「のど元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざがありますが、地震や台風に慣れた日本人はとりわけ悪いことを早く忘れてしまうようです。南海トラフ巨大地震の可能性がいわれているのに、すでに原発を再稼働させています。
民主党政権から自公政権に戻ったのも、かつての自公政権時代のことを忘れてしまったからでしょうか。
 
とはいえ、すでに安倍内閣が発足してしまったので、日本の首相は毎年替わると外国からあきれられないように、当面はささえていったほうがいいと思うのですが、これほどささえがいのない首相はいないでしょう。なにしろ難病持ちなので、いくら周りがささえても、前回がそうだったように、自分から政権を投げ出してしまうかもしれないからです。
 
安倍首相本人は新薬が効くから大丈夫と思っているようですが、それは無役の国会議員や野党の総裁のときのことです。首相のストレスに対しても同じように効くとは限りません。
たとえば、これからアメリカの圧力でTPP交渉参加を表明することになるでしょうが、それだけで自民党内の反対派と大きな軋轢が生じることになります。
 
安倍首相の政権投げ出しのことも国民は忘れてしまったのでしょうか。
 
ただ、今のところ安倍内閣の船出は調子いいように見えます。というのは、円安株高が経済界から歓迎されているからです。
 
いわゆる「アベノミクス」については、経済の専門家の評価も分かれていますし、私も簡単には判断できないと思っていましたが、時間がたつとともにだんだんと見えてきました。
結局のところ、金融政策だけで景気をよくすることはできないでしょう。多くのエコノミストも同じ考えのようです。金余りになっても、物に対する需要がふえるわけではないので、物価も大して上がらないでしょう。
それでも経済界でアベノミクスを歓迎する声が多いのは、現に株価が上昇し、これから地価も上がりそうだからです。つまり資産バブルを歓迎しているのです。
 
ここでも「のど元過ぎれば熱さを忘れる」になっています。資産バブルは一見好景気に見えますが、バブルがはじければひどい後遺症に悩まされます。それは日本人が自分のこととして経験していますし、アメリカの住宅価格バブルがはじけた後遺症は今も世界を悩ませています。
 
麻生財務相も「日経平均株価が1万5000円にもなれば何となく気持ちが豊かになる」と述べましたが、これも実体経済がよくなるのではなくバブルになるという認識を述べているのでしょう。
 
円安の進行は輸出企業の収益にはプラスになるので歓迎されていますが、円安は国債価格の暴落を招くという説もあります。
 
 
結局のところ、少子高齢化の進む日本で景気をよくしようとすれば、よほど大胆な構造改革をしなければならないはずです。
そして、大胆な構造改革をするには大胆な発想の転換が必要です。ところが、今の日本人は狭い範囲でしか物事を考えることができず、そのため同じところをグルグルと回る格好になっています。
 
では、「大胆な発想の転換」とはどんなものでしょうか。試しに私が考えてみることにします。
 
安倍首相は自衛隊を「国防軍」にするために憲法9条改正を目指しています。最高裁は自衛隊違憲判決を出しませんでしたが、9条の「戦力の不保持」と自衛隊の存在は明らかに矛盾していますから、これをなんとかしたいと思うのはもっともなことです(もちろん今のままでいくのがいいという考え方もありますが)
しかし、「戦力の不保持」と自衛隊の存在という矛盾を解消するにはもうひとつのやり方があります。それは自衛隊をなくすことです。
 
これは実に当たり前の発想で、なぜ誰も言わないのか不思議でなりません。みんな戦争文化にどっぷりと漬かってしまっているのでしょうか。
自衛隊をなくしても安保条約はあります。アメリカは文句を言うでしょうが、アメリカとしては日本にどうしても米軍基地を置いておきたいので、アメリカから安保条約を解消する理由はありません。日本が勝手に自衛隊をなくしてしまえばいいのです(かりに安保条約も米軍基地もなくなっても、島国ですから非武装国家として生きていくことは十分可能だと思います)
 
日本の防衛費は4.8兆円です。戦車や戦闘機にはなんの生産性もありませんから、これほどむだな投資はありません。これを別の方面に投資すれば、それだけで経済はよくなります。
日本のように巨大な財政赤字をかかえている国が他国並みの軍事費を支出するのは道楽というしかありません。
 
そして、日本が軍事費ゼロ国家として繁栄していけば、それを見習おうという国も出てくるでしょう。つまり日本は世界平和にも貢献できるのです。
 
 
もうひとつ、日本の経済を立て直す秘策があります。それは憲法を改正して、国民に無償労働を義務化するのです。
 
世の中には徴兵制を敷くべきだという考えの人がいます。しかし、兵隊は経済に貢献しません。そこで、労働者として徴用するのです。たとえば、若者に2年間の無償労働を義務づけると、無償の労働力を使える企業は大いに収益が向上します。
また、これによって引きこもりの若者も社会性を身につけて引きこもりから脱出できるという効果も期待できます。
これはいわば年限奴隷制です。古代ギリシャや古代ローマは奴隷制で繁栄しました。
ほかに、たとえば15歳のときに全国統一テストをして、一定の点数に到達しない者は一生奴隷とするやり方も考えられます。
 
今述べたことは冗談です。実際にやれと言っているのではありません。
世の中には人権思想を嫌う人がいます。橋下徹大阪市長もそうでしょうし、自民党の憲法改正草案は基本的人権を守る姿勢がないと批判されていますし、いわゆるネトウヨも反人権的な主張をしています。しかし、もし人権思想がなくなってしまえば、奴隷制復活の動きが出てきたとき、反対する論理がなくなってしまうということが言いたいわけです。
 
ともかく、こういう大胆な発想がなければ日本復活はないでしょう。金融政策でなんとかできるというものではありません。
 
とはいえ、またバブルの時代が始まるのかもしれません。
しかし、これがバブルだとわかっていればそれなりに対処することができます。株は空売りすることができますし、日経平均先物もありますから、上昇過程では買いポジション、バブルがはじけてからは売りポジションを取れば、往復でもうけることができます。
 
昔のバブルのとき、私の知人で株をやっている人がいて、いつも景気のいい話をしていました。しかし、こういう人はバブルがはじけたとき、バブルがはじけたということに気づかず、安くなった株を割安だと思ってどんどん買っていました。信用取引をしていた人は全財産を失ってしまうということもありました。
 
過去から学んで、同じあやまちを繰り返さないようにしたいものです。
 
 
ところで、去年は1日置きにブログの更新をしていましたが、あまりブログに時間を取られているわけにいかないので、今年は少し更新の回数をへらそうと思います。週に3.5回だったのが2.5回から2回ぐらいの感じになると思います。