小学校の社会科の教科書で、2013年度の検定に合格した5社すべてが尖閣諸島と竹島についての記述を入れました。中学校と高校の教科書については、文科省は今年1月、学習指導要領の解説書を改定し、竹島と尖閣諸島が「我が国固有の領土」であるとする指導方針を決めているので、教科書会社はその方針を先取りしたものと思われます。
これを「領土教育」というのだそうです。
 
バカが教育をするとバカの拡大再生産をしてしまいます。「領土教育」も例外ではありません。
 
安倍首相は国会でこのように答弁しています。
 
安倍首相、領土明記「極めて重要」=普天間移設、危険防止期す-参院予算委
安倍晋三首相は5日の参院予算委員会で、中学校と高校の学習指導要領解説書に沖縄県・尖閣諸島と島根県・竹島を「わが国固有の領土」と明記したことについて、「極めて重要だ。子どもたちが論争したときに、しっかり日本の考え方を述べることができることが重要だ」と意義を強調した。自民党の佐藤正久氏への答弁。
 佐藤氏は、中韓両国が首相の歴史認識などをめぐり各国で反日の主張を強めていることへの対応をただした。首相は「物静かに礼儀正しくという考え方で対応してきたが、実態がこうなってきている以上、私たちの主張が正しいとそれぞれの国に伝えなければいけない」と述べ、事実と異なる主張には毅然(きぜん)と反論する考えを示した。
(後略)
 
安倍首相は「子どもたちが論争したときに、しっかり日本の考え方を述べることができることが重要だ」と述べましたが、自分だって日本の考え方をしっかり述べてきたはずです。その結果、中国や韓国が日本の言い分を認めたかというと、ぜんぜんそんなことにはなっていません。
 
現在、竹島は韓国に不当占拠され、韓国はますます「独島は韓国領」との主張を強めていますし、尖閣諸島は日本が実効支配しているとはいえ、中国は「魚釣島問題は中国の核心的利益に属する」と表明し、中国公船の公海への侵入が頻発しています。つまり日本政府の領土問題のへの対応は、どう考えても失敗です。
 
安倍首相は自分がやって失敗しているのに、同じことを子どもにもやらせるわけです。
 
子どもにとっても、まったく役に立たない知識を学ばされることになります。
中国や韓国との議論に勝とうと思えば、相手の主張の間違いを論証しなければなりませんが、教科書にはそこまで書いてありません。
しかも子どもは、日本の主張は「教科書に書いてあったから正しい」と思いがちです。これではますます議論に勝てなくなります。
 
そもそも小学生に「領土教育」をするということは、今の小学生がおとなになったときにも領土問題は解決されていないだろうと考えているわけです(硫黄島や父島は解決済みなので「領土教育」はありません)
安倍首相は自分の無能を認めているのでしょうか。
 
領土問題を解決しようとするなら、日本の教科書に書いてもなんの意味もなく、中国や韓国の教科書に書かなければなりません。
そのためには、中国や韓国とちゃんと交渉することです。
 
 
しかし、安倍式「領土教育」に賛成する人もたくさんいます。ネット右翼ばかりではなく、読売新聞や産経新聞も賛成の態度です。
こういう人たちは領土問題に対する考え方が私とは正反対のようです。
 
私は領土問題で中国や韓国といがみ合っている状況をよくないことと思っています。しかし、この状況をいいことだと思っている人もいるのです。
 
そういう人は、日本が中国や韓国に毅然と主張することができているということに喜びを感じています。
肩で風を切って国際社会を歩いている気分なのでしょう。
 
こういう人は当然、領土問題を解決しようという気はありません。むしろ対立が激化するほうがうれしいわけです。
 
「領土教育」をするのも、対立を激化させることが目的だとすると納得がいきます。
 
やはりバカが教育をするとバカの拡大再生産をしてしまいます。