4月5日、翁長雄志沖縄県知事は菅義偉官房長官と会談した際、『上から目線の「粛々」という言葉を使えば使うほど、県民の心は離れて、怒りは増幅していく』と語りました。
「上から目線の言葉づかいはけしからん」という主張は、自分は相手と対等かそれ以上だという認識に基づいています。
今や“日本のプーチン”と化した菅官房長官を相手にこのような口の利き方をしたのには驚かされました。
 
そして、菅官房長官は会談の翌日、「不快な思いを与えたということであれば、使うべきではない」と語り、「粛々」という言葉は今後使わない考えを表明しました。
 
政治は格闘技です。ここは翁長知事が菅官房長官に対してマウント・ポジションを取って、ポイントを挙げたことになります。
 
ここにどういう力学が働いていたのかを考えてみました。
 
翁長知事は何度も菅官房長官との面会を断られ、相当怒りをためていたのでしょう。それに、背後に沖縄県民の思いを負っているということも自信になったでしょう。また、「抑止力のために沖縄に海兵隊がいる必要がある」という政府の主張に対する理論武装もできていたはずです。
 
しかし、それだけで菅官房長官に対して優位に立てたとは思えません。菅官房長官のほうの弱みもあったはずです。
 
アメリカは辺野古基地建設が延びに延びていることに苛立ち、日本政府に不信感を持っています。安倍首相は4月末に訪米する予定ですから、それまでになんとかメドを示さなければなりません。
これが菅官房長官の側の弱みです。
 
アメリカはすでに辺野古移設を諦めてもいいと考えているようです。
 
ナイ元国防次官補、辺野古「再検討を」 地元民意を重視
【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】米クリントン政権で米軍普天間飛行場返還の日米合意を主導したジョセフ・ナイ元国防次官補(現米ハーバード大教授)は2日、日米両政府が進める普天間飛行場の名護市辺野古への移設について「沖縄の人々の支持が得られないなら、われわれ、米政府はおそらく再検討しなければならないだろう」と述べ、地元同意のない辺野古移設を再検討すべきだとの見解を示した。ワシントン市内にある米有力シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)で琉球新報に答えた。米外交政策に影響力を持つ米国防省元高官が辺野古移設に疑問を投げ掛けていることは、沖縄の民意を無視する形で工事が進むことに米国内でも懸念が広がっていることの表れとみられる。
  ナイ氏は辺野古移設に反対する翁長雄志知事が就任するなど、県内移設反対の声が根強いことについても「承知している」と述べ、沖縄と日本政府は話し合う必要性も強調した。
  ナイ氏は昨年の知事選後、日本メディアに対し、辺野古移設に関して「長期的には解決策にはならない。固定化された基地の脆弱(ぜいじゃく)性という問題の解決にならないからだ」と指摘し、中国の弾道ミサイルの射程内にある沖縄に米軍基地が集中することが対中国の軍事戦略上、リスクになるとの見方を示した。ただ「今後10年といった短期間で考えれば宜野湾市の負担を軽減したいわけだから、施設や海兵隊を辺野古に移す方がいいと言えるだろう」とも述べ、短期的な解決策としては有効だとした。これに対して、ナイ氏は「その通りだ。変わらない」と強調した。
  ナイ氏は冷戦後の日米同盟を再定義する「ナイ・イニシアチブ」を推進した。リチャード・アーミテージ元国務副長官との連名で、超党派の対日専門家による政策提言書「アーミテージ・ナイ報告」を発表し、集団的自衛権の行使容認などを求めてきた。米外交政策に最も影響力を持つ国際政治学者の一人として知られ、2014年10月、ケリー国務長官に助言する外交政策委員会のメンバーに就任している。
 
アメリカはもとから中国の近くに海兵隊を置いておきたくないので、辺野古移設にはこだわっていないのです。
 
翁長知事は菅官房長官との会談のときに、「私は辺野古の新基地は絶対に建設することができないという確信を持っている」とも語っています。
この言葉は当然アメリカ政府にも届きます。そうすると、アメリカ政府は辺野古移設を諦める可能性があります。
これが翁長知事の自信にもつながっているのでしょう。
 
つまり、翁長知事と菅官房長官がバトルを演じたようですが、実は2人ともアメリカの視線を意識しながらやっているのです。
 
ほんとうの「上から目線」はアメリカの目線というわけで、これがどんどんアメリカの属国化を強める日本の実態です。