イスラム国の人質になっていた2人のうち、湯川遥菜さんが殺害されたもようです。
こうしたショッキングなことが起こると、人間はますます近視眼的になりますから、こうしたときこそ事態を広い視野で、かつ客観的に見ることが必要になります。
 
安倍首相は湯川さんの殺害について、「言語道断で許しがたい暴挙だ」と言っていますが、客観的に見ると、ここで失われたのはひとつの命です。
湯川さんの命にくっついているさまざまな情報や価値観をふるい落とすことで現実が見えてきます。
 
現在、イスラム国については、湯川さんの命と同じ命が刻々と失われています。
 
 
ISIS戦闘員の6千人殺害、半数は指揮官 駐イラク米大使
ワシントン(CNN) 米国主導の有志連合がイラクやシリアで続けるイスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の掃討作戦で、駐イラク米国大使は24日までに、これまでの軍事行動でISIS戦闘員の推定6000人以上を殺害し、うち半数は指揮官となっていることを明らかにした。
 
 掃討作戦を統括している米中央軍も言及を避けてきたこの種の数字が公表されたのは初めて。スチュアート・ジョーンズ大使は中東のテレビ局アルアラビーヤに対し、ISISは壊滅的な被害を受けていると作戦の成果を強調した。
 
ヘーゲル米国防長官は同大使が触れた数字は確認せず、殺害されたISIS戦闘員は数千人規模と述べるにとどまった。
 
 米国防総省当局者によると、6000人以上との数字は米中央軍がまとめた。イラクやシリアで有志連合が実行するISIS拠点などへの空爆で殺害した戦闘員の数としている。
 
ただ、正確な数字の把握は出来ないと説明。空爆機の操縦士の戦果報告や、標的となった現場に関する空爆実施の前後の諜報(ちょうほう)などを参考材料にしたという。
 
 米情報機関によると、ISISの兵力は推定で9000人から1万8000人の間。ただ、他の武装勢力から数千人規模の戦闘員を集める能力があるとされ、その場合の兵力は3万1000人にも達する可能性がある。
 
 一方、ケリー米国務長官は滞在先の英ロンドンで記者団に、ジョーンズ大使の発言に同調し、イラクでISISの支配下にあった広さ700平方キロ以上の地域を奪還したとも主張した。有志連合の作戦はISISの勢いを止めたとの認識も示した。
 
イラクでは現在、ISISが陥落させた北部のモスル市の奪還が軍事作戦の焦点となっている。イラク軍による進攻作戦の実行も予定され、米軍などの空爆も最近拡大している。
 
 
戦闘員6000人以上を殺害したということですが、戦闘員以外はまったく殺さなかったということはないでしょう。それに、戦闘員なら殺していいというものでもありません。
 
アメリカは敵の血だけ流して、自分たちの血は流さないという作戦で、今のところそのように展開していますが、その代わり、アメリカ人ジャーナリストが殺害されたり、フランスの新聞社で12人が殺害されたりして、今回日本人も殺害されたというわけです。
 
殺された命の数はきわめてアンバランスです(ほかにイスラム国軍とイラク軍やシリア軍との戦闘による死者もありますが、これはそれほど差はないと思われます)
 
2014年にイスラエル軍によるガザ侵攻がありました。きっかけはイスラエル人の少年3人が行方不明になり、のちに死体で発見されたことですが、イスラエル軍の侵攻によってパレスチナ側の死者は2000人余りで、内7割は民間人、イスラエル側の死者は73人で、内民間人は7人でした[ウィキペディアの「ガザ侵攻(2014)」より]
 
アメリカ軍とイスラエル軍はきわめて強力なので、死者数が極端にアンバランスになっています。
 
命の価値についてはさまざまな考え方があります。たとえば、肉親の命は特別なものですし、国民国家においては自国民の命と他国民の命に差があります。子孫を残すという生物学的な本能からは、男の命より女子どもの命の価値が高くなります。人種、宗教によって差別する考え方もありますし、日本においては「自己責任」という考え方もあります。
 
とはいえ、アメリカ軍は無人機や精密誘導弾などハイテク兵器で一方的な殺害をしており、これ自体がモラルハザードです。
つまり喧嘩は許されてもイジメは許されないというのが一般的なモラルだからです。
 
アメリカとしては、銃を持たない先住民を殺戮した歴史の繰り返しなのでしょうが、この一方的な殺戮を問題にしない国際社会もどうかしています。
 
そして、アメリカに肩入れした安倍首相もどうかしています。
 
ほとんどの人はテロリストを批判しますが、テロの原因を放置してテロリストだけ批判するのは間違っています。
とりあえず命の数を数えるという基本から出発するべきです。