101日、アメリカのウォール街で経済政策に反対するデモがあり、700人が拘束されました。デモはインターネットの交流サイトなどを通してロサンゼルス、ボストン、シカゴ、サンフランシスコなど全米に広がっています。
こう書くと、なんだか大ごとのようですが、ウォール街で700人が拘束されたときのデモ参加者は約1500人、2日のロサンゼルスのデモは400人余りということで、今のところたいしたことではなさそうです。
 
インターネットを通じたデモというと、日本では“韓流推し”フジテレビ批判のデモが思い出されます。規模も今のところそれほど変わらないようです。
にもかかわらず、アメリカのデモは世界的に報道され、一方フジテレビ批判のデモは国内メディアにもほとんど取り上げられないままでした。いったいこの違いはなんでしょうか。
 
アメリカのデモは、失業率が高い一方で大企業や富裕層が優遇されていることに対する不満や怒りからきたものです。こうした不満や怒りは潜在的な広がりがあるに違いないので、今のところデモの規模は小さくても、将来大きなものに発展する可能性があります。さらには世界にも広がるかもしれません。そうしたことからメディアも重視したのでしょう。
一方、フジテレビ批判のデモは、一テレビ局の経営方針への不満や怒りを表現するものですから、これはどう考えても広がる可能性はありません。一テレビ局の経営方針など一般の人にとってはどうでもいいことだからです。
せめてデモがフジテレビ批判ではなく、韓国文化批判や韓国批判のデモであれば、もしかして広がりを見せるかもしれませんし、問題が大きいだけにメディアも無視できなかったかもしれません。
 
なぜ日本でインターネットを通じて起きたデモは、こんな小さなことを対象にしたものだったのでしょう。
いや、これはあくまでフジテレビ批判デモを起こした人たちの問題でしょう。一方で、反原発のデモもインターネットを通して起きているからです。もちろん反原発は大きなことです。
 
フジテレビ批判デモを起こした人たちは、いわゆるネット右翼の人たちです。ネット右翼の人たちは、大きなことには立ち向かえないようです。
たとえば、在日特権を許さない市民の会、いわゆる在特会というのがありますが、在日特権など今日本が直面している問題と比べたらあまりにも小さい問題です(私の認識では、在日特権なるものがあるとすれば、それは面倒なことは回避したいという役所の体質が生んだもので、むしろ問題は役所の体質です)
つまり、こうした人たちは自分を小さい人間だと思っていて、身の丈に合ったことをやっているのでしょう。
 
とはいえ、これはネット右翼だけでなく、日本人全体の問題かもしれません。日本青少年研究所が日米中韓の高校生を対象に2010年に行った調査結果があります。
 
「自分が価値のある人間と思うか」との問いに「全くそうだ」と答えた割合
米国57.2
中国42.2
韓国20.2
日本7.5
 
日本人には自己評価の低い人が多く、そうした人は国家と自己を同一化することで自己評価を高めようとして右翼思想に走ることがあって、それがネット右翼ということになるのでしょう。しかし、せっかくネット右翼になっても、やはり自己評価は低いままのようです。
 
問題は韓流推しや在日特権ではなく、自己評価の低さです。
ネット右翼の人たちは、政治だの国家だのを論ずる前に、自分自身を振り返ったほうがよいはずです。