参院選は自公が圧勝し、安定多数獲得という結果となりました。予想通りとはいえ、うんざりする結末です。
 
政・官・財の鉄のトライアングルに、民主党が入りそこねてはじかれてしまったということがすべてでしょう。
マスコミはそういうことは書きません。マスコミも今はトライアングルの一角で、鉄の四角形を形成しているからです。
 
また、「色の白いは七難隠す」といいますが、安倍政権にとっては「景気がよいのは七難隠す」という格好になったのも幸運でした。
 
鉄の三角形、四角形はさらに強化され、このまま日本は原発再稼働に見られるように惰性のまま進み、財政危機をさらに深めていくのでしょうか。
 
 
今回の選挙も、若者の低投票率が議論になりました。おとなたちは若者に投票させようと考えているようです。そのためにこんなことも行われています。
 
若者へ、お得な「センキョ割」 投票後押し、広がる企画
【川口敦子】参院選の投票率アップを後押ししようと、投票した人が商品の割引などのサービスを受けられる取り組みが各地で広がっている。これまでの商店街や商工会に加え、IT企業も参入。投票率向上へ学生団体による試みも始まった。
 
 「センキョ割でーす。143店舗でお得でーす」。19日夕、横浜市中区の横浜中華街。浴衣姿の女性らが観光客たちに「『センキョ』で得する夏が来ます」などと書かれた袋入りの割りばしを配った。
 
 投票所で看板やポスターと一緒に自分の姿を撮影し、横浜市を中心に神奈川県内の居酒屋など143店舗で写真を見せると、サービスが受けられる仕組みだ。生しらす1品が無料になる飲食店や、料金2割引きのネイルサロンなど様々。対象は20~35歳で、投開票日の21日から8月4日まで有効だ。
 
 企画したのは横浜市に拠点を持つウェブ制作会社「ワカゾウ」(本社・東京都)。会社に利益は出ないが、予備校講師を兼ねる佐藤章太郎社長(40)が、若者に選挙に関心を持ってほしい、と後押しする。発案した社員の渡辺実穂さん(27)によると、割りばしには「選挙割引」と「政治と若者の橋渡しを」という二つの意味を込めた。「『投票以外で政治に関わる道があったなんて』と喜んで参加してくれた店がたくさんあった」
 
ボランティアで割りばし配りをした上智大1年の守月(もりづき)綾花さん(18)は「若い人に政治に関心を持ってもらうのに貢献できたらうれしい」と話した。
 
 このようなサービスは、10年ほど前から始まったとされる。2004年の参院選から始めた早稲田商店会(東京都新宿区)では、投票所で選挙管理委員会が発行する投票済証を店に示せば、サービスが受けられる。同商店会の担当者は「学生が『自分たちの一票で変わるとは思わない』と話しているのを聞いて危機感を覚えた」と振り返る。
 
(後略)
 
若者の投票率が低いのは、今の政治が若者にとって魅力的でないからです。魅力がないのをそのままにして、投票率だけ上げようというのはおかしな発想です。政治を若者にも魅力あるものにしようという発想でないといけません。
 
朝日新聞の社説も若者に投票を呼びかけましたが、これが実に気持ちの悪い文章です。こういう文章を書いているから、若者の新聞離れが進んでしまうのです。
わざわざ読むほどのものではありませんが、一応張っておきます。
 
選挙と若者―投票すれば圧力になる
 そこを行くリクルートスーツの君。きょうは参院選の投票日だって知ってた?
 
 まだ内定がとれないんで、投票に行く余裕がない?
 
 君が「なんとか、正社員に」って必死になるのは当然だ。就職したとたん、年収は正社員と非正社員との間で平均80万~160万円の差がつき、年齢が上がるにつれどんどん広がる。
 
 90年代以降、正社員への門は狭まるばかり。最近は大卒男子でも4人に1人は、初めて就く仕事が非正規だ。
 
 そうなると、職業人として鍛えられる機会が少なくなる。伸び盛りの若いころ、その経験をしたかどうかは大きい。
 
 「とにかく正社員に」という焦りにつけいるブラック企業もある。「正社員」をエサに大量採用し、長時間のハードな労働をさせ、「使えない」と見切ればパワハラで離職に追い込んでいく。
 
 「若い頃はヘトヘトになるまで働かされるもんだ。辛抱が足りない」なんて言う大人もいるけど、まったく的外れ。
 
 非正規もブラックも、若者を単なるコストとして扱う。会社の目先の利益のために。人を長期的に育てていこうという意識はない。
 
 おかしいよね、こんな人材の使いつぶしが横行する社会は。
 
 しかも団塊世代と違って君たちの世代は数が少ない。一人ひとりが目いっぱい能力を磨いて働き、望めば家庭をもち子どもを育てられる。そうしないと、日本の将来は危ういに決まってる。声をあげなきゃ。
 
 こんな試算がある。
 
 20~49歳の投票率が1%下がると、若い世代へのツケ回しである国の借金は1人あたり年約7万5千円増える。社会保障では、年金など高齢者向けと、子育て支援など現役世代向けとの給付の差が約6万円開く。東北大の吉田浩教授と学生が、45年にわたるデータを分析した。
 
 もちろん因果関係を証明するのは難しい。でも、熱心に投票する高齢者に政治家が目を向けがちなのは間違いない。
 
 どの党や候補がいいか分からないし、たった一票投じたって意味ないって?
 
