私はこれまで海外旅行で20に近い国を見てきましたが、中でギリシャと並んで気に入ったのがトルコです。
トルコもヨーロッパから見れば田舎ということになります。イスラム国ということもあり、最初はとっつきにくい気もしますが、人間はやはり素朴な感じです。ひじょうな親日国でもあり、商人はどんどん日本語で話しかけてきます。
トルコ料理は中華料理、フランス料理と並んで世界三大料理のひとつとされ、ひじょうにおいしいですし、日本人にとってはユニークでもあります。
また、トルコには猫がいっぱいいます。これは野良猫と言っていいのかどうか微妙なところで、とくに朝街を歩くと、猫好きの人が路上で餌をやっているところをよく見かけます。日本には「地域猫」という言葉がありますが、トルコの猫の多くも「地域猫」かもしれません。水産市場にも猫がいます。猫に魚を盗られるのではないかとこちらは心配してしまいますが、市場の人は猫に小さい魚をやったりしています。
 
安倍晋三氏は首相になったとき、アメリカと日本は自由と民主主義という価値観をともにする国だと言いましたが、これは的外れな認識でしょう。アメリカは国民の多くが進化論を信じないというキリスト教国家であり、日本は神道と仏教の国です。また、アメリカ、イギリス、フランスあたりは、自分たちが世界の中心だと思っており、その点でも日本とは違います。
 
日本といちばん価値観が近い国はトルコだと思います。
世界は東洋と西洋に分けられますが、東洋と西洋の接点は世界にふたつあります。ひとつは日本で、もうひとつはトルコです。
日本は神道と仏教の国ですが、キリスト教の西洋と一体化することを国の方針としてきました。トルコはイスラムの国ですが、やはりキリスト教の西洋と一体化することを国の方針としてきました。トルコはNATOに参加し、さらにユーロに参加しようとしています。価値観の違う西洋と一体化する苦労を経験していることで、日本とトルコはわかりあえるはずです。
トルコが親日国になったのは、トルコの軍艦エルトゥールル号が日本近海で難破したとき日本人が必死の救助活動を行ったということが大きいのですが、もうひとつ、トルコはロシアの圧迫を受けていて、日本が日露戦争で勝利したことが歓迎されたということもあります。こうした地理的な要素も無視できません。
 
トルコはイスラエルと友好関係を持ち、かつ反イスラエルの国とも友好関係を持っているので、中東では外交的にも重要な国です。ですから、オバマ大統領が就任して最初の訪問国に選んだのがトルコです。日本が外交のあり方を考えるとき、アメリカや中国ばかり見ているのではなく、むしろトルコを見るべきでしょう。