日本では消費税増税が問題となっていますが、ヨーロッパでは新税論議が盛んです。
 
新税の中でいちばん大きなものは、金融取引税です。これはグローバルマネーの流動性を抑えて相場を安定させる狙いがあるもので、フランスとドイツは導入を主張していますが、イギリスが反対しています。イギリスなどを除いた形で導入されるのかが現在の焦点のようです。
 
ハンガリーではすでに昨年9月から「ポテチ税」が導入されています。ポテチ税というのは、国民の肥満を防ぐ狙いでスナック菓子など塩分や糖分の高い食品に税金をかけるものです。また、成人向けの映画や雑誌にかける「ポルノ税」も導入されています。
 
ルーマニアでは「魔女税」が議論されていると朝日新聞が報じました。
 
ルーマニアでは「魔女」が標的となった。
国内に千人以上いるとされる呪術師や占師で、古くから歴史の舞台裏で活躍。最近の世論調査でも約7割の人が「魔女の力を信じる」と答えている。
長く正規の職業と見なされていなかったが、昨年1月、魔女にも16%の所得税などを課すべきだとの議論が浮上。これに対し、一部の魔女たちが「呪い」で報復すると騒ぎ出した。(1月10日「朝日新聞」)
 
結局、「魔女税」の導入は見送られたそうです。
 
 
こうした新税が論議されるのは、もちろんヨーロッパ各国で財政危機が深刻化していることが背景にあります。
ということは、日本でも新税論議が浮上するのは時間の問題です。
たとえば、菅内閣で経産相を務めていた海江田万里衆議院議員は、経産相をやめてからなにをするのかと問われ、「今、いろんなおもしろい新税が出てきている。自分はもともと税金党だから、これから新税について勉強する」という内容のことを語りました。今はもっぱら消費税が議論されていますが、いずれ海江田議員あたりが中心となって新税論議も浮上してくるのでしょう。
 
とはいえ、他国でやっていることを真似するのでは芸がありません。新税というからには、今までにない税を考え出したいものです。
ということで、私が考えてみました。
それは、「親子同居税」です。
子どもがたとえば20歳すぎても実家を出ず親と同居を続けると、親から税金を取るのです。
これは子どもの自立を促進するという狙いですから、「自立促進税」という名前にしてもいいでしょう。
 
今、日本で問題になっていることに、晩婚化、非婚化、少子化、そして引きこもり、ニートの増加などがありますが、それらを一気に解決するのが「自立促進税」です。
それらのことは、子どもがいつまでも親元にいて自立しないことに大きな原因があります。親は子どもが自立してしまうと寂しいし、かつ収入に余裕があるので、あの手この手、意識的無意識的に子どもを親元に引き止めようとします。その結果、極端な場合には引きこもりになってしまいますし、1人前になって働いていても、実家にいると生活に不便がないので、いつまでも結婚しないということになってしまいます。
しかし、男女を問わず20歳すぎの子どもが家にいると高い税金を取ることにすれば、親は子どもに家を出るように勧めます。子どもがアパートを借りれば、そこに家財などの需要が発生しますし、1人暮らしは寂しいので結婚も早くなり、所帯を持つとそこにまた需要が発生しますし、子どもが生まれるとまた需要が発生します。つまり経済の活性化に大いに役立つのです。
 
結婚した子どもが親と同居するのは無税にしますし、親が高齢になったときの同居も無税にします。あくまで子どもの自立を促進するのが目的だからです。
子どもが家業を継ぐ場合は例外にするべきかとか、住民票だけ移して同居しているケースをどう捕捉するかとか、いろいろな問題はあると思いますが、この新税が実現できれば、直接的に税収が増えることはもちろん、経済活性化、若者の自立心の涵養などに大きな効果が期待できます。
 
イタリアなどでも若者がいつまでも親元にいてなかなか結婚しないという問題が起きています。
日本発の新税が世界に広がるということもありえます。