核拡散防止条約(NPT)再検討会議は5月22日、最終文書を採択できないまま閉幕、つまり失敗に終わりました。
これはけっこう大きなニュースだと思いますが、ネットではほとんど話題になっていません。中国がどうした韓国がああしたということは、小さなことでも話題になるのと対照的です。
もっとも、今回のNPT再検討会議を見ると、日本のダメさがわかるので、あまり話題にしたくないでしょうが。
 
 
日本はこの会議において、最終文書に「世界の政治指導者に被爆地訪問を促す」との記述を入れるように要求し、それに反発する中国とやり合いました。
日本の要求は、世界を平和にすることよりも、被爆国としての自国をアピールしているみたいで、あまり格好いいものではありません(それに反対する中国も同じようなものですが)
 
また、日本は核兵器の非人道性を訴えて、核不拡散を推進する立場です。しかし、日本は“核の傘”に守られる立場でもあります。非人道的兵器に守られながら核の非人道性を訴えるというのは、どう考えても矛盾しています。もちろん日本の主張はまったく説得力がありません。
 
それから、やはり日本のアメリカに対する従属的な関係が露呈してしまいました。
会議が決裂した主な原因はアメリカにありました。
 
 
イスラエルの「核」で溝 米は擁護・アラブ反発 NPT決裂
 ニューヨークの国連本部で開かれていた核不拡散条約(NPT)再検討会議が決裂した背景には、イスラエルの核を念頭においた「中東非核地帯構想」をめぐる各国の立ち位置の違いがある。
 
 エジプト代表は22日、全体会合で「数カ国が、特に米国が最終文書の採択を止めている」と批判。中東の非核化への取り組みが妨害されたとして、全会一致の仕組みの「乱用だ」と痛烈に米国を批判した。
 
 イスラエルの核保有は公然の秘密だが、同国は肯定も否定もしない戦略をとり、NPTにも加盟していない。それが、周辺国からの攻撃を抑止する効果を持ったとされる。イスラエルは約80発の核弾頭を保有すると推定される一方で、周辺国の核保有は認めない方針をとり続けてきた。
 
 中東や北アフリカ諸国などで組織する「アラブ連盟」は1995年、イスラエルのNPT加盟を求める決議を採択。同年のNPT再検討会議では、中東非核地帯の創設やイスラエルのNPT加盟を促す「中東決議」が採択された。
 
 核を持たないエジプトを中心とするアラブ諸国はその後も、イスラエルの核保有を問題視した。2010年の再検討会議では、中東非核地帯構想を実現するための国際会議を12年に開催することで合意。「核なき世界」を掲げるオバマ米政権が、エジプトなどと水面下で折衝した結果だった。
 
 しかし、その後の進展はなく、アラブ諸国は今回の再検討会議でも構想の実現を求めた。イスラエルは4月末に出した声明で、中東地域の「幅広い安全保障課題」をめぐる対話を求めてきたとした。
 
 今回、米国が最終文書案に同意しなかったのは、事実上の同盟国であるイスラエルに配慮したため。イスラエルの有力紙ハアレツの元論説委員アキバ・エルダール氏は、オバマ米政権にとって大詰めのイラン核協議の最終合意が最重要だが、「(核協議に反発する)ネタニヤフ首相や米共和党を敵に回したくはないだろう」とみていた。
 
 イラン核開発に反発する国々を中心に、中東地域で「核ドミノ」が広がることを懸念する声も上がる。イスラエルの国家安全保障研究所上級研究員エミリー・ランダウ氏は「サウジアラビアなども核保有に向かう可能性がある」と語った。
 
 (エルサレム=渡辺丘)
 
 
アメリカはイランの核開発は徹底的に阻止しようとする一方で、イスラエルの核保有は擁護しているわけで、明らかなダブルスタンダードです。
 
エジプトはそのことを痛烈に批判しました。
エジプトはずっとアメリカから軍事支援を受けてきて、モルシ政権がクーデターで崩壊したあと軍事支援は一時凍結されましたが、今年4月に凍結が解除されるという報道がありました。つまりエジプトはアメリカの軍事支援を受けつつもアメリカを批判しているわけです。
 
日本政府はまったくアメリカを批判しません。マスコミもアメリカを批判しません。
 
その一方で、日本政府もマスコミもテロリストは批判しますが、テロの原因をつくっているのはアメリカとイスラエルです。
 
日本はアメリカに従属すればするほど国際的な評価を失います。
今回のNPT再検討会議を見ればそのことがよくわかります。