7月13日、ユーロ圏首脳会議はギリシャへの金融支援を行うことで大筋合意しました。これでギリシャの経済危機を巡る騒動はとりあえず沈静化するようです。
 
この騒動を見ていて思ったのは、ギリシャは小国にも関わらず世界を振り回す根性があるなあということです。
フランス、ドイツなどユーロ諸国を向こうに回すだけでなく、ロシアに接近するふりをすることでアメリカを巻き込み、ルー米財務長官の「EUはギリシャの債務を再編するべきだ」という発言を引き出しました。日本でいえば、中国に接近するふりをすることでアメリカを動かすみたいなものです。
もちろん日本にそんな外交力はありません。GDPは日本がギリシャの20倍ぐらいありますが、外交力はギリシャのほうが20倍くらいあります。
 
 
それから、チプラス首相を初めとする与党の急進左派連合は、官僚をうまく掌握してユーロと交渉していたと思います。
 
ウィキペディアによると、急進左派連合が結成されたのは2004年のことで、2012年の総選挙で第2党に躍進し、2015年の総選挙では第1党となり、チプラス党首が首相に就任しました。ですから、議員のほとんどは与党経験がないはずです。
チプラス首相自身は、2009年の総選挙で初当選ですから、国政の経験は6年しかないわけです。
そういう経験の浅い政治家たちが国をまとめてユーロと交渉を行ったわけです。
 
一方、わが国では自民党の長期政権から民主党政権へと政権交代が起きました。民主党の議員たちはギリシャの急進左派連合より経験があるはずですが、民主党政権はまったくといっていいほど官僚を掌握できませんでした。
その象徴が普天間基地移設問題と八ッ場ダム建設問題です。

民主党政権(当時は鳩山政権)の、普天間基地の辺野古移設を見直し国外県外へという方針と、八ッ場ダム建設を中止するという方針が正しいことは、(一部の利権関係者を除けば)誰の目にも明らかでしたが、官僚組織は徹底的に抵抗し、マスコミもそれに同調したために、国民もまともな判断力を失ってしまいました。そのため辺野古基地と八ッ場ダムが民主党政権のつまずきのもとになったのです。
 
もちろん民主党の力不足ということもあるのですが、日本では官僚組織が政権に抵抗するということがまかり通るわけです。
ギリシャの政権交代がうまくいっているのを見ると、改めて日本の異常さがわかります。
 
日本を統治しているのは、官僚組織とマスコミです。そして、その背後にはアメリカがいます。
ですから、辺野古移設見直しはまったくできない一方、安保法制のほうは国民の反対があってもどんどん進んでしまいます。
 
現在、新国立競技場の建設費が2500億円にふくらんで大きな問題になっていますが、八ッ場ダム建設が止められない以上、こうしたことが起きるのも当然です。
 
ギリシャを見ていると、政権交代とは本来こういうことなのだなとうらやましくなります。