解散の理由を、安倍首相が合理的な判断のできる人間だという前提で考えていては、いつまでたってもわかりません。安倍首相の普通でない心理を理解する必要があります。
 
NPO法人代表理事が小学校4年生になりすましてウェブサイトを開設するという出来事があり、安倍首相のフェイスブックがこれについてコメントしました。
 
小4なりすまし「最も卑劣な行為」 首相がFBで批判
 安倍晋三首相は25日未明、小学4年生になりすましたNPO法人代表理事(すでに辞任)の大学生が今回の衆院解散を疑問視するウェブサイトを開設した問題について「批判されにくい子供になりすます最も卑劣な行為だと思います」とのコメントを、自身の交流サイト「フェイスブック」に書き込んだ。
 
 首相は問題のウェブサイトの画像も紹介しながら、「選挙目当ての組織的な印象操作ではないでしょうが、選挙は政策を競い合いたいと思います」と訴えた。
 
首相がいちいちこんなことにコメントしていていいのかと思われるでしょうが、これこそが安倍首相らしいところです。
 
「BLOGOS」というサイトに「首相が解散決めたきっかけは枝野氏との論争」というキャッチコピーの記事がありました。
 
安倍首相、解散決断で「民主党をぶっ潰す」
 
その中にこんな記述があります。
 
首相が解散を決意したのは1030日の衆院予算委員会での民主党、枝野幸男幹事長との“バトル”がきっかけとされる。
 
政治資金をめぐる閣僚の不祥事が相次ぎ、首相のイライラは爆発寸前に高まっていた。そこに枝野氏が朝日新聞掲載の首相発言を元に首相を追及したところ、首相は「朝日の報道は捏造」と逆襲。さらに枝野氏の政治資金の記載漏れや「革マル派」が浸透している団体から献金を受けていることを引き合いに出して枝野氏を逆に追及した。
 
「枝野氏とのバトルを境に、首相は戦闘モードに切り替わった。閣僚の不祥事を追及され続け、積もりに積もった鬱憤が爆発。そんなに言うなら解散して民主党を壊滅に追い込んでやると腹を括ったのです」(鈴木氏)
 
これを読んだときは、そんなことで解散を決意するだろうかと思いました。与党は絶対多数なので民主党をつぶす必要はないですし、それに選挙をすれば民主党は議席をふやすはずです。
しかし、よくよく考えると、これこそが真実だと思えてきました。
 
ちなみに安倍首相と枝野幹事長のやりとりはこちらです。
 
 
 
枝野幹事長はちゃんと反論していますが、これは「枝野へブーメラン」ということで、ネットの中ではけっこう受けました。安倍首相も自身のフェイスブックで2度にわたって枝野幹事長と革マル派の関係について書いているので、よほど得意だったのでしょう。
 
安倍首相は打たれ弱い性格です。
一方、攻撃的な性格でもあります。
このふたつは無関係ではありません。
自分が打たれたとき、攻撃することで精神のバランスを保っているのです。
 
安倍首相が枝野幹事長とやりあった当時、安倍首相は閣僚スキャンダルをきびしく追及されていました。
一方、なにかを攻撃しようとしても、攻撃する対象がありませんでした。
 
靖国参拝は封じられていましたし、慰安婦問題でも河野談話の継承を言明していました。中国とも、習近平主席と会談する手はずになっていました。
昨年の春、閣僚が靖国神社の春季例大祭に参拝して中国、韓国から批判されたとき、安倍首相は「わが閣僚はどんな脅しにも屈しない」と大見得を切りましたが、今は中国、韓国を刺激するようなことはなにも言えません。
朝日新聞が慰安婦問題で誤報を認めたとき、ようやく安倍首相は朝日新聞という批判の対象を見つけましたが、それぐらいでした。
 
そうした状況で、安倍首相は枝野幹事長に反撃したとき、まさに「これぞ自分の生きる道」と思ったのです。
 
安倍首相は精神的に窮地に陥ると、身体症状が出てきます。閣僚スキャンダルで追い詰められて、身体症状はかなり悪化していました。そうしたとき、枝野幹事長を攻撃して身体症状が改善するという体験をしたのでしょう。
人間は自分の心がなかなかわからないものですが、安倍首相の場合は体を通じてわかるわけです。
 
自分が健康を取り戻すには、誰かを攻撃するしかない。攻撃する対象は野党しかない。首相の立場では野党攻撃ばかりしていられないが、選挙になれば思う存分、野党攻撃ができる――というわけで、安倍首相は解散することにしたのです。
 
これはもちろん私の推測ですが、いちばんありそうなことに思えます。
 
ほかに納得のいく解散理由はありません。たとえば、財務省の力をそぐための解散だという説がありますが、解散しても財務省の力をそぐことにはなりません。財務省の息がかかった議員に対して、公認しないとか、刺客を送るとかするならわかりますが。
 
ですから、安倍首相の体と心を理解しないと、小学4年生でも解散に疑問を持ってしまうわけです。
いや、小学校4年生はなりすましですが、そんななりすましまで攻撃する安倍首相を見ると、私の説がいよいよ正しいと思えてきます。