大阪のダブル選挙で橋下氏と松井氏が当選し、大阪維新の会が勝利しました。もし松井氏が落選していたら、今まで橋下氏のやってきたことがすべてむだになりかねなかったので、まあよしと考えるべきでしょうか。
私は東京に住んでいることもあって、大阪都構想のことはよくわかりません。ただ、公務員給料の引き下げなどの橋下氏の手腕は大いに評価します。
橋下氏がリーダーシップのある政治家であることは間違いないでしょう。
 
日ごろマスコミや識者は、政治家はもっとリーダーシップを発揮しろといいます。となれば、マスコミや識者は橋下氏を絶賛するかというと、そんなことはありません。橋下氏のリーダーシップが確立されてくるに従って、マスコミや識者は反橋下になっていったように思えます。
 
もともと日本人はリーダーシップのある指導者は好きではありません。トップに立つ人間は、切れ味の鋭くない、むしろ暗愚とも見えるぐらいの人間で、その下の人間が働きやすければよしとしてきたのです。
島国ですし、平和な時期が長かったので、そのほうがよかったのでしょう。戦国時代や維新のころは例外的な時代です。
 
さて、現在はリーダーシップのある指導者が求められる時代かというと、私は必ずしもそうではないと思います。
もともと国際政治において、日本がリーダーシップを発揮するべきことはたいしてありません。冷戦が終わり、中国は資本主義化して、大きな問題はないからです(だから、竹島だの尖閣だの普天間だのという小さなことが問題になります)
国際経済はたいへんなことになっています。しかし、日本がここで大きな役割を果たせるということはないと思います。
 
問題は国内経済です。国内経済をなんとかよくしてほしいというのが多くの人の願いでしょう。
しかし、経済の専門家もその処方箋を出せません。処方箋がなければ、いくらリーダーシップのある政治家でもなにもできない理屈です。
小泉改革のとき、日本は一応好景気ということになっていましたが、国民の給与はふえず、むしろ格差社会になってしまいました。
「デフレの正体」(藻谷浩介著)という本によると、働き手の人口が減少する社会では経済成長は期待できないということになります。
 
ですから、今リーダーシップのある政治家に求められるのは、財政再建であり、そのための出費の抑制と増税です。
しかし、増税は国民の反発を買います。小泉政権も消費税増税は封印していました。
出費の抑制はそれに関わる国民の反発を買いますし、公務員給与の引き下げはもちろん公務員の反発を買います。
ですから、橋下氏が国政に進出して総理大臣になって、出費の抑制と増税を行おうとすると、その瞬間に橋下氏はリーダーシップの源泉たる国民の支持を失うということになります。
現在、野田政権も増税の方針を出したために国民の支持を失いつつあります。
 
こうした状況下で、将来の橋下総理にできることはなにかというと、小泉劇場にならって、抵抗勢力とバトルを演じて、人気を維持することです。
小泉政権のときは、抵抗勢力はあくまで政治家で、官僚や公務員ではありませんでした。
しかし、将来の橋下政権では、抵抗勢力は全官僚と全公務員です。これを敵にしてバトルを演じなければなりません。
橋下氏は大阪府知事時代は大阪府の公務員を抵抗勢力として、これに勝利しました。しかし、自治体の公務員と中央官庁の官僚とでは、あらゆる意味でレベルが違います。
 
橋下氏が今後国政に出ていくとすれば、全官僚と全公務員を相手にバトルを演じる覚悟が必要です。