ブログを書いていると、おかげでだんだん考え方が進歩してきます。
朝日新聞の慰安婦誤報問題に関して「日本人をおとしめた」「日本の誇りを傷つけた」という大合唱を聞いて、関西弁でいうと、「日本人の誇り? それ、なんぼするの?」と思っていましたが、だんだんと論理的に説明できるようになってきました。
 
「日本人の誇り」というのは曖昧な概念で、人によって考えが違います。「強制連行はなかった」と言って軍国日本を正当化しようとすることが、日本の評価を落とし、「日本人の誇り」を傷つけることだと思う人もいます。
 
また、「日本人の誇り」は「韓国人の誇り」とバッティングします。「日本人の誇り」を言う人は必ず「韓国人元慰安婦は嘘つきだ」と言うので、「韓国人の誇り」を傷つけます。
 
ですから、「日本人の誇り」を言う人は国際社会ではなにも発言できません。
「日本人の誇り」を言う人の声は、国内にこもるばっかりなので、よりうるさくなるのでしょう。
 
国際社会に発信でき、かつ韓国人も納得させるような論理は、「日本人の誇り」ではなく普遍性を持ったものでなければなりません。
それはなにかというと、「人権」しかありません。
 
それによって人の命が失われたり傷ついたりしたか、あるいは逆に救われたか、どれだけの人が幸福になったか、不幸になったかということを踏まえて発言すればいいわけです。
 
そう考えてみると、朝日新聞の誤報によって傷ついた人が果たしていたのかということになります。
吉田清治は労務報国会下関支部動員部長という肩書きで強制連行を行い、兵士の応援も得たという証言(偽証)をしましたが、その中で誰かを名指しして名誉を毀損したという話はありません。そうすると、朝日新聞の誤報で傷ついた人はいないということになります。
「国家の名誉」は毀損したかもしれませんが、それがどれくらい重要な問題なのかは個人の価値観によります。それよりは慰安婦の人権が侵害されたという問題のほうが重いのは明らかです。
 
「日本人の名誉」というのは右翼的な価値観でしょう。マスコミまでがそうした価値観の報道をしているのは問題です。
 
池上彰氏は、連載コラムが一時は朝日新聞に掲載拒否されるという目にあいましたが、今度は週刊文春のコラムで、朝日新聞を批判する側のメディアを批判し、その中で、メディアが「売国」という言葉を使うことについても言及しています。
 
「一連の批判記事の中には本誌を筆頭に『売国』という文字まで登場しました。これには驚きました。『売国』とは日中戦争から太平洋戦争にかけて、政府の方針に批判的な人物に対して使われた言葉。問答無用の言論封殺の一環です。少なくとも言論報道機関の一員として、こんな用語を使わないようにするのが、せめてもの矜持ではないでしょうか」
 
「売国」と「愛国」にレッテル貼りをするというのは、右翼の手口です。ジャーナリズのすることではありません。わが国の新聞雑誌はジャーナリズムではなく右翼団体の機関紙みたいなものに成り下がっているということです。
 
 
ところで、池上彰氏の記事を引用したのは、今年7月にオープンした「本と雑誌のニュースサイト/リテラ」というサイトからです。
これを読むと、今、朝日新聞を批判する側を批判するメディアはまったくといっていいほどないそうです。
なかなかおもしろい記事が載っているので、リンクを張っておきます。
 
本と雑誌のニュースサイト/リテラ