ブータン国王夫妻が来日して、日本人の歓迎を受けています。ブータンは人口約70万人という小さな国ですが、日本人は特別な親しみを感じているようです。
まず国王夫妻は美男美女ですし、ブータンは「国民総幸福量」という概念に基づいて国づくりをしているということも日本人に比較的知られていますし、仏教国でもあるということも親しみを感じる理由でしょうが、国の成り立ちも日本に似たところがあります。
 
ブータンは主に高地と山地にある国で、いわば陸の孤島みたいなところです。ですから、島国の日本と共通したところがあると思えるのです。
ブータンは中国(チベット自治区)とインドと国境を接していますが、占領されたことがありません(近代になってイギリスには占領されますが)
日本も元寇は経験しますが、アメリカ以外に他国に占領されたことがありません。
 
ヨーロッパや中東の国は、何度も占領されたり占領したりということを繰り返してきました。そうした過酷な経験をすると人間がすさんできます。素朴さが失われ、知恵と悪知恵が発達します。
そして、文明も発達します。文明は知恵と悪知恵でできています。ヨーロッパ文明も中国文明も戦争の中で発達してきたのです。
 
日本には戦国時代がありましたが、このころの戦争は武士同士の戦争で、農民や町民に被害が及ぶことはほとんどありませんでした(織田信長は例外的に一向宗門徒を虐殺しますが)。ですから、日本人はあまり過酷な経験をすることがなく、素朴なまま生きてこられた民族なのです。
そして、中国文明の成果だけを学びました。
海の向こうの文明を学ぶというノウハウは、明治維新後欧米の文明を学ぶときにも役立ちました。ですから、日本は欧米以外で初めての近代文明国になれたのです。
 
日本人は素朴な心を持った文明人です。たとえていえば、都会の文化を身につけた田舎者です。
ですから、日本人は欧米人や中国人とつきあうとき、つねに違和感を覚えます。根本的にはわかり合えず、少し背伸びをしている感があります。そのため、欧米人とつきあうとき武士道や禅などを持ち出して自分をかさ上げしたりします(中国人は欧米人とつきあうときそうした違和感はないのではないかと思います)
 
その点、ブータンは陸の孤島として、過酷な経験をほとんどせずにインドや中国から文明を学んできた国ですから、日本と似ています。日本人が欧米人や中国人よりもブータン人に親しみを感じるのは当然でしょう。
 
反対に、日本人がもっとも親しみを感じないのはイスラエル人でしょう。ユダヤ民族は世界でももっとも過酷な体験をした民族だからです。中東で起こっているイスラエルがらみのさまざまな問題は一般の日本人の理解を超えています。
 
日本人はブータンとイスラエルの両方を見ると、自分の立ち位置が確認できるはずです。