試写会で「ニューイヤーズ・イブ」を観てきました。1223日から公開です。
監督は「プリティ・ウーマン」のゲイリー・マーシャル。キャストはロバート・デ・ニーロ、ハル・ベリー、ジョン・ボン・ジョビ、サラ・ジェシカ・パーカー、ミシェル・ファイファーなど。
どういう物語かというと、チラシの文面をそのまま引用します。
 
年越しのカウントダウンまで、あと数時間のニューヨーク。
1年の最後の日に、大切な人との絆を取り戻そうとする8組の人々。
果たして彼らは、幸せな新年を迎えることができるのか――?
 
こういうのは群像劇といってもいいのでしょうか。それぞれ別のカップルや親子や患者と看護士やらのストーリーが縦に進展し、少しずつ横にもつながって、新年とともに一斉に結末を迎えます。もちろんハッピーエンドです。
絆を取り戻す物語ということで、今の日本にぴったりでしょう。お正月映画としても最適です。
 
ニューヨークで新年恒例のボールドロップというのがあるということを初めて知りました。こういうものです。
「新年恒例のボールドロップ、米タイムズスクエア」
 
実際にニューヨークの新年の現場で撮影した場面もあるということです(もちろん1年前でしょう)。ニューヨークのブルームバーグ市長というのが出てきますが、これも本物でしょう。
 
 
8組の人々の物語が同時進行していくということですから、観ていてわからなくなるのではないかという心配がありました。実際、最初はちょっとわからない感じがあります。しかし、ひじょうにテンポがよく、会話がしゃれていて、笑いもあるので、ぜんぜん気になりません。観ているうちにだんだんわかってきます。
ひじょうに完成度が高い映画です。欠点が見当たらないといってもいいぐらいです。観終わったあとの満足度も高いです。
 
あえて欠点をいえば、ハッピーエンドの映画であることでしょう。
現実はこんなにうまくいかないよと思うと、子どもだましに見えるかもしれません。
たとえば、エレベーターに閉じ込められた互いに見知らぬ男女がだんだんと打ち解け、恋に発展するなんていうことは、現実にはまずないでしょう。私などトイレは大丈夫かなどと心配してしまいます。「俺、もうがまんできねえ。ここでやらかすぜ」「やらかすって、なによ」「もちろんションベンに決まってるじゃねえか」「こんなとこでやったら床が水びたしじゃない。がまんしなさいよ」「もう限界だ。ごめんよ」「いや! もう最悪!」
現実はこんなものです。
 
私は映画「フィールド・オブ・ドリームス」に感動しましたが、これはファンタジー映画で、最後に幽霊が出てくることでハッピーエンドになります。しかし、現実には幽霊が出てこないので、現実の世界で生きている私たちにこうした幸福は絶対に訪れないことになり、それを思うと複雑な心境になりました。
 
「ニューイヤーズ・イブ」には超常的なものはいっさい出てこないので、ファンタジー映画ではありません(馬車が出てくるのがおかしいという声がありますが、検索してみるとニューヨークに馬車は走っています)。しかし、現実にこんなことはないという意味ではファンタジー映画といってもいいと思います。
私はファンタジー映画と思って楽しみました。