北朝鮮が2月12日、3度目の核実験をしました。まったく身勝手なふるまいです。
当然、国際社会は北朝鮮を非難しています。しかし、どういう理由で非難しているかというと、「国連安保理決議に違反している」ということなのです。
その決議というのは 安保理決議2087のことで、昨年12月に北朝鮮が強行した「ロケット」(事実上の長距離弾道ミサイル)発射を非難するとともに、核兵器についてこのように主張しています。
 
3.北朝鮮に対し,すべての核兵器及び既存の核計画を,完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な方法で放棄すること,関連するすべての活動を直ちに停止すること及び弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射,核実験又はいかなる挑発もこれ以上実施しないことを含む,決議第1718号(2006年)及び第1874号(2009年)の義務を直ちにかつ完全に遵守することを要求する。
 
しかし、なぜ北朝鮮が核兵器開発をしてはいけないのかということは書かれていません。それはそうでしょう。アメリカやロシア、インドやパキスタンも核兵器を持っているのに北朝鮮だけ持ってはいけないという理屈はないからです。
 
ということは、国際社会は北朝鮮に対して、「俺たちの決めたことに従わないからけしからん」と言って非難しているわけで、国際社会もまた身勝手であることは北朝鮮と変わりません。
 
国際社会というのは、主権国家がそれぞれに国益を追求することが当然とされる場なので、北朝鮮の行動も理論上は非難できません(自国民が飢えているのに核開発に金をかけるのは許されないという人道上の非難はありえますが)
 
ほんとうに北朝鮮に核開発をさせたくないのなら、EUみたいに国家主権を制限する方向に行かねばなりませんが、そういう議論あまり行われません。
 
また、北朝鮮がこれまで核開発を行ってきたのは、アメリカがそれを許してきたという面もあります。
 
なぜ対北朝鮮より対イランに強気なのか? オバマ米大統領が一般教書演説
オバマ米大統領は12日夜(日本時間13日午前)、議会での一般教書演説を行った。最低賃金の引き上げや地球温暖化対策、インフラ改修、教育支援などのリベラル政策を並べ、社会改革を進める姿勢を示した。だが、演説の中で際立ったのは、核開発を進める北朝鮮とイランに対する姿勢の違いである。
  
オバマ大統領は3度目の核実験を行った北朝鮮について、「昨夜のような挑発は、国の孤立を深めるだけだ。我々は同盟国と協調し、ミサイル防衛を強化し、脅威に対する確固たる対応で世界をリードする」と述べた。しかし、賛同の拍手はなく、議場内は水を打ったように静かだった。
 
かたや、イランについて「核兵器を持たせないために必要なあらゆる措置を取る」と述べたシーンでは、議員らがスタンディング・オベーションの誘い、極めて対照的な光景となった。
(後略)
 
なぜアメリカがイランに対してきびしいかといえば、ひとつにはイスラム国だということがあるでしょう。それに、イランではアメリカ大使館人質事件というのがあり(444日にわたって大使館員らが人質になった)、それに対する恨みもあるかと思われます。
一方、北朝鮮に対しては、身勝手なふるまいはするが、それなりに国益のための合理的な行動だと見ているのでしょう。ですから、北朝鮮に対しては抑止力が効くので、核武装をしても怖くないと思っているに違いありません。
アメリカがほんとうに北朝鮮に不信感を持っていれば、核開発阻止のためにすでに軍事行動を起こしているはずです。
 
では、日本が核武装をするとしたらアメリカはどう出るでしょうか。北朝鮮の核開発に対して日本も対抗するべきだという声がこれから強くなるかもしれません。
 
軍事ジャーナリストの田岡俊次氏は、アメリカは日本の核武装を絶対許さないと主張しておられますが、私も同じ考えです。
 
核抑止論というのは、相手の国が生き残るために合理的な行動をするということが前提になっています。
しかし、アメリカは日本を合理的な行動をする国とは思わないでしょう。
なにしろ真珠湾攻撃の過去があります。アメリカ人にとってこれは大ショックでしたし、9.11のときもアメリカ人はパールハーバーのことを連想したように、今も忘れていません。いつ不意討ちをしてきてもおかしくない国という認識でしょう。
それから、神風攻撃のこともあります。イスラム過激派の自爆テロもカミカゼの影響を受けたものですが、死を恐れない相手には核抑止論は無効です。
つまりパールハーバーとカミカゼの過去がある日本が核武装をするということは、アメリカにとっては絶対に許すことができないはずです。
 
日本人は、北朝鮮はなにをするかわからない国と思っていますが、実際のところは国家体制の護持を第一にしていろいろな駆け引きを行っています。
日本も過去、「国体護持」をスローガンにしていましたが、実際のところは国体を崩壊させる方向に行動してしまいました。それによる信用の失墜は今も尾を引いているに違いありません。
 
安倍首相は2月14日、オバマ大統領と電話会談を行い、北朝鮮の核実験を受けて、北朝鮮への制裁強化などについて話し合ったということです。一見、日本とアメリカは価値観を共有しているようですが、核保有ということに関しては、日本はアメリカから北朝鮮よりも信用されていない可能性があります。
安倍首相も無意識にそれを理解していて、集団的自衛権の問題などで必死にアメリカに恭順の姿勢を示そうとしているのかもしれません。