ローソンのアイスクリーム冷蔵ケースに男性が入って寝そべるという写真がフェイスブックに掲載され、炎上するという出来事がありました。その後、バーガーキングの店員がバンズの上に寝そべるとか、ほっともっとの店員が冷蔵庫の中に入るとか、丸源ラーメンの店員が冷凍食材を口にくわえるとか、類似のケースが次々に起きています。
 
まったく愚かなことです。
愚かなというのは、ネットで炎上させるほうです。「ウェブはバカと暇人のもの」という書名を地でいっています。
写真をアップするほうは、基本的には普通の若者です。名前をさらされて、職場で処分されたりして、気の毒なことです。
 
「そんな写真をアップしたら炎上するに決まってるだろう。バカじゃないか」という声があります。ツイッターのことを「バカ発見器」といったりもします。しかし、それをバカだと思うのは、ある程度ネットの経験があり、炎上のメカニズムがわかっている人です。ネットの初心者ならわからなくて当たり前です。経験者が寄ってたかって初心者をバカにするのは、ネットの世界だけの現象です。
 
むしろ私は、炎上する側の若者を積極的に評価してもいいぐらいに思っています。
 
そうしたところ、有名ブロガーのHayato Ikedaさんが炎上する側を擁護するような記事を書きました。しかし、Hayato Ikedaさんの言い分は、おバカな店員は安い給料なんだからしかたがない、という論理です。これは私の考えとは違います。
 
Hayato Ikedaさんの記事はこちらで読めます(ローソンの寝そべり写真なども見られます)
 
おバカな従業員は「安さ」の代償
 
私の論理は、おバカな店員は若いんだからしかたがない、というものです。
若者はバカなことをするのが自然な姿です。むしろバカなことをしない品行方正な若者はよくありません。
 
ちなみに炎上したケースは、実害がないものがほとんどです。
バーガーキングでバンズの上に寝そべったケースは、発注ミスのために大量に余ったバンズで、廃棄するものだったそうです。もしそれがほんとうなら、なんの問題もありません。
冷凍食材を口にするのは、衛生上の問題がないではありませんが(虫歯菌など)、ほとんどないといっていいでしょう。ただ、写真を見た人はそうとう不快になりますが、あくまで気分の問題です。
冷蔵庫に入るのも、衛生上の問題があるとはいいますが、ほとんどありません。普段腕や頭を突っ込んだりしているのですから、それと大して変わらないはずです。
 
アイスクリームの冷蔵ケースに寝そべるのは問題がちょっと複雑です。
衛生上の問題は、アイスクリームは容器に入っていますから、ほとんどないはずです。ただ、容器が変形したり、ガリガリ君が割れたりすることがあるでしょうが、それは客に売らないようにすればいいわけです。
そうすると店に損害を与えることになりますが、これをやったのは店のオーナーの息子だという話があります。そうだとすれば、これも問題ないことになります。
 
要するに実害はほとんどないので、やっているほうも罪の意識がなく、ただおもしろがってやっているはずです。
 
そう、「おもしろがる」というのがこの種の出来事のキーワードだと思います。
おもしろがるからフェイスブックやツイッターに写真をアップして、炎上してしまうわけです。
 
「おもしろがる能力」というのは、若さの属性です。年を取ると、「おもしろがる能力」がどんどんなくなっていきます。
 
おそらく「おもしろがる能力」がいちばん盛んなのは幼稚園とか小学校の年齢でしょう。これは「好奇心」と並んで、人を発達させる原動力です。
子どもが積み木を積んだり、落書きしたり、鬼ごっこしたりするのは、「おもしろがる能力」があるからです。
 
20代の若者にも「おもしろがる能力」は十分にあって、彼らはいろんなことをやって、笑ったり盛り上がったりするわけで、そうして経験を積んでいきます。
 
おもしろがる能力の少なくなったおとなは、なんであんなバカなことをするのだといって若者を批判します。
あと、若者でもおもしろがることを禁じられて育ってきた者も彼らを批判します。
 
「バカをする」というのはある意味、常識の枠を壊す創造的な行為です。ここから新しいものが生み出されるのです。
 
私は京都の出身ですが、京都には大学が多く、学生もたくさんいます。そして、京都の人は昔から、学生がバカをやったりハメを外したりすることに寛容です(最近は変わってきているかもしれませんが)
これは大学が京都にとってはたいせつな“産業”であるということもあるかと思いますが、こうした風土と、京大が多くのノーベル賞受賞者を出したこととは無関係でないはずです。
 
私は、ローソンのアイスクリーム冷蔵ケースに男性が寝そべっている写真を見たとき、ひじょうに驚きました。自分にはとても思いつかないことだったからです。
おそらく多くの人にとってもインパクトがあったのでしょう。だから、類似のケースが連続して騒がれることになったのだと思います。
 
人が思いつかないことを思いつくというのは、それだけですばらしいことです。こうしたことには素直な賛辞を贈るべきです。
 
ところが、ほとんどの人が彼ら若者にきびしい意見をいっています。
最近の日本の企業がイノベーションや魅力的な新製品を生み出せなくなったのは、こうした若者のバカを許せない人たちのせいだと思います。