マスコミは消費税増税が政治の最大の争点のように言っていますが、私はどうもピンときません。増税すれば、お金が国民の懐から国庫へと動くわけですが、そのお金は国の借金を返したり国民の福祉に使われたりするわけです。つまりお金が右から左に動いて、また左から右へと動くわけで、国民としては損も得もありません(消費税増税は低所得層にとっては痛手ですが、その問題はここでは無視することにします)
 
愛知の地域政党「減税日本」は、橋下徹大阪市長との話し合いで減税を一時棚上げするそうですが、かりに減税が実施されたとしても、住民はそんなにうれしくないでしょう。減税された分、住民サービスが低下する理屈ですから、多くの人はどちらでもいいと思っているはずです。
 
ですから、増税だの減税だのは、そんなに重要な問題ではないと思うのです。
これは高福祉高負担と低福祉低負担とどちらがいいかという問題に似ています。たいていの人は、どちらでもいいと思っているか、判断しかねていると思います。中福祉中負担がいいと思う人が多数かもしれません。
高福祉低負担があればいいですが、それが不可能であることは誰でもわかっています。
 
ただ、問題は低福祉高負担という現実があることです。
正確にいうと、払った税金がむだに使われたり、一部の人の不当な利益になったりしているのです。
その金額はよくわかりません。福祉にかかる金額のほうがうんと大きいから、むだをなくす努力をしてもあまり意味がないという説もありますが、そんなことはありません。すでに述べたように増税も減税も損得と関係ありません。税金の使い方で損が発生するのですから、それこそがすべてだといってもいいくらいです。
しかも、この損は毎年発生し続けます。累積すると大きな金額になります。
投資信託には、売買手数料のほかに、信託報酬といって毎年払う経費があり、これが3%以上になるものもあります。株式を組み込んだ投資信託は値動きが激しいので3%ぐらいたいしたことないように思えますが、長期に保有しているとバカになりません。世界的に経済成長が鈍化していますから、むしろ保有するとどんどん損をしていくということにもなりかねません。
税金のむだ使いもそれと同じです。
日本はたいして経済成長しないのですから、むだ使いしている余裕はありません。
 
ところが、マスコミは税金のむだ使いの問題はあまり追及せず、増税論議ばかりしています。たとえば、八ツ場ダムの建設再開が決定されたとき、バンザイ三唱をした人たちがテレビに映っていました。あれはどういう人たちで、どういう思いでバンザイ三唱をしたのでしょうか。マスコミはそのへんを追及してほしいものです。
 
また、マスコミは国会議員の定数削減など政治家自身も痛みを分かち合うべきだと主張していますが、これも結局、不当な利益を得ている既得権益者から国民の目をそらせていることになります。
 
橋下徹大阪市長はこれまでむだな支出を削ることに力を入れてきました。橋下氏が大人気なのは主にそのことが国民に評価されているからでしょう。国民はバカではありません。私自身も、橋下氏のやり方にはいろいろ反対することもありますが、むだな支出を削ったというひとつのことだけで評価しています。
 
 
ところで、私は消費税増税そのものには反対ではありません(もちろんむだの削減が先だと思いますが)。このまま財政赤字が広がると国債が大きく値下がりする可能性があるからです。みんなの党のブレーンである高橋洋一氏などは国債の値下がりはないと主張していますが、相場のことはよくわからないものです(わかる人は確実にもうけられます)。事前に手当てしておくに越したことはありません。