シリーズ「横やり人生相談」です。今回はつきあっている女性と別れるべきかどうか悩む男性からの相談です。といっても、たいした悩みではありませんし、どう答えてもいいようなものです。むしろ問題は、この男性の思考法にあります。
 
 
彼女との交際、続けるか悩んでいます  龍  20121220 18:31
 
 32歳男 会社員、彼女 32歳 実家の会社の事務員
 
皆さんは結婚を考えられない相手と付き合いますか?付き合われていて
結婚したいと気持ちが変わった出来事はありますか?
 
私は彼女と付き合って3ヶ月になります。下記を理由に彼女との将来は考えられないので
別れることを考えています。私は結婚願望があります。苦楽を共にできる伴侶が欲しいため結婚したいと思います。しかし、今の彼女では忍耐力、精神力面で難しいと思います。付き合うだけなら私も好意がありますので問題ありません。
 
先日彼女に別れ話をしました。彼女は好きなだけでは付き合えないの?と聞いてきました。私は年齢も年齢なので好きだけでは難しいと答えました。
今、話し合いは平行線です。本当に別れるべきか悩んでいます。
 
・遅れたり、奢った際、すぐに「ゴメン」や「ごちそうさま」の挨拶が無い。
・お金は、いつもこっち負担。少しも出そうとしない。
・運動を嫌がる。お金を使い簡単に痩せる(エステ)方向に行きたがる。苦労を惜しむ。
・信念、考え、根性が無い
・表向きな処にばかりお金を使う(ネイルサロン、まゆげ)。自己成長、自己啓発の努力はしない。知ろうと言う興味を持たない。好奇心が無い。
・精神不安定?泣きやすい?健康面で不安。
・仕事は親が経営している施工事務所の事務のため、人との関わりが少なく苦労が少ない分人間的成長は乏しい。前職はアパレル関係の仕事をしていたが半年で退社。
 
拙い文章で恐縮ですが助言のほどよろしくお願いいたします。
 
これは「発言小町」という掲示板に載ったものです。この相談に対するレスは、「そんな不満ばかりの相手となぜつきあっているのか。別れて当然」というものがほとんどですが、「彼女に好意があるのはなぜか。よほど外見がいいのか」というものもありますし、「相手の欠点ばかり指摘して、自分は何様だ」というものもあります。
 
別れたければ別れればいいだけの話で、悩みというほどの悩みではありません。
とはいえ、わざわざ相談の書き込みをしたというのは、自分で自分の判断に疑問を感じているのではないかと想像されます。
確かにこの男性の考え方には大いに問題があります。こういう考え方をしていては、いつまでたってもいい相手に巡り会えないのではないかと思われます。そういう意味では深刻な悩みかもしれません。
 
恋愛や結婚でたいせつなのは「相性」です。
相性というのは、性質や性格がお互いにマッチするかということです。性質や性格に善悪はありません。たとえば休日は山や海に出かけたい人と、家の中で本やビデオを見てすごしたい人が結婚するとうまくいきません。こうしたことが相性です。
 
ところが、この男性は彼女の性質や性格を見ているのではなく、もっぱら人格の道徳的評価をしているのです。
そして、道徳的評価をすると、どうしても悪いことばかりが目立つことになります。道徳とはそもそもそういう性質のものだからです。この男性の場合は一から十まで悪い評価を並べているので、そのおかしさが際立っています。
 
「苦労を惜しむ」「信念、考え、根性が無い」という道徳的評価は一方的であり、かつ的外れでもあります。
たとえば「苦労を惜しむ」といいますが、誰でも最小の苦労で最大の効果を得ようとするもので、その意味では誰でも「苦労を惜しむ」ことになります。
また、「信念、考え、根性が無い」といいますが、信念や根性のある女性はつきあいにくい女性である可能性が大です。信念や根性がないように見えるのは、人に対してやさしい女性かもしれません。
 
「お金を使い簡単に痩せる(エステ)方向に行きたがる」「表向きな処にばかりお金を使う(ネイルサロン、まゆげ)」といいますが、これがだめならほんどの女性がだめということになってしまいます。
 
『「ゴメン」や「ごちそうさま」の挨拶が無い』というのも、如才なく心の伴わない挨拶をする女性よりもいいかもしれません。
 
このように道徳的評価をしていると、どんな女性も評価にたえず、誰とも結婚できないことになってしまうのではないかと思われます。
この男性はあまりにも道徳にとらわれすぎています。そして、そういう人間は決まって自分自身については甘い評価しかしません(そもそも道徳とは他人にきびしく自分に甘いものなのです)
 
私はむしろ、この2人が結婚したとき、女性が不幸になるのではないかと思います。男性から「苦労を惜しむ」「信念がない」「努力しない」「好奇心がない」などと毎日のように否定的な評価をされ続ければ、それだけで不幸です。
 
普通の男性は、恋愛中はあまり道徳的な評価をせず、結婚して恋愛感情が冷めてきてから道徳的評価をするようになり、そのため2人の関係が悪化するということが多いのではないかと思われます。したがって、結婚前にこうした認識を持ち出してくれたのは、女性にとってはむしろありがたいことかもしれません。
 
道徳が頭の中に入っているためかえって不幸になるということがよくあります。これはそのひとつの例でしょう。
この男性は道徳のとらわれから脱すれば、幸せな結婚生活が送れるのではないかと思われます。
 
私の考えでは、道徳というのは基本的に人を批判する道具です。ですから、政治家を批判するときとか、職場のライバルを蹴落とすときなどにはきわめて便利に使えます。
しかし、道徳を家庭の中に持ち込むと、一方的に批判したり、互いに批判し合ったりして、家庭の平和がなくなってしまいます。
自分の子どもを道徳的に評価して、子どもにダメ出しばかりして、親も子も不幸になっているケースがいっぱいあります。
 
「家庭に道徳を持ち込むな」ということを実践するだけでたいていの家庭はうまくいくと私は思っています。