大阪市立桜宮高校の体罰事件が問題になっていたところに、女子柔道の日本代表強化合宿で暴力行為があったとして選手15人が園田隆二監督を告発し、さらに各地の学校で体罰事件が表面化してきました。また、ちょっと問題が違うとはいえ、柔道の内柴正人被告に実刑5年の判決が下るというニュースもありました。
問題の“元祖”である桜宮高校はどうなっているのかというと、こんなニュースがありました。
 
桜宮高の各運動部、外部から指導者招請…市教委
 大阪市立桜宮高校での体罰問題を受け、市教委は同高の各運動部に、民間のスポーツ指導者やトップ選手らを「スポーツマネジャー」として招き、指導法の点検や助言を求めることを決めた。
 外部から登用予定の新校長と市教委が人選し、今年度中にも始める。体罰を黙認していた運動部の指導体制を一新する狙いだ。
 市教委は橋下徹市長の要請も受け、14運動部の顧問55人全員の入れ替えを検討しているが、体制を変えるには人事異動だけでなく、外部の人材が必要だと判断した。ボランティアではなく報酬を支払い、勤務体系は今後協議して決める。
 同高の運動部は全て活動を停止しているが、市教委は2月5日の教育委員会議で全校アンケートの結果を公表し、体罰のなかった運動部の再開を認める方針。
2013211525  読売新聞)
 
これを読んで改めて認識しましたが、桜宮高校の全運動部が活動停止していたのですね。
体罰をしていたのは顧問の教師なのですから、顧問の活動だけ停止させて、生徒は自由にやらせればいいはずです。運動部の日常の練習というのは、顧問だのコーチだのは関係なく、生徒だけでできます。
「体罰のなかった運動部の再開を認める方針」ということは、体罰のあった運動部はまだ再開できないわけです。体罰の被害者である生徒を罰する形になっています。
レイプの被害女性が警察などの取り調べで辱めを受けることをセカンドレイプといいますが、これでは“セカンド体罰”です。
 
もっとも、体罰の被害生徒が体罰を正当化しているのではないかという問題があります。これは橋下徹大阪市長もそうだったように、ありがちなことです。しかし、部活動を停止して、じっとしていればこの問題が解決できるというものではありません。被害生徒は、自身の体験を考え直すためにも周りの人と話し合うなどしなければなりませんが、そのためにも部活動があったほうがいいはずです(カウンセリングも有効ですが、カウンセラーが派遣されたというニュースはなかった気がします)
 
体罰というのは、教師が強者で生徒が弱者という関係から生まれるものだといえますが、体罰対策の過程でも生徒は弱者として不当な扱いを受けています。というか、まるで体罰教師の共犯者であるかのようです。桜宮高校の生徒や保護者から抗議の声が上がっているのも当然です。
 
 
で、このニュースによると、『市教委は同高の各運動部に、民間のスポーツ指導者やトップ選手らを「スポーツマネジャー」として招き、指導法の点検や助言を求めることを決めた』ということですから、今いる顧問に対して助言してもらうということなのかと思ったら、そのあと、「14運動部の顧問55人全員の入れ替えを検討している」とも書いてあります。とすると、いったい誰に対して助言してもらうのでしょうか。
新しい顧問に対して助言してもらうのももちろん意味あることですが、そうすると今いる55人はどうなるのでしょうか。
体罰をしたからといって免職にするわけにはいきませんし、今後永久に運動部顧問になることを禁止するということも困難でしょう。
となると、新しい赴任先でまた体罰をする可能性があるわけです。
いや、そもそも桜宮高校以外にも体罰教師はいるはずであって、その問題はどうなるのでしょうか。
 
体罰禁止を実現するためには、体罰教師を再教育するなり反省させるなりしなければなりませんが、橋下市長や市教委にそのための方策はないようです。
 
55人の顧問全員の入れ替えというのは、外部に問題を転嫁するだけです。企業会計の粉飾の手口に、損失を外部に移して隠す“飛ばし”というのがありますが、これは体罰問題の“飛ばし”です。