トヨタ自動車がAKB48とタッグを組んで販売キャンペーンを始めるということです。
トヨタ自動車といえば日本を代表する企業で、しかもお堅いイメージがあります。日本におけるアイドルの地位がそこまで高まったのかと思いました。
 
トヨタがAKB「チーム8」とタッグ ご当地メンバーとキャンペーン
 
最近のアイドルブームはすごいものがあります。AKB48はミリオンセラーの連発で、CDの売上でも圧倒的ですが、姉妹グループがいっぱいありますし、モー娘。、ももクロ、フェアリーズ、さらにはご当地アイドルもいたるところにいるようで、裾野がどんどん広がっています。
 
クラレが毎年、小学校1年生を対象に「将来就きたい職業」というアンケートをしているのですが、今年4月発表の女子を対象にした調査では、「芸能人・タレント・歌手」が2位でした(1位は「パン・ケーキ屋・お菓子屋)
1999年の調査では6位、2004年は5位、2009年は3位ですから、「芸能人・タレント・歌手」の人気はどんどん上がってきています。
 
女の子「将来就きたい職業」ベスト20
 
一方、ゆるキャラの人気もたいへんなものです。
ゆるキャラグランプリが初めて行われた2010年は、エントリーしたゆるキャラは169体でしたが、2011年は349体、2012年は865体、2013年は1580体と急速に増えています。
 
ゆるキャラグランプリとは?
 
今、日本でいちばん活気があるものといえば、アイドルとゆるキャラです(あとはB級グルメとラーメンぐらいでしょうか)
 
こういうのは個人的な感覚だといわれればそれまでですが、沈滞した日本の中でほかに目立つものはほとんどないのではないでしょうか。
とりわけ下から盛り上がっているということで、国民意識の表れと見なすことができるのではないかと思います。
 
要するに多くの日本人は“カワイイ”ものを愛でることに喜びを感じているのです。
オタクはもちろん草食系男子もここでは元気になります。
 
そうすると、安倍政権の進める改憲、集団的自衛権行使容認、防衛費増大という路線とどうつながっているのかという疑問が生じます。「戦争のできる国」と「アイドルとゆるキャラの国」は水と油です。
 
もちろんこれは、「アイドルとゆるキャラの国」が土台にあって、「戦争のできる国」はその上にあることになります。
 
では、「戦争のできる国」に土台がないのかというと、そんなことはなくて、ヘイトスピーチや反韓反中の排外主義が土台になっているわけです。
こちらもそれなりに活気があります。
 
ヘイトスピーチや排外主義は怒り、憎しみ、嫌悪という感情であって、アイドルとゆるキャラを愛する感情とは正反対です。
つまり土台の部分は二種類あるのですが、上部構造が一種類しかないというふうに考えるとわかりやすいと思います。
図に示すとこういうことになります。
 
 
戦争のできる国      (空白)
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ヘイトスピーチ    アイドル
排外主義       ゆるキャラ
 
 
 
この空白のところには、本来は平和主義が入るのですが、具体的なイメージや政策がありません。鳩山首相の「友愛」は具体的でしたが、なくなってしまいました。
 
そのため、改憲反対や解釈改憲反対や特定秘密保護法反対というように、アンチの形でしか主張することができません。
ですから、平和思想の構築が急務ということになります。
 
しかし、思想はなくても、ヘイトスピーチをする人たちが好きか、アイドルやゆるキャラが好きかと考えてみれば、問題がすっきりと把握できるのではないでしょうか。