9月25日から北京で日中政府の外務次官級協議が始まりましたが、どう決着するかまだ見えません。日中関係が悪化したままだと、日本経済への悪影響も心配されます。
 
そもそも尖閣問題がこれほどこじれてしまった発端は、石原慎太郎都知事が都による尖閣購入計画を発表したことにあります。
購入計画の発表自体が中国側の反発を招きましたが、石原知事は購入後は船着場や灯台などを建設し人を常駐させて実効支配を強化するもくろみで、もしこれが実現したら、さらなる中国側の反発を招くことは必至です。
そこで日本政府は都に代わって尖閣を購入することにしました。政府は石原知事が要求した船だまりの建設などは拒否したので、あくまで土地を買い上げるだけで、現状変更をするつもりはなさそうです。
そして、そのことを中国に説明すれば、中国は理解してくれると日本政府は判断したのでしょう。
しかし、中国は態度を硬化させ、習近平氏は「国有化は茶番」と批判しました。
 
なぜ中国は日本政府のやり方に反発したのでしょうか。
日本では土地の売買は自由で、土地を個人が買っても都が買っても国が買ってもそれほど違いはないのですが、中国では土地はすべて国有ですから、「日本政府が国有化した」ということが特別なことに感じられたのだという説があります。
また、中国は中央主権の国ですから、地方自治についての理解が少なく、日本では政府が都に一方的に命令する立場にないということが理解されていないということもありそうです。
 
ともかく、日本政府としては国有化を中国にとってもよいことなのだと理解してもらうしかありません。
 
さて、問題の火付け役となった石原知事は、責任を感じて謹慎しているかというと、そんなことはありません。中国の海洋監視船が尖閣諸島の領海を侵犯したときには、「追っ払えばいい。まさに気が狂っているのではないか」とか「『寄らば切るぞ』といったらいい」などと言い、反日デモが暴動化したことについては「酷い。これはテロ。民度が低い」と暴言を連発しました。
 
さらに、9月21日の記者会見では、記者から『知事はしきりに「シナ」と言うが、相手が嫌がる呼称を使うべきでない』と言われたのに対し、「嫌がる理由はないじゃないか」「ナンセンスだね」と言って、これからも「シナ」を使い続ける意志を示しました。
(石原語録:知事会見から 毎日新聞 20120922日 地方版)
 
日中が対立状況にあるときに、まさに火に油を注ぐ発言です。私はあまりにも思慮が足りないのではないかと腹を立てていましたが、あるときふと思い至りました。
石原知事はみずから憎まれ役を演じることで日本を救おうとしているのではないかと。
 
今、日本政府は「都が尖閣を購入すると、反中国の石原知事は必ず中国のいやがることをする。それを阻止するために国が購入する必要があったのだ」ということを必死で説得しているはずですが、石原知事が中国人の神経を逆なでする発言をすればするほどその説得に信憑性が出てくるわけです。
さすが石原閣下です。私のような小さな人間には容易に推し量れない大きな考えを持って行動しておられるのです。
「勧進帳」で弁慶が義経を打擲するような気持ちで反中国発言をしておられるに違いありません。
 
しかし、石原知事の発言は中国にあまり報道されていないと思われます。今は国と国の対立になっているからです。
 
となると、石原知事は次の手を考えておられるでしょう。
私のような小さな人間に石原知事の考えを推し量るのは容易なことではありませんが、乏しい想像力を総動員して考えてみました。
 
石原知事は自分の命を惜しむような人ではありません。特攻隊を賛美する映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」をプロデュースしたくらいです。
また、尖閣購入のための寄付を募り14億円余りを集めましたが、使い道がなくなり、返すこともできないという状況です。そのお金に込められた志を思うとき、石原知事は慙愧に堪えないに違いありません。
となると、ここで国のためになるなら自分の命を捨てようという思いが湧いてきても不思議ではありません。
 
つまりハラキリをすることを考えておられるのではないでしょうか。首相官邸前で、「都が尖閣を購入して、さんざん中国にいやがらせをしようとしたのに、国に阻止された。無念でならない。国に抗議するために切腹する」という文書を残してハラキリをすれば、それは全世界を驚かせるニュースになり、当然中国にも伝わり、日本政府は石原を抑えるために尖閣を国有化したのかと、すべての中国人が納得するに違いありません。
 
そのとき石原知事は、できれば桜吹雪の中で死にたいでしょうが、季節が違うのでそうはいきません。そこで、返還不能の寄付金を1万円札にして、大型扇風機でお札の紙吹雪を舞わせて、その中でハラキリをするという演出が考えられます。そうすればお札が通行人に拾われるという形で国民に返還することもできます。
 
三島由紀夫がハラキリしたのですから、作家である石原慎太郎氏が同じことをしても不思議ではありません。
そんなことはありえないと思っているあなたは、石原氏の大きな心がわからない小さな人間です。
 
もちろん私自身は、石原氏にそんなことはしてほしくないと願っています。