慰安婦誤報問題について朝日新聞がいまだに攻撃を受けています。もともと間違いを認めるのが遅かった上に、謝罪がなかったこと、それに池上彰氏の原稿掲載について迷走したことなどが原因でしょう。読売新聞などはライバルを攻撃することによる経済的利益も考えてやっているかもしれません。
バイト店員炎上事件みたいに、問題行動をして動かぬ証拠を残した人間はとことんバッシングされるのが最近のネット事情です。朝日新聞も自分で誤りを認めたので、まさに動かぬ証拠を提供したわけです。
 
しかし、それだけでは今の騒ぎは説明できないような気がします。
これはやはり“朝日新聞的なもの”がよほど嫌われているのだというべきでしょう。
 
では、“朝日新聞的なもの”とはなにかというと、“知的エリートくささ”みたいなものです。
朝日新聞記者はみな高学歴で、知性も教養もあります(おまけに高収入です)。こういうのは大衆から嫌われる要素です。
 
もっとも、昔は「知的エリートは嫌いだ」というような声が表面化することはまずありませんでした。というのは、世論をリードしていたのはもっぱら知識人や新聞の論説委員だったからです。
しかし、今はネットの普及で世論の形成主体が大衆に移りつつあります。そうすると、世論そのものが反知性主義的な傾向を帯びることになり、朝日新聞のようなものは批判されやすくなります。
 
ですから、今の朝日新聞批判は、左翼対右翼というよりも、知性主義対反知性主義からきていると見るべきでしょう。
ちなみに慰安婦問題で朝日新聞追及の急先鋒に立った産経新聞は、五大新聞の中でもっとも知的レベルの低い新聞です(こういっても誰からも文句は出ないはずです)
 
もっとも、「朝日新聞は知的だからけしからん」という人はいません。批判するにはやはり大義名分が必要です。
そうしたところに生じた慰安婦誤報問題は、「朝日新聞は日本人をおとしめた」とか「朝日新聞は日本の誇りを傷つけた」という愛国的主張ができるので、格好の材料だったというわけです。
ですから、表面的には「知性と教養を誇る人」対「日本を誇る人」の対立ということになっていますが、内実は知性主義対反知性主義の対立と見るべきです。
 
とはいえ、反知性主義の台頭を許してしまうのは、知性主義の側にも問題があるからです。真に知性と教養のある人は大衆からも尊敬されるはずです。
慰安婦誤報問題での対応のまずさには権威主義や傲慢さがうかがわれます。朝日新聞はこれを機会に反省し、生まれ変わってもらいたいものです(独裁者の支配する読売新聞が朝日新聞よりましとはとうてい思えないので)