憲法記念日に合わせて「BLOGOS」に長谷川三千子氏の会見が掲載されました。この会見は4月15日に日本外国特派員協会で行われたもので、その中から「積極的平和主義」に関する部分を抜き出したものです。
 
長谷川三千子氏といえば安倍首相のお友だちで、NHK経営委員で、いくつかの問題発言が騒がれた人物です。
そして、私が気になるのは、この人が哲学者という肩書きを使っていることです。哲学者を自称するということは、それなりのことがあるでしょうか。
もっとも、長谷川氏の著作を読もうという気にはならないので、代わりに「BLOGOS」に載った会見を読んでみました。
 
「積極的平和主義にも精神的平和主義にも問題点がある。2つのベスト・ミックスがいい」―長谷川三千子氏が会見
 
会見の冒頭で長谷川氏は会場のみんなに「私は世界平和を重要なものと信じているのですが…どなたかそうではないと思う方、手を挙げていただけますか?」と呼びかけます。そうすると誰も手を挙げません。
次に長谷川氏は、「世界平和を達成するのはとてもとても難しいものです。…この点に関してはいかがでしょうか、賛成か反対か」と呼びかけ、そうすると満場一致の賛成となります。
つまり、「誰もが平和は重要だと思っているが、同時に平和の達成は困難だと思っている」という事実が明らかになります。
 
私はここまで読んだとき、このあとの展開に期待しました。しかし、読んでみればわかりますが(読むまでもないですが)、このあとはまったくくだらない内容です。
 
長谷川氏は平和主義を「消極的平和主義(精神的平和主義)」と「積極的平和主義」に分け、「消極的平和主義」だけではだめで、「積極的平和主義」が必要だと説きます。しかし、「積極的平和主義」は「戦争そのものと非常に近くなる」ので、危険が伴います。では、どうすればいいか。「積極的平和主義」と「精神的平和主義」の「ベストミックス」がいい、と長谷川氏は主張します。
 
「ベストミックス」とはなんでしょうか。
「ベスト」がいいのはわかりきっています。あらゆることは「ベスト」がいいのです。「ベスト」の内容を言わねばなりません。
 
長谷川氏はそれらしいことを言います。
孟子の思想から「王道」と「覇道」という考え方を紹介し、「王道の考えに、二種類の平和主義のベスト・ミックスをみることができます」と言い、これが結論となります。
 
「王道は覇道にまさる」というのは国語辞典の説明と同じです。これは思想ではありませんし、ましてや哲学でもありません。
「ベスト」がいいというのも、まさに国語辞典レベルのことです。
 
自称哲学者とはどういうものかよくわかりました。
 
 
長谷川氏は「精神的平和主義」の説明をするときに、「フラワーチルドレンと呼ばれた人たちがいて、彼らは歌を歌い、髪に花を挿して、そうしたことが世界平和に寄与していると信じていたのです。今の若者たちは笑うかもしれないけれど」というふうに語ります。
こうした表現に長谷川氏の本領があるのでしょう。そして、こうしたことが右翼論壇や安倍首相に評価されてきたのでしょう。
 
しかし、これは日本外国特派員協会での会見だったため、あまり好戦的と取られないようにバランスに配慮し、そのためまったく無内容な会見になったものと思われます。
 
外国特派員の方にとっても、この会見はまったく時間のむだだったでしょう。
いや、安倍首相のお友だちのレベルがわかったことに意味があったのかもしれません。