そこで、便宜的措置として考えられるのが、喫煙禁止年齢を毎年上げていくというやり方です。
つまり、今年は20歳未満喫煙禁止ですが、来年は21歳未満喫煙禁止とし、その翌年は22歳未満喫煙禁止というふうにするわけです。こうすれば、現在ニコチン依存症の人は一生吸い続けられます(その代わり、現在19歳の人は一生吸えません)。こうして80年もすれば、喫煙者は死に絶えてしまい、非喫煙社会が実現しているというわけです。
 
もっとも、このやり方だとタバコの税収が年々へっていくことになります。財務省は国民の健康よりも税収がだいじですから、こうしたことはしないでしょう。
 
ところで、高校生などがタバコを吸うのは、おとなぶりたいから、あるいはワルぶりたいからです。タバコの年齢制限が逆に喫煙動機をつくりだしているわけで、その意味でも年齢制限はよくないことになります。