「報道ステーション」で古賀茂明コメンテーターが“官邸の圧力”を告発した件ですが、“古舘キャスターと古賀コメンテーターがバトルをした”みたいなとらえ方が多いようです。また、テレビにおけるコメンテーターの役割についても議論が起きています。
 
しかし、こうした議論は安倍政権の思うツボです。
残念ながらこんなことも起きています。
 
テレ朝、番組内で謝罪…NHK会長めぐる発言「適切でなかった」
 テレビ朝日は1日、報道情報番組「ワイド!スクランブル」の番組内で、3月17日の放送でコメンテーターが不適切な発言をしたとして謝罪した。
 
 報道フロアからのニュースを伝えた後、橋本大二郎キャスター(68)とともにMCを務める同局の大下容子アナウンサー(44)が「この番組で3月17日に報道内容についてお詫びがあります」と切り出し、「この日の放送ではNHKの籾井勝人会長が私用のゴルフに用いたハイヤー代をNHKが立て替えていた問題についてお伝えしました。その中で今回の問題を犯罪や業務上横領などとする発言がありました。こうした表現をしたことは適切ではありませんでした。番組として関係者並びに視聴者の皆様にお詫び申し上げます」と謝罪した。
 
  17日の番組では、教育評論家の水谷修さんが「業務上横領じゃないか」「すぐに自首してほしいくらい」などと発言した。
 
  テレビ朝日広報部は「事前に水谷さんから相談があったが、スタッフが適切な注意喚起をすることができなかった」としている。
 
コメンテーターの発言についてテレビ局が謝罪したことは、これまであったでしょうか。
コメンテーターというのは、それなりの見識を持った人物をテレビ局が選んで、あとはコメンテーターの責任で発言するものだと思っていました。
コメンテーターの発言でテレビ局が謝罪するなら、コメンテーター自身は謝罪しなくていいのかということにもなります。
また、テレビ局はコメンテーターの発言をすべて管理しなければならず、そうすると自由闊達な議論は失われてしまいます。
 
要は「報道の自由」に関することですから、肝心なのは官邸がテレビ局に圧力をかけたか否かということです。
そういう方向に議論が行かないのは、菅義偉官房長官の特異なキャラクターがあるからではないかと思っています。
 
菅官房長官は最近の政治家には珍しい経歴です。秋田県の高校を卒業後、集団就職で上京し、段ボール工場で働きながら法政大学の夜間部を卒業、議員秘書を経て政治家になりました。まさに叩き上げです。
 
性格も、押しが強く、頑固一徹で、絶対に相手にしたくないタイプです。
とりわけ官僚はこういうタイプが苦手で、こういう政治家が活躍すると、官僚支配が揺るいでしまいます。
こういうタイプとしては、小沢一郎氏、鈴木宗男氏がいますが、結局検察の力で止められました。ホリエモンも似たタイプで、選挙に出たりしたので、検察に止められたわけです。
 
菅官房長官は検察に止められることなく政権の中枢に入りました。そのため今では圧倒的に官僚を支配しています。
第一次安倍政権のときは総務大臣を勤め、総務省は放送免許を主管していますから、テレビ局に影響を与えるやり方も熟知しています。
 
そういうわけで、今では官僚もテレビ局も菅官房長官の威に屈しています。

菅官房長官は“日本のプーチン”です。
日本のマスコミは、ロシアのプーチンは批判しても、“日本のプーチン”は批判できないようです。