今、国際政治の世界で焦点になっているのは、パレスチナ自治政府の国連加盟問題でしょう。アメリカは拒否権を行使することを言明しているのですが、実際に拒否権を行使する事態になれば、アメリカの孤立が印象づけられるというのがパレスチナ側の狙いのようです。
それにしても、なぜアメリカはイスラエル寄りの政策を変更しないのでしょうか。オバマ大統領がこの前国連で演説したとき、イスラエルの占領地への入植を非難し、イスラエルの政策転換を求めていれば、満場の拍手を浴びて、テロリストはがっかりしたことでしょう。
 
そもそもイスラム過激派のテロリストが登場したのは、イスラエルがもっぱら軍事力に頼って国の存続をはかったために、パレスチナ人や周辺国は力によって屈服させられてしまい、その恨みがテロという形になったからです。軍事力で負けたら、テロという形で反撃するのは当然の理屈です。
ですから、アメリカが親イスラエル政策をやめるだけで、アメリカがテロの対象から外れるのも当然の理屈です(もっとも今となっては、イラク戦争、アフガン戦争などもテロの原因となっているので、単純にはいきませんが)
 
ともかく今、世界にとってパレスチナ問題の解決が最重要課題であることは間違いありません。
もしアメリカのフロリダあたりにイスラエルを建国していれば、今ごろ世界はうんと平和だったろうという人がいましたが、確かにそうでしょう。もっとも、パレスチナは聖地だからそこにイスラエルを建国したわけで、フロリダというわけにはいかないのでしょうが。
 
なぜアメリカは親イスラエル政策をやめないのかについては、時の政権にとってユダヤ票がたいせつだからとか、ユダヤ人の資金力が必要だからという説明がされますが、あまり説得力がありません。
それよりも有力な説明は、アメリカは“神の国”をつくろうと世界から集まった移民が先住民を蹴散らしてつくった国で、イスラエルもまた同様のいきさつでつくられた国で、宗教的に兄弟国みたいなものだから、というものです。確かにアメリカとイスラエルの強固な絆は宗教によって説明するしかないと思います。
そして、そうなると、そのへんのことは日本人には理解しがたいことです。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教はみな同じ神をいただく宗教です。その世界の争いに、日本が「テロとの戦い」は国際社会の責務だなどと思って首を突っ込むのはまったく愚かなことです。
 
その点、中国は「テロとの戦い」に表面上は同調したふりをしていますが、実際はなにもやっていません。このへんは日本も中国を見習う必要があると思います。