自民党議員有志が戦艦大和の引き揚げを求めて政府に提言する研究会を立ち上げたというニュースがありました。戦艦武蔵がレイテ沖の海底で発見されたことがかなり話題になったので、そこからの連想でしょう。
 
戦艦大和引き揚げ検討 自民議員有志、政府に提言へ
 
このところ連日、安保法制に関連して“未来の戦争”の議論が行われていますが、このように“過去の戦争”のことも、慰安婦問題やら安倍首相の戦後70年談話やらでつねに話題になっています。
 
“未来の戦争”と“過去の戦争”は無関係ではなく、おそらくつながっているに違いありません。
どうつながっているのかを考えていると、アメリカにおけるベトナム戦争と湾岸戦争の関係に思い至りました。
 
アメリカは1964年のトンキン湾事件から1973年の和平協定調印までの9年間、一時は50万人を越える地上兵力を送り込んでベトナム戦争を戦いましたが、結局撤退。軍事的に敗北したとは言えませんが、政治的、経済的、精神的にアメリカは痛手を負いました。
 
おかげでそれからずっと世界は平和でした。ソ連のアフガン侵攻、イラン・イラク戦争、フォークランド紛争などがあったぐらいです。
少なくとも日本にとっては遠くの戦争でした。
 
それが一変したのは、湾岸戦争によってです。
アメリカは周到な準備をし、多くの国を従えて、圧倒的な兵力で勝利を収めることで、ベトナム戦争のトラウマを克服しました。また、クウェートを侵略したイラクを罰したということで、アメリカは“正義”の国であるという自信も回復しました。
 
以来、アメリカはコソボ紛争に介入し、アフガン戦争、イラク戦争をし、ソマリア内戦に介入するなど、世界中で戦争をしています。
 
湾岸戦争のとき、日本は金だけ出してなにもしなかったということが日本の外務省のトラウマになっているという話がありますが、私はそれよりも、あのときイラクに対して経済制裁をするだけにとどめておけば、アメリカはいまだにベトナム戦争のトラウマを抱えて、世界は今よりもずっと平和だったろうと、それが残念でなりません。
 
ともかく、アメリカは湾岸戦争をすることでベトナム戦争のトラウマを克服しました。
 
日本はいまだにあの敗戦のトラウマを抱えています。
安倍首相が“未来の戦争”に固執するのは、一度戦争をして勝利の経験をすれば敗戦のトラウマを克服できると思っているからではないでしょうか。
少なくともそういうふうに考えないと、安倍首相のやろうとしていることが理解できません。