安倍首相はドイツでのG7サミットに出席する前にウクライナを訪問し、ポロシェンコ大統領と会談しました。それに先立って日本はウクライナに対して2300億円の援助も表明しています。
 
日本がウクライナとの関係を深めてなにかいいことがあるかというと、なにもありそうにありません。
だいたいポロシェンコ政権は、経済政策がうまくいっていなくて、国民にはきわめて不人気です。だからこそ日本が援助することになったのでしょうが。
 
支持率10%台、低空飛行=ポロシェンコ大統領就任1年―ウクライナ
 
日本がウクライナとの関係を深めることによるマイナスは、ロシアとの関係が悪化することです。
日本にとってウクライナとロシアとどちらがだいじかというと、考えるまでもありません。
 
もっとも、安倍首相も対ロ関係の重要性は認識しているらしく、このように報道されています。
 
安倍首相は、今回のサミットでキャメロン氏のほかドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領、イタリアのレンツィ首相とも会談。安保法制のほか、ウクライナ危機をめぐり米国や欧州諸国と対立を深めるプーチン・ロシア大統領との対話を進めることに理解を求めた。
 
しかし、安倍首相がプーチン大統領との対話を進めたいなら、ウクライナ訪問などしなければいいわけで、まったく愚かな外交というしかありません。 
 
それを思えば、鳩山由紀夫元首相がクリミアを訪問して、クリミアを併合したロシアに理解を示したのは、むしろ国益にかなった外交ということになります(鳩山元首相のクリミア訪問を大バッシングする一方で、今回の安倍首相のウクライナ訪問はまったく批判しないマスコミもおかしなものです)
 
安倍首相がなぜこういう愚かな外交をするかというと、もちろんアメリカに従属しているからです。
安倍首相は「力による現状変更を認めない」という言葉を繰り返して、ロシアのクリミア併合を批判しますが、アメリカがアフガニスタン、イラクで反米政権を倒して親米政権を樹立するという「力による現状変更」を行ったことは批判しません。
 
属国の外交は支離滅裂です。