大阪維新の会が国政進出の準備を進めています。国政となれば外交政策も打ち出さなければなりませんが、これがどうなるのかよくわかりません。
私は実は、橋下徹大阪市長は外交音痴ではないかと前から疑っています。鳩山政権当時、大阪府知事だった橋下氏は普天間飛行場の関空への受け入れを表明しましたが、そのとき日本政府やアメリカ政府になにも注文をつけませんでした。自治体の首長としては正しい態度ですが、日ごろから外交について考えている人間なら、あの状況ではなにか言いたくなるものです。
石原慎太郎都知事はアメリカや中国について年中なにか言っています。
橋下氏は自制心があるともいえますが、単に外交についてなにも考えていないのではないかと思ったのです。
 
たいていの日本人は、欧米にコンプレックスを持っていて、裏腹にアジアに優越感を持っています。しかし、最近は中国が日本を追い抜いてきて、多くの日本人は複雑な心境です。そのため反中国発言をする人もいますし、そうした発言はけっこう世の中に受けます。しかし、橋下氏はそうした発言もしていないようです。
 
ウィキペディアで「橋下徹」の項を見てみると、核武装を肯定する発言をしたということですが、これはあくまで政治家になる前のテレビでの発言です。外国人参政権についての発言もありますが、これは外交とは基本的に違う問題です。
 
橋下氏の外交についての考えを知りたいと思っていたところに、こうしたニュースがありました。
 
橋下市長が拉致問題で「不法国家である北と付き合いは一切しないという意思示せ」 政府に注文
「産経ニュース」2012.2.5 16:56
 大阪市の橋下徹市長は5日、市内で開かれた北朝鮮による拉致問題を考える集会であいさつし「政府はもっとはっきり意思を示してほしい。何がしたいのかさっぱり分からない」と政府の対応を批判した。
 市長は「大阪府、大阪市では拉致問題は許さない。不法国家である北朝鮮が正常な国になるまで付き合いは一切しないという意思をはっきり示していきたい」と強調。自身が府知事時代に打ち出した朝鮮学校に対する補助金支給要件の厳格化を上げ「全国の自治体でやればできる。これぐらい国が何で指示を出せないのか」と指摘した。
 集会に先立ち橋下市長は松原仁拉致問題担当相と会談。松原氏は朝鮮学校の補助金厳格化について「他の都道府県も大阪の先例に大きく学ぶべきだ」と評価した。松井一郎大阪府知事も同席した。
 
 
橋下氏の対北朝鮮政策は、いっさいつきあうな、もっときびしくしろというもののようです。
これはいかにも橋下氏らしい政策です。一般受けすることは確かでしょう。
しかし、このやり方で拉致問題が解決するかというと、そんなことはないでしょう。もうすでに日本政府は北朝鮮に対しさまざまな制裁を行っています。そして、北朝鮮はどんどん中国との経済関係を深めています。
北朝鮮と中国との貿易高は、2011年から2012年にかけて62%増加したそうです。
 
もしほんとうに拉致問題を解決しようとするなら、北朝鮮と話し合うことが必要ですし、なんらかの経済援助、つまりアメも必要になるでしょう。
しかし、そうした主張は国民感情に反しますし、橋下氏もそのことはわかっているわけです。
 
北朝鮮は日本と国交がなく、拉致事件を起こしたことで不法国家呼ばわりしても問題ありません。つまり、悪役に仕立ててバッシングできる相手だから、橋下氏は珍しく外交的発言をしたのでしょう。
 
やはり橋下氏は外交についてなにも考えてなくて、つねに悪役を見つけて、それをバッシングするという政治手法だけで突っ走っているように思えます。
 
しかし、それが悪いかというと、そんなことはないと思います。前にも書きましたが、政治家はなまじ哲学やどうしても主張したいことがあると失敗するものです。
たとえば、石原慎太郎氏は「『NO』と言える日本」で反米的主張をしたところ、激しい反発を受け、結局それで国政での展望を失ってしまいました。鳩山由紀夫氏は、「友愛」という哲学を持つ政治家ですが、哲学を持っていることによって失敗した感があります。
 
哲学やどうしても主張したいことがない政治家は、臨機応変に行動できるので、かえって成功する傾向があると思うのです。
そういう意味で、橋下氏が外交音痴であったとしても問題はなく、かえってプラスであると思います。外交はむしろほかの人に任せて、「国の統治機構を変える」という一点で突っ走っていけばいいのではないでしょうか。