イスラム国に拘束されている後藤健二氏について、どうやら交渉が停滞しているようです(この文章をアップした直後に後藤さん殺害の情報がありました。残念です)。
 
交渉の一方で、アメリカと有志連合によるイスラム国への空爆は続行されています。
ということは、イスラム国の交渉担当者が空爆で死んでしまったという可能性もあるわけです。
いや、後藤さんが死んでしまった可能性もありますし、今後死ぬ可能性もあります。
この際、日本はアメリカに対して空爆の中止を要請するべきではないでしょうか。アメリカが要請に応えなくても、日本がその姿勢を見せるだけで後藤さんの身の安全に資するはずですし、日本が平和国家であることもアピールできます。
もっとも、安倍首相にも外務省にもそういう発想のあるわけがありませんが
 
 
ところで、イスラム国とはなんでしょうか。これについては1月27日の報道ステーションが特集をやっていました。その内容を一口で言うと、イスラム国はちゃんとした行政組織を持っていて、民衆の支持も得ていて、だからこそ急速に勢力を拡大したのだ、というものです。
 
こうしたことは書籍ではとっくに紹介されていました。

 
イスラム国の正体 (朝日新書)  国枝昌樹 ()
内容紹介
 
世界を騒がす「イスラム国」を元シリア大使が解説!
 
イラク・シリア国境を横断する広大な砂漠地域に「イスラム国」という「国家」がその存在を一方的に宣言したのは、2014629日のことでした。
 現在、イスラム国は世界で最も残虐な行為を重ねるイスラム過激派といわれ、首切り動画や奴隷市場など、盛んにその非人道的行為が報道されています。特に人質となった欧米人の首切り動画や奴隷市は、世界中にショックを与えました。
 一躍、世界の脅威となったイスラム国ですが、これまでの過激派、テロ組織と大きく異なるのは、次の3点です。
1.「国」を名乗り、領土を主張し、行政を敷いていること
2.インターネット上で効果的にメッセージを発信していること
3.欧米人を含む外国人の参加が多いこと
 
本書では、謎に包まれているイスラム国について、散在するさまざまな情報から、その実態を解き明かしていきたいと思います。
 
 
 
イスラム国テロリストが国家をつくる時 単行本  ロレッタ ナポリオーニ ()
内容紹介
 
中東の国境線をひきなおす。
 
アルカイダの失敗は、アメリカというあまりに遠い敵と
第二戦線を開いたことにあった。
バグダッド大学で神学の学位をとった一人の男、バグダディは
 そう考えた。
 英米、ロシア、サウジ、イラン、複雑な代理戦争をくりひろげる
 シリアという崩壊国家に目をつけた、そのテロリストは
国家をつくること目指した。
 領土をとり、石油を確保し、経済的に自立
 電力をひき、食料配給所を儲け、予防接種まで行なう。
その最終目標は、失われたイスラム国家の建設だと言う。
 
 対テロファイナンス専門のエコノミストが放つ
 まったく新しい角度からの「イスラム国」。
 
 池上彰が渾身の解説。
 
はじめに中東の地図を塗り替える
 
欧米の多くの専門家は「イスラム国」をタリバンと同じ時代錯誤の組織だと考えている。しかし、それは違う。彼らは、グローバル化し多極化した世界を熟知し、大国の限界を驚くべきほど明確に理解している

  
ですから、報道ステーションの特集を見たときは、テレビもようやくまともにイスラム国のことを報道するようになったなと思いました。
 
ところが、この特集に対して「こんな放送はイスラム国のプロパガンダだ」といった批判が多数あったそうです。そのためか、28日の報道ステーションはかなりトーンダウンしていました。
 
また、31日のTBSの「ニュースキャスター」を見ると、イスラム国は残虐な刑罰を行い、人々を恐怖支配しているという報道に終始していました。
 
しかし、サウジアラビアやイランなど厳格なイスラム国では残虐な刑罰はよく行われていることですし、そもそもイスラム国を評価するなら、シリアのアサド政権やイラクのマリキ政権と比べてどうかということを見なければなりませんが、そういう視点がまったくありません。
 
残虐な刑罰ということに注目して報道すれば、日本も「絞首刑という残虐な刑を次々と執行する野蛮な国」ということになってしまいます(ヨーロッパではそういう報道がされていそうです)
 
考えてみれば、イスラム国は欧米に対するテロはしたことがないはずです。
 
アルカイダは9.11テロをしたので明らかにテロ組織です。タリバンは、9.11テロを首謀したビン・ラディンをかくまったということで、アメリカによってテロ組織に認定されました。
しかし、アメリカは昨年6月、アメリカ兵1人とタリバン幹部5人の捕虜交換を行いました。
一方、アメリカは日本などに対してテロリストと取引するべきではないと主張しています。
ホワイトハウスのシュルツ副報道官は記者にその矛盾をつかれ、「タリバンはテロ組織ではないのか」と質問されたとき、「タリバンは反政府武装グループだ」と述べました。
 
アメリカのテロ組織認定はこの程度のものです。
 
今、イスラム国はテロ組織と認定されていますが、その根拠はありませんし、今後その認定が変わる可能性もあります。
 
日本のマスコミもイスラム国はテロ組織かということを疑うべきですし、「イスラム国=悪玉」という紋切り型の報道はやめるべきです。