 こう考えたらどうだろう。政治家は、有権者の「変化」に敏感だ。票が増えれば、そこを獲得しようと動くはず。
 
 前回の参院選の投票率は、60~70歳代が7割以上、20歳代は4割以下だった。でも低いからこそ上げやすい。上がれば政治家はプレッシャーを感じる。
 
 さて、投票に行ってみようって気になったかな。
 
この文章が気持ち悪いのは、若者を完全に見下しているからでしょうが、それにしてもここまで気持ち悪い文章はなかなか書けるものではありません。
 
おとなたちがこのように若者に投票を呼びかけるのは、「呼びかけてもどうせ投票しないだろう」と思っているのに加えて、「かりに若者が投票したところで自分たちが困ることはない」という思いがあるからでしょう。
 
昔は若者に投票を呼びかけるということは、20歳になった若者に投票権があることを啓蒙すること以外には、ほとんどありませんでした。
むしろ逆に、若者が投票することは多くのおとなにとって不都合なことでした。
 
五十五年体制の初期のころは、社会党など革新政党は若者の党でした。
60年安保の当時、私は小学校5年生でしたが、担任の先生がクラスのみんなに支持政党について質問しました。すると、自民党支持で手を挙げたのは1人だけで、それ以外の全員が社会党支持でした。担任の先生はそれを見て、複雑な顔をしていました。おそらくこの子どもたちがおとなになったころは社会党政権ができるだろうと思ったのでしょう。
 
念のために昔の社会党が若者の党だったことについて根拠を示しておきます。
 
55年体制期の政治意識に関する一考察
一年齢階層と政党支持について一
 
 20歳から30歳代まで含めると,1965年には自民党支持者の44%が20
39歳の年齢層であったのに対して,社会党支持層については全体の3分の2
近い64%が2039歳の年齢層であった。この当時の社会党はまさに将来の
日本を担う“青年の政党”であった。それが1985年になると,自民党が37
%に対して社会党が43%と接近する。すなわち,社会党はこの20年間ですっ
かり“青年の政党”の特徴を失ったことがわかる。
 
社会党が若者に支持されていたときに、若者に向かって投票しようと呼びかけるのは、社会党に伸びてほしい人たち以外にいるはずありません。
 
今、若者に投票の呼びかけが行われているのは、保守・革新の区別がなくなって、若者が支持したくなる政党がなくなったからです。
いわばおとなの余裕の現れです。
 
かつては、「山が動いた」の土井たか子党首の率いる社会党が若者の支持を集め、郵政改革を訴える小泉純一郎党首の率いる自民党が若者の支持を集めたことがありましたが、いずれも一時的現象に終わりました。
 
ですから今、若者の投票率が上がるとすれば、「世代間格差解消」を重要政策に掲げる政党が出現したときでしょう。
 
しかし、なかなかそういう政党は出てきそうにありません。それは、若者世代の人口が少ないということもひとつの理由ですが、もうひとつ、選挙権に年齢制限があることも理由です。
 
たとえば、30歳をターゲットにした政策があるとします。その政策は30歳の支持を得るだけでなく、31歳や32歳、29歳や28歳の支持も得るでしょう。単純化して、30歳をターゲットにした政策は、40歳から20歳までの支持を得るとします。そうすると、20歳をターゲットにした政策は、30歳をターゲットにした政策の半分の支持者しか得られないことになります。これでは効率が悪いので、どの政党も20歳をターゲットにした政策は打ち出せないことになります。
 
選挙権の年齢制限をなくせば、政党は若者向けの政策をもっと打ち出すようになるでしょう。教育改革についても、ほんとうに子どものためになる政策が出てくるはずです。
 
選挙権の年齢制限を撤廃するとは、0歳から選挙権があるようにすることです。政治に関心を持つようになる年齢は人それぞれですから、選挙権は何歳からと決めるべきではありません。
昔は黒人や女性や税金を多く払わない人には選挙権がありませんでしたが、今ではそうした制限はなくなっています。唯一残っているのが年齢制限です。これが撤廃されるのは今や時間の問題です。
 
ヨーロッパでも若者の失業率が高いなど、若者が不当に迫害されています。こうした状況を改めるには、選挙権の年齢制限の撤廃が早道です。
 
もっとも、選挙権の年齢制限撤廃には反対する人も多いでしょう。そうすると、これが政治の大きな争点になります。
こういう争点なら、若者もおのずと政治に関心を持つようになるのではないでしょうか。